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2022年05月22日(日) 財産評価基本通達

会計事務所が行った相続税申告事案に狙いを定め、更正の請求によって相続税の還付を受けるというビジネスモデルが存在します。例えば財産評価基本通達が認める減価要因を適正に適用せずに過大評価となってしまえば還付が認められるでしょうし、通達に従って正しく評価したとしても、不動産鑑定評価による更に低い鑑定額が認められれば、これも還付が認められるでしょう。

 

財産評価基本通達を正しく理解することは当然のことであり、さらには不動産鑑定評価による鑑定額との違いを理解しておくことも大切です。

 

相続税における不動産の評価は財産評価基本通達に準拠しています。財産評価基本通達に基づき不動産の評価額を求める業務は税理士の守備範囲です。一方、不動産鑑定評価基準による不動産の鑑定額を求める業務は不動産鑑定士の守備範囲です。評価額と鑑定額に差が生じる原因として、不動産の価値についての考え方の違いを指摘することができます。

 

2022年05月13日(金) 再生ファンド

再生ファンドの一つの側面として、投資家から集めた資金を基に再生可能性が高い企業の株式を割安で購入し、専門家を派遣して不採算事業の整理やコスト削減を通じて企業価値を高め、企業価値が高まった時点で、事業承継により経営権を譲渡するというものがあります。

 

再生ファンドは、金融機関や地方公共団体から資金支援を受けており、本業の収益力が高く、優れた技術やノウハウを持っている事業に限定して運用されています。その大まかな流れは次の通りです。

 

ⅰ)再生計画の策定

再生ファンドを利用するにあたっては中小企業再生支援協議会と連携して、具体的な再生計画を立てることになります。

 

ⅱ)資金提供

再生計画が決定した後、再生ファンドは必要になる資金提供を行います。再生ファンドは、対象会社が発行した株式を買い取ったり、新株予約権を引き受ける等により株主としての地位を取得することになります。この資金提供により金融機関からの借入金を整理することになりますが、債務返済ではなく事業の再生が優先されます。

 

ⅲ)債権買い取り

単なる資金提供に留まらず、金融機関から債権を買い取る場合も少なくありません。借入金過剰により経営難にあるものの、債務圧縮ができれば事業再生が容易になる場合に実施されるものです。この場合、金融機関との合意が必要になりますが、金融機関としては再生ファンドを利用したという事実があれば債権放棄をしやすくなるという事情があります。加えて、再生ファンドの場合には信用保証協会の協力を得られるという利点もメリットとして指摘できます。

 

ⅳ)経営譲渡

計画に基づいて債務者の経営実態を根こそぎ洗い出して経営改善を進めます。債権者としても従来の経営者と共に経営にあたることで過去から現在に渡る経営ノウハウを吸収できますので、数年の間、手を取り合って経営改善することは効果的だといえるかもしれません。

計画期間が進むと、再生ファンドは一括回収へと移ります。この段階で、金融機関からの支援が継続されていれば経営権を維持できますが、金融支援が得られなければ、M&Aにより新たなスポンサーに経営権を譲渡することになってしまいます。

 

このように、再生ファンドは自力で融資を確保することなく再生を進められますが、再生期間中は経営権を奪われることになり、再生計画の終了時点で経営権を取り戻すという形になります。換言すれば、必ずしも従来の経営者が経営権を維持することができるとはいえません。経営権を維持することができる可能性は、自力再生と比べれば低く、M&Aと比べれば高い方法であるといえるでしょう。

 

2022年05月06日(金) 自力再生

諸般の事情で借入金が膨らんだ結果、返済能力を超えてしまったものの、借入金さえ適正水準であれば事業を継続できる会社は少なくありません。このような会社を再生させるためには、借入金を削減することが必要になります。

この場合、従来の会社から資産を譲渡したり、事業を譲渡したり、あるいは会社を分割するなどの方法で組織再編を進めることがあります。さらには会社そのものを譲渡する方法もとられます。いずれも会社の借入金は削減され、適正な水準の借入金を有する会社として再生されることになります。

