2016年

ここでは過去のコメントを表示しています。最新の情報は新着ブログをご覧下さい。


2016/12/25 価格の概念と競売制度(2/3)
2016/12/20 北方領土と南方領土
2016/12/14 演繹法と帰納法
2016/12/09 救済されない経営者
2016/12/05 外部の独立した立場の専門家
2016/12/01 自動運転技術
2016/11/25 価格の概念と競売制度(1/3)
2016/11/22 津波警報は早めに撤回することが大切だと思います
2016/11/21 定量評価と定性評価
2016/11/20 粉飾決算
2016/11/11 誤った対応で話をこじらせてしまった例
2016/11/04 東京電力は法的整理をすべし
2016/10/30 別会社への肩代わり融資と付け替え融資
2016/10/26 なんでもかんでも行政の責任にするな
2016/10/23 どんなときに競売を行うのか(2/2)
2016/10/20 どんなときに競売を行うのか(1/2)
2016/10/12 粉飾決算対策
2016/10/07 不動産の価格と鑑定評価(2/2)
2016/10/03 不動産の価格と鑑定評価(1/2)
2016/09/28 債権者のタイプを見極める
2016/09/25 不良債権の再生計画
2016/09/20 不動産の価格
2016/09/15 村田蓮舫氏は議員辞職すべし
2016/09/13 豊洲市場への移転は中止すべし
2016/09/09 子会社にするか吸収合併するかの違い
2016/09/04 他人の真似ではない戦略的事業再生の必要性
2016/08/31 債権者全体を把握することが重要
2016/08/26 債権者の「本気度」を確認する
2016/08/21 取締役の責任
2016/08/17 後日になって足をすくわれないように注意が必要です
2016/08/15 SMAPの解散と選挙制度のあり方
2016/08/13 株式譲渡によるM&A(2/2)
2016/08/09 株式譲渡によるM&A(1/2)
2016/08/08 尖閣諸島
2016/08/04 取締役の責任軽減
2016/07/31 都知事選の結果
2016/07/28 一括回収か分割回収か
2016/07/23 味方が敵の立場に立っていないか
2016/07/21 事業再生後の節税対策と利益分配
2016/07/14 債権者との交渉の進め方
2016/07/10 M&Aに関わる留意点
2016/07/05 日本交渉学会の理事に就任しました
2016/07/03 第二会社方式の留意点
2016/06/29 匠大塚は大塚家具を子会社化すべし
2016/06/28 正しい投票活動を期待したいところです
2016/06/27 裁判所ではなく債権者に泣きつくべし
2016/06/24 石巻殺傷事件で少年に死刑を課すことの是非
2016/06/20 相談相手を間違えて事業再生に失敗しないように注意が必要です
2016/06/16 舛添氏の騒動と事業再生
2016/06/14 舛添都知事が辞職しやすい環境を作るべし
2016/06/13 相談内容と相談相手を見極めることが大切です
2016/06/08 学歴・経歴詐称にも匹敵する背信行為により当選した選挙自体に問題がある
2016/06/06 専門家の守秘義務
2016/06/02 相続対策としての第二会社方式
2016/05/30 銀行の合意が得られない場合
2016/05/26 何事にも落としどころを探ることが重要だと思います
2016/05/22 第二会社に取締役会は必要か
2016/05/19 お詫び(一時的にホームページにアクセスできませんでした)
2016/05/18 自らの利益を求める偽コンサルタントに注意してください
2016/05/17 震災遺構は必要ない
2016/05/15 舛添都知事への追及が甘いのではないか
2016/05/12 レモン市場の原理と会計事務所の役割
2016/05/09 外出先での原稿チェック
2016/05/08 競売処分と経済合理性の判断
2016/05/06 偽物に騙されないための本物の検索方法
2016/05/03 都知事の海外出張
2016/05/01 事業再生における第二ステージの成功が増えています
2016/04/25 事業デューデリと財務デューデリ
2016/04/20 ナチスドイツの脅威と地震の脅威
2016/04/16 地震保険の免責条項は一律に適用すべきである
2016/04/15 首都機能の分散と地震保険の強制付保を進めるべきである
2016/04/14 大塚家具の争いと前会長の起死回生策
2016/04/12 日本交渉学会での学会発表
2016/04/07 政治家の不正を追及する質問のあり方
2016/04/04 STAP細胞と徳川埋蔵金
2016/04/01 出張報酬を引き下げました
2016/03/31 シャープの買収に関して思うこと
2016/03/25 事業再生に関わる会計事務所の役割
2016/03/16 自称経営コンサルタントの学歴・経歴詐称
2016/03/15 野球賭博は個人責任ではなく組織責任を追及すべきである
2016/03/09 日本交渉学会で講演を行います
2016/03/07 経済合理性と抵抗勢力
2016/03/01 シャープの再生は法的手続によるべし
2016/02/26 第二会社方式
2016/02/24 シャープの技術を海外に流出させてはならない
2016/02/16 株価の乱高下
2016/02/11 イクメン議員は辞任すべき
2016/02/09 温泉旅館の有料貸し切り風呂
2016/02/05 雪景色とホテル・旅館の経営破綻
2016/02/02 中断するくらいなら始めないほうが無難かもしれません
2016/01/29 返済能力と再生計画
2016/01/21 事業承継と第二会社
2016/01/17 北海道や青森での地震
2016/01/13 正式に選任されていない取締役の責任
2016/01/11 全国の会計事務所と協働で事業再生に取り組んでいます
2016/01/05 株価変動と株価予想


