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2021年04月12日(月) 無剰余による競売の取消

競売が実施され裁判所が定めた買受可能価額が、債権額と競売手続費用の合計見込額を下回る場合を無剰余といいます。このように競売を実施しても差押債権者に配当される余剰がない場合には、配当が回ってこない債権者からの競売申し立は無益な競売として認めていません(民事執行法63条1項)。このような場合は、競売手続を裁判所が職権で取り消すことになります。

 

無剰余かどうかの判断は、現況調査報告書および評価書が提出され、優先債権の見込額が確定できる時期以降に行われます。裁判所は剰余を生ずる見込みがないと判断したときは、その旨を差押債権者に通知することになります。

 

裁判所が無剰余と判断した場合に、競売申立債権者が定められた期間内に何もしなければ、競売手続は職権で取り消されます。

 

無剰余となった申立債権者が競売手続の続行を望む場合には、無剰余通知を受け取ってから1週間以内に下記のいずれかの措置を講ずる必要があります(民事執行法63条2項)。

 

ⅰ.手続費用と優先債権の合計額以上の額で自ら買い受ける旨の申し出をしてその申し出に相当する保証を提供する方法

ⅱ.剰余を生じる見込みがあることを証明する方法

ⅲ.優先債権者の同意を得ていることを証明する方法

 

2021年04月06日(火) 敵と味方の区別もつかないようでは事業再生は困難

事業再生に携わっていると、様々な人々に出会います。独立して20年以上の間、独立前の金融機関の回収責任者時代を合わせると四半世紀もの間に、いろいろな経営者、債権者に出会いました。

 

長年にわたり事業再生を専門に行っていたため、事業再生に関する相談を受けた場合、最初の段階で再生に向けてのストーリーが見えてしまいます。早い段階でストーリーが見えるので、再生を進めるにあたって方針が大きくブレることがありません。初期の段階の考えや発言が変わることはあまりないのです。そういう意味で、コロコロ話が変わる偽コンサルタントは「わかっていない」ということができるでしょう。

しかし、経営者の姿勢や考え方が変わることは少なくありません。場合によっては、敵と味方が誰なのかを見失ってしまう経営者さえいるのです。

 

争う相手という意味ではなく、利益が相反するという意味で債権者は債務者の敵なのです。口先では債務者を思っているようなことを言いながら、土壇場で「本部の指示」「ファンドの指示」を理由に手のひらを反すような事例は何件も見てきました。悪意の有無は別として、金融機関にも論理があるのでやむを得ないことでもあります。

公的支援機関や金融機関が「中立的な立場からデューデリを行う」ことを理由に選任した「中立的」であるべき第三者はどうでしょうか。債権者の顔色を見るような第三者であれば中立ではなく敵というべきですが、そうではなく、あくまで中立であるならば敵ではないといえるでしょう。しかし中立であるということは、敵ではないものの味方でもないということでもあります。中立ではあるが、味方ではない第三者に過度の期待をしてはならないのです。情報の非対称性を解消してもらうという意味であれば、中立の第三者は有用ですが、全ての場合に有用だというものではありません。

 

「藁にも縋(すが)る」といいますが、味方ではない中立の第三者が時として「藁」だということに気付くべきだと思います。藁に縋ったところで、何の役にも立たないのです。

思うように進まない焦りや、不満、不安から、敵と味方を見失ってしまうようでは債務者主導の再生は期待できません。注意が必要です。

 

2021年03月30日(火) 着手金と成功報酬に潜む問題

着手金を介在させる場合の問題点としては、着手時点で経済的利益を得ているので、その後において手抜きをするという危険があるということです。仮に成功報酬を受け取れなくても、着手金を受取っているから満足だというわけです。

 

成功報酬を介在させる場合の問題点としては、何をもって成功とするかを慎重に見極めなければならないということを挙げることができます。たとえば、もう少し工夫したり、交渉することで1億円の債権放棄が期待できる場合に、味方であるはず専門家が、何かと理由をつけて1億円に満たない金額で合意することを勧めてくるようなケースが考えられます。

なぜ、低い金額で合意を勧めるかというと、低い金額で手堅く合意したとしても、「成功」として成功報酬が得られるからです。

他の例としては、高額の融資を受ける必要はない事例であるにもかかわらず、わざわざ融資を調達して融資獲得に成功したとして成功報酬を受け取る融資ブローカーのような業者も存在します。

必要のないこと、無駄なことを「成功」として報酬を支払うほど無意味なことはありません。何をもって成功とするのか、十分に見極めることが必要です。

 

着手金にしても、成功報酬にしても、必ずしもすべての場合に有効な報酬体系にはならないことに注意することが必要です。味方であるべき者が成功報酬に目が眩み、いつの間にか敵になっていないか、慎重に見極めなければなりません。

 