 

わざわざ組織再編を行わなくても良さそうなものですが、そこには金融機関の論理というものがあり、組織再編をせずに従来の会社に対して債務を免除するのは困難な場合があるのです。債務者には返済義務がありますので、債務者は債権放棄を求める立場にありません。債権放棄をするか否かは債権者が決めることなのですが、その債権者には債権者の論理があるというわけです。

たとえば金融機関は、預金者から集めた預金を運用するのですから、受託責任を負っています。債務者の返済が困難だからといって、簡単に債務を免除するわけにはいかないのです。回収の最大化に努力しなければならず、他の債権者との整合性を図る必要もあります。 債権者が債権放棄を余儀なくされ、貸倒損失という損失を被る以上、債務者には経営者責任を果たしてもらわないことには説明がつかないのです。このように、事業再生にあたり債務の免除を受けるには、相応の手続が求められることになります。実現可能な再生計画を作成し、返済可能な最大額を返済することを疎明する必要があるのです。その返済計画が認められて初めて債権放棄を受けることになります。

 

自力再生を進めるにあたり組織再編を行う場合、必要な資金を確保しなければなりません。その具体的方法はこれまで各回の研究レポートで明らかにしてきた通りです。第二会社方式等を活用することで、経営権を維持したまま事業再生が実現しやすいという点を大きなメリットとして指摘することができます。後掲の再生ファンドやM&Aに比べれば、経営権を維持できる可能性が最も高い方法であるといえるでしょう。

但し、自力で必要な資金を確保できない場合には、再生ファンドやM&Aで事業を存続することになります。この場合は経営権を維持できなくなる可能性が高まりますので、前掲の一部合意方式によって一定範囲の事業領域を確保しておくことも検討すべきでしょう。

 

2022年04月27日(水) 一括合意と個別合意

事業再生計画が合意に至る方法として、一括合意と個別合意があります。

括合意とは全債権者の合意を求めるものです。バンクミーティングを開催する、あるいは、再生支援協議会の場を利用する等により、全ての債権者の合意を一括して得るという意味で一括合意による私的再生といえます。

個別合意とは、全ての債権者の合意を得られない場合に、たとえば抵当権を有する債権者と個別に話し合って、先に合意を得て不動産を第二会社に移転する等が代表的な事例です。 一括合意ができないから個別に合意をするというわけです。

 

個別合意が成立するかどうかは個々のケースによって異なりますが、競売価格や競合第三者の提示価格よりも上回る金額であれば、抵当権者たる債権者との個別合意を得やすくなります。一括合意が成功しない場合に備えて、あらかじめ個別合意によって一定範囲の事業領域を確保しておくようなケースが考えられます。

 

2022年04月20日(水) 私的整理と法的整理

私的整理は債務者と債権者の間の話し合いで進められるため、取引先などの外部の第三者に知られないという大きなメリットがあります。さらには債権者の取扱いに差を設けるなどの柔軟な対応が可能であるというメリットもあります。たとえば債権放棄を行うにしてもメインバンクが多くを負担するというような再生計画であれば債権者の合意は得られやすくなるのであり、メインバンク寄せという対策が講じられることも少なくありません。

 

私的整理のデメリットとしては不正が起きやすいということが挙げられます。また、裁判所を通さずに行われるために、強行な姿勢を貫く債権者から合意を得られない場合には私的整理そのものが進められないこともあります。この場合は、一部債権者による内整理ということが選択されることになります。また、私的整理を規制する法律がないため、いつ何時、債権者の態度が変わり、競売などの法的手段を講じてくるかが不明であるという不安定要素も否定できません。さらには、債権者側としては債務者の履行が確実に行われるのかという懸念があるのもデメリットといえます。

 

一方、法的整理は抵当権の実行を停止させたり、多数決により小額債権者の抵抗を阻止したりする効果が期待されますが、半面、再生計画に債権者の合意が得られなければ破産手続に移行するという危険もあるのです。慎重な対応が必要なのであり、むやみに法的整理を進めると逆効果にもなりかねません。