価格の概念と競売制度(2/3)
2016年12月25日(日)

平成26年4月より株式会社ミロク情報サービスの客員研究員を拝命しています。
毎月一回の研究会に参加するだけではなく、毎月一回の経営研究レポートを発表しており、ミロク情報サービスのホームページで紹介されています。

第32回の経営研究レポートが公開されました。

今回のテーマは「価格の概念と競売制度(2/3)」で、その要旨は次の通りです。

ーーー

要旨:

前回は価格の概念について明らかにしました。今回は、正常価格と競売価格が乖離する理由をより具体的に明らかにした後、競売制度における様々な概念や制限、さらには競売制度の各段階における情報について整理します。

ーーー


記事を読むにはミロク情報サービスの会員になる必要があります。
会員は(1)会計事務所向けと(2)企業経営者向けに分かれています。


(1)会計事務所の先生の場合は「tvs会員」になる必要があります。
下のアドレスから著者名を指定して検索できます。
http://tvs.mjs.co.jp/working/management/research-rep/not_cached.html


(2)企業の経営者の場合は「GOODWILL PLUS会員」になる必要があります。
下のアドレスから著者名を指定して検索できます。
http://goodwill.mjs.co.jp/working/management/research-rep/not_cached.html


多くの有益な情報を入手できますので、入会することをお勧めします。
私自身、他の研究員の研究レポートを拝読し、参考にさせていただいております。


入会にあたってはお近くの(株)ミロク情報サービスの営業拠点にご連絡ください。営業拠点は下のアドレスから検索できます。
http://www.mjs.co.jp/office/tabid/479/index.php#no2


北方領土と南方領土
2016年12月20日(火)

プーチン大統領。

いったい何の騒ぎだったのでしょう?


そもそも北方領土は必要なのでしょうか?

敗戦のドサクサでロシアに奪われたとはいえ、所詮、日本は敗戦国なのです。敗戦国民の分際で、ガタガタ言うのはまさに負け犬の遠吠えです。

貴重な自然だ、豊富な海洋資源だと騒ぎますが、犠牲を払ってまで必要なのでしょうか?

島民の領土に対する思いなど、同情に値するとしても、保護に値するとは思えません。


北方領土はロシアとの交渉材料とし、それを全世界にアピールすること、たとえばロシアとの連携を深めるために北方領土を材料にした交渉を継続し、ロシアとは付かず離れずの関係を保つべきです。北朝鮮、中国、場合によってはアメリカに対しても、日本とロシアとの関係は牽制力にもなるからです。北方領土は返還を求めるのではなく、返還を求めるふりをしながら交渉材料とすべきではないでしょうか。


守らなければならない担保不動産を死守するための交渉材料であり、場合によっては処分しても良い副担保みたいなものです。北方領土は、その程度の位置づけとして扱えば十分ではないでしょうか。必要以上の擬制を払ってまで北方領土に固執する必要はないと思います。


沖縄。

相変わらず、辺野古訴訟で国に敗訴した翁長知事がゴチャゴチャ言っています。

文句があるなら独立でもなんでもしろ、と言いたくもなります。

基地負担が多すぎると騒ぎながら多額の補助を引き出し、大した産業があるわけでもなく補助金に依存しておきながら国政に反対ばかりするのは、かえって沖縄県民の利害を害するのではないでしょうか。