2021年03月22日(月) 債務者の主体性が必要

債権者との協調は極めて重要ですが、債務者が主導的に動くべき場面があることも否定できません。たとえば再生のスケジュールです。再生方針を策定した後は、債務者が独断的ではないまでも、積極的に行動しなければなりません。債権者の重い腰を上げさせるには債務者の積極的なアプローチが必要なのです。

事業譲渡にしても、会社分割にしても、さらには、特別清算にしても、債務者が主体的に進めないと、いつまでたっても話が進まないということもあるのです。

 

債権者が選任した外部のコンサルタントに任せきりにしたのでは、債務者主導の再生は期待できません。なぜならば、外部のコンサルタントは債務者ではなく、債権者の顔色を見るからです。あわよくば次回も別案件で債権者に選任されたいと思うのも無理はありません。いわば債権者寄りの外部業者に、いいように丸め込まれかねないので注意が必要です。

債権者との協調を進めるだけではなく、債務者は主体的に行動しなければならないのです。主体的といっても身勝手な詐害行為が許されるわけがありません。債権者との協調と、債務者の主体的行動を両立させなければならないのであり、微妙なバランスを取りながら成功を目指すことこそ、真の専門家が手掛ける戦略的事業再生なのです。

 

2021年03月15日(火) 債務者を育てて高く売る

債権者が自ら選任したコンサルタントを派遣してくることがあります。金融機関ではなく債権者と表現したのは、初めに融資を実行した金融機関だけではなく、債権譲渡で出現したサービサーや投資家のような新しい債権者も同じ債権者だからです。

いずれの債権者であっても、コンサルティングチームだとかプロジェクトチームだとか銘打って人員を送り込み、債務者の経営実態を根こそぎ洗い出して経営改善を進めるのです。債権者としても従来の経営者と共に経営にあたることで過去から現在に渡る経営ノウハウを吸収できますので、数年の間、手を取り合って経営改善することは効果的です。

 

その間、債権者は利息だけを受取り、元本は棚上げにします。「利払いだけで結構です」「一緒に経営改善をして立派な企業に育てましょう」と、あたかも救世主のような言動により、旧経営者の尻を叩いて経営にあたらせます。これにより企業価値を高めるというわけです。従来の返済能力が100であったところ、120になり150になれば、それはそれで結構な話です。

問題はその後です。

 

数年後、債権者は一括回収へと態度を変えてくるのです。「既に数年が経過した。債権を処分するので、金融機関から融資を受けて一括返済してくれ」と言ってきます。数年の間に培った信用を基に、金融機関を確保できれば、そこで肩代わり融資を受けて、一括返済してくれと言い出すのです。融資が確保できなければ、どこかから見つけてきた同業者に経営権を譲渡するように迫ってきます。

 

「一緒に頑張ってきた〇さんに自立してもらいたいので融資を受けて返済してくれれば残額は放棄する。融資が確保できなければ他社に会社を譲渡してくれ」と、飴と鞭で迫ってきます。何のことはない、債務者は数年間、債権者が有利な条件で一括回収できるように協力させられただけなのです。返済能力が100のままでは高く処分できなかったものを、120や150に能力を高めることで、より多くの回収ができるように力を貸しただけの話なのです。換言すれば、数年前であれば100の返済能力に対応する一括返済をすれば良かったものを、数年後になって120、150という高い一括返済額を要求されるというわけです。

 

2021年03月09日(火) 事なかれ主義

公的支援制度において専門家が選任・紹介される場合、公平中立な立場から活動することが求められます。お役所仕事とは言わないまでも、後で問題が生じないように無難な対応しか行うことはできません。公平中立とは、「金融機関寄りでない」と同時に、「債務者寄りでもない」ことを意味しますので、債務者に有利な形での誘導はできないのです。

 

たとえば、従来の経営者が経営権を確保するために形式上の第三者を立て、第二会社に資産や事業を譲渡するというような、「究極の第二会社方式」に協力を期待することはできません。まして、できるだけ安価(適正価格)で身内に移転することなどは望むべくもありません。この場合の安価とは、たとえば債権者との交渉で一部の資産や事業を高く売却することと引き換えに、残った部分を身内に残すような場合の価格のことです。公平中立である以上、債務者が条件交渉を期待する方が無理というものです。

 

このような債務者側の立場に立って行動することを、公的支援機関により紹介された公正中立な専門家には期待できません。公正中立である以上、大きなトラブルが生じないよう、特に債権者からクレームが寄せられないような事なかれ主義のコンサルティングしかできないのです。金融機関により紹介された専門家についても事情は同じです。

露骨に債権者寄りにならないまでも、積極的に債務者側に立つことは無理というものです。仕事を紹介してくれた金融機関に不利になるような対応ができるはずがありません。

 

2021年03月02日(火) マンション管理と内部統制

このたび、「マンション管理における不正を防止するための内部統制とマンション管理の態様ーリゾートマンションを念頭に置いて-」と題する研究論文を発表しました。

その内容を一足先にホームページ上で公開します。

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