 

2022年04月14日(木) 債権者と債権者の関係

債権者が複数の場合の相互関係はどうなるでしょうか。複数の債権者の交渉力が等しいのであればナッシュ交渉解では50:50となるところ、実際には乖離が生じてしまいます。

その理由として、債権額による按分が制度化されていることを指摘することができます。現行制度下において法的整理手続に従って再生計画を成立させるためには、債権者の議決が必要になりますが、この議決権は頭割りではなく、債権額に依存しています。

 

民事再生法の再生計画案が再生計画として認可されるためには、債権者集会に出席した議決権を有する債権者の過半数の賛成があり、かつ、すべての議決権の総額の二分の一以上の議決権を有する債権者の賛成があることが必要とされます。

 

不良債権をめぐる事業再生にあたり当事者が話し合いによる私的整理を目指すとしても、決裂した場合には法的整理によらざるを得ないのです。法的整理であれば債権額が交渉力を決定づけることになります。債権者は法的整理で認められる交渉力を否定してまで私的整理に協力する必要はないので、債権額の多い債権者は法的整理に移行することを交渉材料として主張することができるのです。したがって、法的整理のみならず私的整理においても債権額の多寡が交渉力を決定づけることになるといえます。

 

このように、事業再生を成功させるためには債権者間の調整が重要な課題なのであり、債権者と債務者の対立関係としてとらえるのは本質を見失っているといわざるを得ないのです。

 

2022年04月06日(水) 債権者と債務者の関係

事業から獲得できる金額の配分を巡って、債権者と債務者は対立する関係にあります。債権者への返済分が多くなれば債務者の留保分が少なくなるという利益相反の関係となるからです。

 

一般に、対立する当事者が一定額を配分する場合、ミクロ理論経済学の概念であるナッシュ交渉解では利益を50:50で配分することになります。しかし、債権者と債務者の間における配分交渉は事情が異なってきます。債権者と債務者の間の交渉力が異なっていたり、有する情報に差があるために配分の対象となる利益が確定しないという弊害が生じる可能性があります。

ナッシュ交渉解とは当事者の配分交渉において利得を最大化する点を明らかにしようとする理論で、ノーベル経済学賞を受賞したナッシュ博士が明らかにしたものです。

 

債務者の持つ情報を債権者は有していないため、債務者の返済能力に関わる正しい判断ができないという点で情報の非対称性が生じているのです。この場合、債権者の過度の要求は事業再生の成立を阻害し、交渉決裂に追い込むリスクとなってしまいます。債権者と債務者に任せておいたのでは、それぞれの要求がお互いの受忍限度を超えることで交渉が決裂するリスクを回避できないことになります。

 

そもそも、債務者は債権者への返済義務を負っていますが、返済義務の存在を理由として債務者の留保分をゼロにしてしまうと、債務者のヤル気が削がれることになり、債務者に何らかのインセンティブを与えないと配分対象になる利益を十分に確保することが困難になりかねないという社会的不便益が生じてしまうのです。

 

2022年03月28日(月) 立場の違いと利害の一致

平成26年4月より株式会社ミロク情報サービスの客員研究員を拝命しています。
毎月一回の研究会に参加するだけではなく、毎月一回の経営研究レポートを発表しており、ミロク情報サービスのホームページで紹介されています。

第77回の経営研究レポートが公開されました。

今回のテーマは「立場の違いと利害の一致」で、その要旨は次の通りです。

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要旨:

交渉学では、交渉当事者が望んでいる結論を「立場」と呼び、その主張をする理由を「利害」と呼んで区別します。立場についてのみ交渉をしていたのでは対立したままとなり、交渉決裂にもなりかねません。しかし、なぜなのかという利害についてお互いに理解すれば満足できる解決策を模索することも可能になります。立場が完全に対立するような「配分型交渉」ではなく、利害に着目して他の条件を持ち出すことで「統合型交渉」に移行し、交渉を合意に導くことができるのです。