北方領土が必要なのかを考えると同時に、南方領土の必要性も再考すべきだと思います 。


演繹法と帰納法
2016年12月14日(水)

理論を展開するにあたり、前提となるルールから個々を展開することを演繹法、個々の事実から一般論を導き出すことを帰納法といいます。


演繹法は、「Aだから、Bである」というように、前提となるルールに当てはめて論理を展開する方法です。この場合の演繹法の誤りの例としては、「債権者は常に多額の回収を選ぶ」のだから、「低額の競売による回収ではなく、より高額の任意売却による回収が選ばれる」という不適切な演繹が考えられます。そもそも「債権者は常に多額の回収を選ぶ」という前提が正しくないルールであるにもかかわらず、これを普遍的なルールとして判断の根拠にしているところが不適切なのです。


これに対し、帰納法は、多くの事実から共通点をまとめ、抽象化することで一般論を導き出す方法です。対象となる事実が適切でなかったり、少数の事実から無理に一般論を導き出すことで誤解を生じさせるようなことがあってはなりません。このような安易な一般化は帰納法の欠点といえます。すなわち、帰納的に導いた結論が絶対的な真理とは言えない可能性があるのです。

事業再生に関わる交渉を例にとると、この場合の帰納法の誤りとしては、「AもBもCも債務免除を受けた」のだから「Dも債務免除を受けられる」という安易な一般化が考えられます。A、B、Cが債務免除を受けたとしても、それぞれに固有の事情があったのであり、共通しているのは債務免除を受けたという結果だけです。それぞれの事情を無視し、結果としての事実から無理に一般論を導き出す点が間違いというわけです。


演繹法にしても帰納法にしても、典型的な誤りを犯していることに気づかないまま論理を展開している「専門家」が少なくありません。

理由付けに着目するだけで、「専門家」のレベルの高さを判断することができます。試してみてはいかがでしょうか。


救済されない経営者
2016年12月09日(金)

店先に並ぶ商品を買う場合、消費者は商品を手にとって品定めをします。たくさんの品が並んでいれば、比較することで良し悪しが一目瞭然となります。

金融取引において、金融機関はさまざまな経営者に接します。

たくさんの経営者を相手にしますので、経営者の良し悪し、経営能力の有無は一目瞭然です。経営者が小手先だけで取り繕って、その場は誤魔化したとしても、金融機関の疑念を晴らすことはできません。金融機関はお見通しなのです。


一方の経営者は取引銀行としか接しません。他の経営者を知る由もなく、他の有能な経営者と比較して、自らが劣位にある場合にその事実を知る術がありません。金融機関は経営者を比較できるのに、経営者は自らを比較できない。この差はいかんともしがたいものがあります。

このような中、他の経営者と比べて劣位にある経営者は、自らを取り繕えば取り繕うほど、金融機関の信頼を失う一方なのです。


不誠実な経営者は論外ですが、誠実であっても経営能力に欠ける経営者も淘汰されることでしょう。

この場合の淘汰とは、破綻するという意味ではなく、救済されないという意味です。

すなわち、差押えや競売といった強硬手段で破綻に追い込まれることはないとしても、金融機関が自らの債権として経営者の再生を支援することなく、保証協会の代位弁済を受けることで手を引くようなことが考えられます。もちろん、手形発行の協力などが期待できるはずがありません。


救済されない経営者。

このようなレッテルを張られないように、当社では可能な限りの支援を行っています。経営参謀に不足している経営者はお気軽にご連絡ください。

ただし、改善するのは経営者自身です。できるだけの支援を行いますが、経営者自身で改善の努力を行えないのであれば効果は期待できません。この辺りを自問自答することをお勧めします。


外部の独立した立場の専門家
2016年12月05日(月)

金融機関で債権回収責任者を務めていた頃、さまざまな債務者と接しました。

債務者の中には自称コンサルタントを伴って返済交渉に現れた債務者もいました。しかし、そのような自称専門家から得るものはありませんでした。単にペラペラと債務者の言い分を代弁するだけであったり、何の根拠もない情報に基づいて返済金額の妥当性を一方的に主張するだけであったりと、無意味な部外者にすぎないことが大半でした。


