学会・教育活動
事業再生業務を実務的に実践するだけではなく、複数の学会に所属して学問的見地からの研究を継続しています。研究活動を通して常に最新の情報を把握し、事業再生に取り組んでいます。大学の経済学部では、次代を担う学生諸君を対象に、中小企業会計のあり方と、企業再生のあり方を実践的に指導しています。
単に実務家としての実践的な立場からではなく、ミクロ経済学の視点から学問的考察を加えることで実務と学問の融合を図っています。 |
1. 学会活動
次の各学会に所属しています。
ここでは概要を紹介しておきます。詳しくは各学会のホームページをご覧ください。
(1)日本交渉学会
本学会は弁護士を含む多くの法律関係者、ビジネス関係者、大学の研究者、大学院を含む学生諸君、一般の方々といったメンバーで構成されており、日常の交渉から、法律分野、経営分野、多文化間、異文化間の交渉はむろん、国際交渉といった広範囲にわたる紛争管理や紛争解決、平和学の研究に携わっております(学会HPより引用)。
2016年6月より同学会の理事に就任しています。
(2)日本税務会計学会
日本税務会計学会は東京税理士会の中に設置された税理士向けの学会です。
2. 教育活動
敬愛大学経済学部客員教授として、また愛媛大学社会共創学部非常勤講師、高崎経済大学地域政策学部非常勤講師として、学生の指導にあたっています。実務における実践的知識を加味しながら、分かりやすい授業、役に立つ授業を目指しています。
今年度のシラバス(授業計画)は次の通りです。
(1)地域企業会計論(敬愛大学)
地域の中堅企業の企業会計を念頭に置き、制度会計と会計理論の違いを明らかにしつつ財務諸表の表す意味・内容を理解する。特に資産と負債の時価評価に着目し、社会問題でもある不良債権について発生原因を探るとともに、解消方法も明らかにする。実務的な問題も具体的に取り上げることで、地域企業における会計を広く理解する。
授業計画はこちら、キャンパスナビケーター(KeiaiCampusNavigator)をご覧ください。
週 | 授 業 項 目 | 授 業 内 容 |
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1 | 地域企業の概要 | 地域企業会計とは何か。経営成績とは何か |
2 | 財務諸表の意味 | 財務諸表の種類と内容。P/L、B/Sの表す意味 |
3 | 損益計算書(総論) | 地域企業における経営成績について会計学の立場から理解する |
4 | 損益計算書(各論) | 地域企業における収益・費用のとらえ方を会計学の立場から理解する |
5 | 貸借対照表(総論) | 地域企業における財政状態について、会計学の立場から理解する |
6 | 貸借対照表(各論) | 地域企業における資産・負債・資本のとらえ方を会計学の立場から理解する |
7 | キャッシュフロー会計 | キャッシュの動きに着目して財務諸表を理解する |
8 | 資産・負債の時価価値 | 簿価と時価の違いを理解し、資産と負債の時価価値を理解する |
9 | 信用リスクとは | 地域企業における信用リスクとは何かを明らかにする |
10 | 不良債権の実態 | 不良債権の発生原因、解消方法を明らかにする |
11 | 借入金過剰企業の問題 | 借入金が過剰となった地域企業の問題を実務的・会計学的に明らかにする |
12 | 経営破綻と企業倒産 | 経営が破綻する地域企業の問題を実務的・会計学的に明らかにする |
13 | まとめ | 講義全体のまとめと試験(レポート)対策 |
14 | 定 期 試 験 |
(2)地域企業再生論(愛媛大学)
地域企業の特性を整理した後、経営が行き詰まり不良債権となった地域企業の再生について理解する。単に企業再生の方法論に留まらず、会計学、経済学、経営学の視点から理論に裏付けられた企業再生を理解する。地域金融の実情を理解し、理論と実務の融合を目指す。
週 | 授 業 項 目 | 授 業 内 容 |
---|---|---|
1 | 不良債権と事業再生 | 不良債権と正常債権、事業再生の必要性 |
2 | 法的問題点・会計的問題 | 関連諸法の整理、会社の種類、株式会社制度、会社法・税法との関連 |
3 | 私的整理と法的整理、再生と清算、任意売却と競売 | 私的再生と法的再生、事業再生と清算、任意売却と競売を整理する |
4 | 損益計算書の基本的事項(再生にあたっての収益と費用) | 損益計算書の基本、事業再生への応用 |
5 | 貸借対照表の基本的事項(再生にあたっての資産と負債) | 貸借対対照表項目の基本、事業再生への応用 |
6 | キャッシュフロー計算書 | 事業再生におけるキャッシュフローの重要性を理解する(外部講師招聘) |
7 | 経営分析 | 経営分析の基本を理解する(外部講師招聘) |
8 | 講義前半の総括 | 講義前半のまとめ |
9 | 地域金融 | 地域金融について理解する(外部講師招聘) |
10 | 会社分割、事業譲渡、M&A | 事業再編の手法 |
11 | 再生計画の実例 | 実際の再生計画を体感する |
12 | 事業再生のシミュレーション | 簡単な事例を元にした事業再生のシミュレーション |
13 | 不確実性と期待効用仮説 | 合理的な行動、情報の非対称性、破綻リスク |
14 | 交渉学と事業再生 | 事業再生を例にとり、交渉学を学ぶ |
15 | 総括・レポート作成 | 講義全体のまとめとレポート作成 |
(3)事業再生論(高崎経済大学)
さまざまな理由で経営が悪化し、事業継続が困難になることがあります。この場合、事業譲渡や会社分割、M&Aという形で事業を再編し、事業の再生を進めることも少なくありません。事業再生の基本的事項を理解し、法的な知識を得ることで、今後、具体的に必要とされた際に応用するための基礎力を身に着けることを目的とします
週 | 授 業 項 目 | 授 業 内 容 |
---|---|---|
1 | 授業の概要把握 | 全体の把握 |
2 | 不良債権と事業再生 | 不良債権の発生と事業再生の必要性 |
3 | 事業再生に関わる法制度 | 民法、会社法、会社更生法、民事再生法、破産法、税法等々 |
4 | 法的整理と私的整理 | 裁判所に頼るのか否か、風評被害、詐害行為 |
5 | 再生と清算 | 事業継続の可能性、モラルハザード |
6 | 金融検査と債務者区分 | 金融機関の立場、金融検査 |
7 | 債権放棄と債権譲渡 | サービサー、債権者の貸倒損失、債務者の債務免除益 |
8 | 事業再生に関わる損益計算書 | 破綻企業の経営成績、収益・費用・利益 |
9 | 事業再生に関わる貸借対照表 | 破綻企業の財政状態、資産・負債 |
10 | 事業再生に関わる経営分析、キャッシュフロー | 粉飾決算の実際、見破り方 |
11 | 事業譲渡、会社分割、M&A、第二会社方式 | 事業再生に関わる組織再編 |
12 | 事業再生の実例 | 実際の事業再生、事業再生計画、シミュレーション |
13 | 事業再生に関わる法と経済学 | 情報の非対称性、債権者と債務者の行動 |
14 | 事業再生に関わる法と交渉学 | 配分型交渉と統合型交渉 |
15 | 講義全体のまとめ | 知識の再確認 |