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記事を読むにはミロク情報サービスの会員になる必要があります。
会員は(1)会計事務所向けと(2)企業経営者向けに分かれています。

 

(1)会計事務所の先生の場合は「tvs会員」になる必要があります。
下のアドレスから著者名を指定して検索できます。
http://tvs.mjs.co.jp/working/management/research-rep/not_cached.html

 

(2)企業の経営者の場合は「GOODWILL PLUS会員」になる必要があります。
下のアドレスから著者名を指定して検索できます。
http://goodwill.mjs.co.jp/working/management/research-rep/not_cached.html

 

多くの有益な情報を入手できますので、入会することをお勧めします。
私自身、他の研究員の研究レポートを拝読し、参考にさせていただいております。

 

入会にあたってはお近くの(株)ミロク情報サービスの営業拠点にご連絡ください。営業拠点は下のアドレスから検索できます。
http://www.mjs.co.jp/office/tabid/479/index.php#no2

 

 

2022年03月21日(月) 攻める経営者と守る経営者

借入金を減らすことで事業再生を目指している経営者は、守る経営者であると言えます。

一方、自らの事業が順調であるため、他社から資産譲渡、事業譲渡を受け、さらにはM&Aで他社を買収することを目指している経営者は、攻める経営者といえるでしょう。

守る経営者として第一ステージで借入金を削減した後、第二ステージで事業再生を成功させ、今度は、攻める経営者として更なる飛躍を目指す例もあります。いわば守る経営者が、攻める経営者へと華麗なる転身を果たすのです。

 

平成13年に私が初めて上梓した初版本の「おわりに」の部分に次の記述があります。

もう20年も前の出版物ですが、今でも通用する考え方だと確信しています。『例えば100万円の返済をするため、すなわち100万円の利益を計上するためには、いくらの売上増加が必要なのかを考えるとき、無理な返済を続けている企業と、返済を中断してでも債務者主導で債権放棄を引き出す企業と、どちらが将来性に富んでいるのか答は明白です。日本の少子化が叫ばれて久しく、日本の将来は必ずしも明るいものではありません。そんな今こそ、経営者の皆さんが知恵を出し企業の復活を図るべきなのです。企業を復活させ、ひいては経済の活性化を図ることは、経営者の皆さんの社会的使命であると言えるのではないでしょうか』

 

会計事務所は経営のパートナーとして、守る経営者にも攻める経営者にも寄り添うことができます。経営者をサポートできる真の専門家は会計事務所だけなのです。

守る経営者は過度に保守的になったり、根拠のない起死回生策に惑わされたりと、追い詰められた経営者は正常な判断ができなくなる例が少なくありません。一方、第一ステージを成し遂げ、第二ステージも成功しつつある経営者は、過度に背伸びしたり、冒険したりと初心を見失う例も少なくありません。

 

守る経営者にとっても、攻める経営者にとっても、会計事務所は経営者の良き相談相手として、いざという時に頼れる戦略参謀であることが期待されているのです。

 

2022年03月14日(月) 独立した第三者としての関与

債権者と債務者の交渉において、経済合理性の判断材料を債務者が主張してもあまり意味はありません。たとえば「私にできる返済の総額は〇です」「私の資産は〇です」と主張したところで、「自己証明は証明に非ず」という言葉があるように、客観的な証拠にはならないのです。

ところで無資格者が行うと処罰対象になる行為があります。それは有資格者でないと行うことができない独占的業務、たとえば税理士の税務や、公認会計士の監査業務、不動産鑑定士の鑑定評価業務です。このような独占的業務は、有資格者が行うと客観的な判断基準となりますが、債務者側に立って行ったのでは客観性が乏しくなります。

 