法的に認められた有資格者である専門家と、無資格者の違いについては拙著でも、本欄でも明らかにしています(例2010年1月5日、2012年7月11日他)。それだけではありません。

無資格者は法的な独占資格や法的な拠り所がないために、自称専門家、自称コンサルタントを名乗ります。それしか道がないからです。典型的な例は「私は自分の借金を〇億円解消しました」「私は金融機関の融資経験があります」等々、自らの狭い範囲の経験を、あたかも一般的、普遍的なものかのように大げさに主張することで専門家を名乗るのです。

さらには資格がないための苦肉の策として、債務者の内部関係者を名乗る例もあります。

顧問、相談役、社長室長等々、経営陣の一角を占めているかのような肩書をぶら下げて債権者との交渉に臨もうとするのです。


たしかに、ケースによっては専門資格を活用して会計参与などの形で内部関係者となるのも効果的な場合もありますが、内部関係者として交渉に臨むことが必ずしも良いとはいえません。

例えば第二会社方式による事業再生にあたって不動産の評価が必要な場合、内部の自称専門家(無資格者)が評価した金額と、外部の不動産鑑定士が鑑定した金額ではどちらが説得力をもつのかは明らかです。

外部の中立的な職業的専門家として関与することで債権者の理解を得ることも重要なのであり、外部の独立した専門家として行動できるのは、有資格者すなわち法的に認められた職業的専門家だけなのです。


経営者に対し、無資格者が内部関係者になるというアプローチをしてきたら要注意です。相談相手を慎重に見極めることが大切です。


自動運転技術
2016年12月01日(木)

日産自動車の新型セレナに搭載された自動運転技術は面白いと思います。

同一車線であれば低速から高速まで自動運転をするというものです。ホンダの自動運転は低速域をカバーしていないので、渋滞時には使えないという問題がありましたが、日産の技術はこれを解決しているので優位にあると思います。


私が大学卒業時に新入社員として社会人のスタートを切ったのは日産自動車の本社です。本社が銀座にあった時代のことです。

社員による「提案制度」というものがありました。国内A級ライセンスを持ち、車好きの新人社員でしたので多くの提案をしました。金バッジこそ貰えませんでしたが、新入社員ながら銀バッジと銅バッジを胸に光らせていたことを覚えています。

しかし採用されなかった提案もありました。

「(当時の)ハンドルにはクラクションスイッチしか付いていないが、その他にもいろいろなスイッチをハンドルにつける」「ウィンドウォッシャー液はボンネットから飛ばすのではなく、ワイパーから染み出るように放出する」という提案は採用されませんでした。いずれも、技術的に困難、ニーズが無いというような理由で拒絶されたと記憶しています。

しかし、今では多くの車が採用しています。あの時の拒絶理由はいったい何だったのでしょう。いまだに理解できません。


自動運転技術。

低速をカバーしたから十分なのではありません。高速で100キロが限界だとすれば実用的ではないでしょう。100キロで走行する車は少ない状況で、悠々と100キロで自動運転されたのでは渋滞を招いてしまうからです。


提案したところで「スピード違反には加担できない」という理由で拒絶されるのでしょう。

しかし、ベンツのE型に搭載されている自動運転装置は100キロ超でも作動します。

高速道路の120キロ制限への移行が計画されている折、「やはり外国車が良い」とならないことを期待します。


ドイツのアウトバーンには制限速度が設定されていません。自己責任で走行しています。一方、日本の高速道路では多くの車が制限速度を守らない中、覆面パトカーがみせしめのような取り締まりを行っています。

猥褻物陳列罪があるのに猥褻画像や猥褻動画を放置し、賭博罪があるのにパチンコ景品交換を放置する日本。スピード違反が横行するのに自動運転装置で渋滞を招く日本。自己責任で制限速度のないドイツ。


せっかく優秀な技術を持つ日本なのに、日本の規制のあり方が正しいのか、大いに疑問を感じてしまいます。


価格の概念と競売制度(1/3)
2016年11月25日(日)

平成26年4月より株式会社ミロク情報サービスの客員研究員を拝命しています。
毎月一回の研究会に参加するだけではなく、毎月一回の経営研究レポートを発表しており、ミロク情報サービスのホームページで紹介されています。