換言すれば、独立性を確保しておけば客観性が増すことになるのです。この点、無資格者は独占的業務がないので客観的立場の外部の第三者にはなれず、内部者になるしか関与する道はありません。すなわち、債務者側に立つしか道はないのです。ある日突然、外部から招聘された顧問、社長室長、企画室長等々、このような自称専門家の多くは無資格者です。

 

一方、職業的専門家は独立した立場からも関与できるところに強みがあります。外観的独立性が確保されていれば、債権者からみても客観性が高まるのであって、外観的独立性は大切な判断基準となるのです。もちろん、内部の立場から関与することも可能で、この場合にも有資格者であることは、信頼性を大きく高めることになります。

 

2022年03月04日(金) 専門家の重要性

債権者と債務者の間には情報の差があります。誰かがその情報の差を埋める必要があるのです。債権者を納得させる材料が必要なのです。そのためには提出した資料に粉飾がないことを明らかにすることも考えられます。一つの解決策として、会計事務所が「粉飾はしていない」という意見表明を行う方法があります。これにより、金融機関も少しは安心するというものです。もちろん、鵜呑みにするわけではありませんし、それで十分というものでもありません。しかし、国家資格者によるお墨付きがある以上、一目置くのは当然です。金融機関は債務者の姿勢の前向きな変化を歓迎するはずです。

 

債務者対債権者の対立だけではなく、債権者間の対立を解消し、プラスサムによる事業再生を進めるために、返済能力の把握が極めて重要だといえるでしょう。債務者の業況を最も知る立場にある我々会計人の役割は大きいということができます。

 

たとえば経済合理性の判断を行う場合、何が正しい金額であるのかは不明です。そもそも金額が不明なのですから、金額を基準とした経済合理性の判断は困難になるというわけです。情報の非対称性があるために市場が失敗するということを事業再生にあてはめるならば、債権者が債務者の返済能力に関する正しい情報を有していないため、不可能な返済額に固執することで交渉が破綻するという場面が想定されます。このような場合に、情報を有していない債権者に情報を提供するのは債務者ではなく、独立した立場にある税理士や公認会計士であるといえます。独立した立場だからこそ客観性が確保され、情報の信頼性が高まるのです。

 

このように、職業的専門家には客観性を損なうことなく正しい情報を提供することが期待されているといえます。職業的専門家は市場の失敗を回避するため、情報の非対称性を補完する役割も担っているのです。

 

2022年02月20日(日) 正しい情報の共有

債権者と債務者は敵対構造として位置づけるのは間違っているものの、両者の間には情報の非対称性が生じていることは事実です。このような弊害を解消し、債権者に対して事実を正しく伝えることから、不良債権の解消に向けて、金融機関との交渉が始まるといっても過言ではないと思います。たとえば、無理な計画を提示するなどということは、事実を正しく伝えていないという点で、まったく無意味です。

 

このことは過去において粉飾決算を行った場合も同じです。在庫で調整したりして売上を伸ばしたり、あるいは、評価損を立てずに資産のままにしておいたりと、調整の仕方は様々ですが、過去の粉飾についても正直に開示すべきなのです。金融機関だって薄々気づいている場合が多いのであり、それを正直に告白することで、過去は事実ではなかったが現在と将来は正しく処理していることを裏づけることにもなるのです。

 

過去の正しい数値と、正しい現状把握を基礎として将来の計画を作成するのであり、さらには、再生計画を実施した後のモニタリング機能は月次決算業務を通して発揮することができることを考えると、会計事務所の役割が極めて高くなるのは自然な流れであると言えるでしょう。

 

2022年02月14日(月) 会計事務所に期待されること

会計事務所は堅実な職業会計人として着実な事業再生を目指すべきです。無資格・無責任な偽専門家が、どんなに背伸びしたところで金融機関を納得させることはできません。一方、職業会計人は一目置かれている存在です。なぜならば、金融機関にしても、有資格者たる職業会計人にモニタリング機能を発揮してもらいたいからです。堅実・確実・着実だからこそ、信頼が得られるのであり、背伸びする必要はないのです。

 

日頃から債務者と接している会計事務所にとって、事業計画を作成するのは難しくありません。会計事務所に求められていることは、過去の決算書の正確さと、現在の姿の正しい把握、そして将来のモニタリング機能です。

 

金融論の世界では、メインバンクからリレーションシップバンキングへと流れが変わっています。従来の日本型のメインバンク制は過去のものになっています。

会計事務所のモニタリング機能を通して、金融機関と債務者の間の橋渡しが期待されているのであり、将来にわたり債務者の決算業務の指導をする立場にある会計事務所こそ、メインバンク制を補う役割を担う者として適任なのです。

 

2022年02月07日(月) 会計の専門家と同行するケース

顧問の会計事務所の税理士や会計士が同行する例は最も望ましいケースです。

債権者としてみれば、税効果も含めて、専門家に質問することもできますので、経営成績や財政状態を正しく把握できるからです。この場合、専門家とは事業再生の専門家でなくて良いのです。債権者が知りたいのは債務者の業況であり、債務者を良く知る会計専門家が求められます。さらには、「顧問会計事務所が同行してきているのだから、粉飾決算はないだろう」と、債権者としては安心すらできます。事業再生は会計や税務、経営の知識こそが大切なのです。

 

債権者を訪問するにあたっては、顧問会計事務所の税理士、会計士と同行することをお勧めしています。現に筆者がクライアントと金融機関を訪問する際には、クライアントと顧問会計事務所の先生、そして筆者の3名で臨むことが少なくありません。複数の税理士がサポートする形で、真摯な姿勢で事業再生に取り組んでいます。

 

金融機関を訪問するにあたって会計事務所と同行することは債務者の利益になるだけでなく、債権者にとっても歓迎できるものなのです。会計事務所の立場からしても、大切なクライアントの再生というビジネスフィールドを確立することで、事務所経営の一層の発展が見込まれることになります。

 

2022年01月31日(月) 配分型交渉と統合型交渉

平成26年4月より株式会社ミロク情報サービスの客員研究員を拝命しています。
毎月一回の研究会に参加するだけではなく、毎月一回の経営研究レポートを発表しており、ミロク情報サービスのホームページで紹介されています。

第76回の経営研究レポートが公開されました。

今回のテーマは「配分型交渉と統合型交渉」で、その要旨は次の通りです。

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要旨:

交渉力を一定とし、情報の非対称性を排除するというように、いくつかの条件をおけば配分交渉は50:50に落ち着くことはミクロ理論経済学でも明らかです。しかし、実際にはそのような条件が成立しないことが大半です。現実にはパイを争う配分型交渉が行われており、そのような交渉の失敗を排除するためには、配分型交渉から統合型交渉への移行が求められるのです。債権者と債務者、さらには債権者と債権者の交渉にあてはめて検証します。

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記事を読むにはミロク情報サービスの会員になる必要があります。
会員は(1)会計事務所向けと(2)企業経営者向けに分かれています。

 

(1)会計事務所の先生の場合は「tvs会員」になる必要があります。
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(2)企業の経営者の場合は「GOODWILL PLUS会員」になる必要があります。
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多くの有益な情報を入手できますので、入会することをお勧めします。
私自身、他の研究員の研究レポートを拝読し、参考にさせていただいております。

 

入会にあたってはお近くの(株)ミロク情報サービスの営業拠点にご連絡ください。営業拠点は下のアドレスから検索できます。
http://www.mjs.co.jp/office/tabid/479/index.php#no2

 

2022年01月28日(金) 弁護士と同行するケース

債務者が弁護士を伴うのは民事再生などの法的整理をチラつかせて、返済猶予を求めることが多いようです。弁護士に頼るような経営者は、法的な係争を前提とした言動をとったり、自らは弁護士の陰に隠れて逃げるような姿勢を示すことが少なくありません。

債務者には返済義務がありますので、謙虚かつ真摯な姿勢で臨まなければなりません。自らが積極的に再生したいという意思を示すべきところ、弁護士の陰に隠れているようでは、債権者の理解と協力は期待できません。

 

債務者が法的権利を主張するようでは、債権者にしてみれば「それならこっちも法的整理で整理してやろうじゃないか」となってしまいます。事業再生は法律論ではないということを絶対に忘れてはならないのです。

 

2022年01月26日(水) 無資格のコンサルタントと同行するケース

事業再生の専門家を自称するコンサルタントが債務者と同行することがあります。この時、自称専門家があれこれと話に介入してきても、一体、何を根拠に、何の権限で、何を訴えたいのか、債権者としては戸惑うばかりです。

 

 「そもそも、この人は誰なんだ?」と、債権者としては警戒心を持って接するしかありません。口先ではそれなりに応対しても、腹の中では、適当にあしらうのが関の山です。

 

場合によっては「この程度の自称専門家に頼るようでは経営能力が劣っている」と、債務者の定性評価を下げることさえあるのです。 。

 

2022年01月17日(月) 中小零細企業の情報管理

中小企業経営力強化支援法の認定支援機関の制度は、中小企業診断士ではなく税理士が主となっています。中小零細企業を対象とした会計要領として、中小会計要領が制定されましたが、簡易な方法による会計情報の適時性と経営情報としての活用という会計の側面が重視されるようになりました。このことは中小零細企業の経営実態を一番よく知っている顧問税理士を通して、情報の非対称性を解消するという考え方に他なりません。

 

特殊な業種のスペシャリストは存在しますが、多額の費用をかけて企業診断をするのではなく、身近な顧問税理士の着実な支援が求められているのです。

そもそも事業計画作成、返済計画作成は月単位の短期間で終了するものです。むしろ、その後のモニタリングこそ長期間にわたるということを理解すべきです。税理士が主になっている理由は、まさにモニタリング機能の発揮が期待されているからであるということができるでしょう。

 

2022年01月09日(日) 専門家との協働

事業再生を進めるために現在時点で行うべき作業としては、必要に応じて不動産鑑定評価を行うことで清算価値を把握したり、金融機関の論理に配慮しながら返済計画を作成するという、一過性の特殊な作業があります。

 

これらは事業再生に独特の作業であり、一般の会計事務所には荷が重い部分でもあります。この部分については無理に関与するのではなく、事業再生の専門家の力を借りることが得策であると考えられます。

なぜならば、事業再生にあたって一過性のものであり、全ての関与先に必要な普遍的な作業・業務ではないからです。

 

特殊かつ専門性の高い業務に必要以上に取り組むよりも、経営者への指導を通して正しい決算書の作成を目指すという会計事務所の本来業務に特化する道を選ぶ方が経済合理性に勝るということもできるかもしれません。一過性の特殊な作業は信頼できる専門家と協働することが得策であるといえるのではないでしょうか。

 

2022年01月02日(日) 会計事務所に寄せられる期待

事業再生を進めるにあたっては、「過去の正しい決算書の作成」、「現在の正しい清算価値」の把握が求められます。これらに誤りがあると、信憑性に疑いが生じてしまうからです。過去と現在の延長が将来であることから、将来の計画値の信憑性も疑わしくなるのです。もし粉飾決算をしているのであれば、直ちに訂正し、正直に事実を打ち明けるべきです。まさに会計事務所の活躍が期待されるところです。

 

さらに、実現可能性の高い「事業計画」を作成し、均衡性・公平性に配慮した「返済計画」を作成します。その後、完成した再生計画を進めるにあたり、将来にわたって「モニタリング」を実施することになります。

「過去の決算書の作成」「現在の清算価値の把握」「事業計画の作成」「将来のモニタリング」の各段階は、まさに会計事務所が関与するべき部分です。過去から現在の正しい決算書に基づいて、事業計画を作成し将来へとつながるのであり、モニタリングについては、事業再生が成功するまでの間、将来にわたって必要になります。会計事務所は全ての時点に関与するのです。

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