第31回の経営研究レポートが公開されました。

今回のテーマは「価格の概念と競売制度(1/3)」で、その要旨は次の通りです。

ーーー

要旨:

価格の概念には様々ものがあります。時価と簿価の違いだけではなく、公示価格、基準地価、路線価、固定資産税評価額等々です。その他にも、不動産鑑定評価における比準価格、積算価格、収益価格、さらには限定価格等、様々な概念があります。今回から三回に分けて価格の概念と競売制度について取り上げることにします。第1回は価格の概念や相互の関連性を明らかにした後、競売価格の特殊性を明らかにします。

ーーー


記事を読むにはミロク情報サービスの会員になる必要があります。
会員は(1)会計事務所向けと(2)企業経営者向けに分かれています。


(1)会計事務所の先生の場合は「tvs会員」になる必要があります。
下のアドレスから著者名を指定して検索できます。
http://tvs.mjs.co.jp/working/management/research-rep/not_cached.html


(2)企業の経営者の場合は「GOODWILL PLUS会員」になる必要があります。
下のアドレスから著者名を指定して検索できます。
http://goodwill.mjs.co.jp/working/management/research-rep/not_cached.html


多くの有益な情報を入手できますので、入会することをお勧めします。
私自身、他の研究員の研究レポートを拝読し、参考にさせていただいております。


入会にあたってはお近くの(株)ミロク情報サービスの営業拠点にご連絡ください。営業拠点は下のアドレスから検索できます。
http://www.mjs.co.jp/office/tabid/479/index.php#no2


津波警報は早めに撤回することが大切だと思います
2016年11月22日(火)

福島沖で震度5弱の地震が発生しました。関東でも大きく揺れ、早朝に飛び起きる羽目になる程でした。


テレビでは津波警報が繰り返され、5時59分の地震発生から3時間以上を経過しても、高台に逃げろと繰り返していました。映像では、自衛隊が撮影した浜辺の映像を垂れ流していました。

アナウンスでは「高台に逃げろ」「海に近づくな」とダラダラ繰り返される一方で、浜辺の映像では何ごともなかったように車が行き来していました。


さてさて、津波の警報。

これで良いのでしょうか。いち早く警報を出すことには大賛成です。たとえ空振りであっても、いち早く警報を出すことは必要だと思います。

問題はその後の対応です。3時間以上もダラダラ避難を訴えることが正しいのか大いに疑問です。


自衛隊は浜辺に沿って映像を流すのではなく、震源地に向かって海上を撮影すべきではないでしょうか。海上に大きな変化がないならば、警報から注意報に早目にトーンダウンすべきではないでしょうか。

怖いのは「どうせ、大したことない。そのうち解除になるだろう」と、警報が軽視されることです。そうならないように、警報を安易に流さない工夫が必要だと思います。


警報を「早めに出す」ことが重要であることと同じに、警報を「早めに撤回する」ことも重要だと思います。今回の地震で、警報が注意報に代わったのは地震発生後、4時間近くたってからでした。あまりに遅い対応だったと思います。

警報と注意報を積極的に使い分けるべきではないでしょうか。


定量評価と定性評価
2016年11月21日(月)

数値を基に判断することができる経営分析を「定量評価」と呼ばれます。一方、数値では表せないものの、経営者の属性に依拠して経営分析を行うこともあり、これを「定性評価」と呼びます。具体例の一部としては、次に掲げるようなチェックポイントがあります。


①経営能力・管理能力

・経営理念(信条)、経営方針、目標はあるか。

・数値管理能力は十分か。

・斬新な経営感覚を持っているか。

②企画力・実行力

・商品に対するアイデアに主導権をもってリードしているか。

・技術開発、研究面に力を注いでいるか。

・経営の合理化、改革に意欲と実行力を持っているか。

・経営計画は着実に実行され、適切に点検されているか。

③人格・識見

・公共社会、業界、従業員などに対する責任感は十分か。

・企業並びに経営者個人の税務申告に問題はなかったか。

・協調性と適度の社交性はあるか。

・企業内の雰囲気は明るく、規律が良好と感じられるか。

④個人生活・経歴

・どのような経歴か。

・健康状態は良好か、経営活動に支障はないか。

・家族(特に配偶者)、同族関係者の評判はどうか。

・社長の個人資産(特に不動産)の所有状況はどうか。


経営者は、その人格まで評価されているというわけです。


粉飾決算
2016年11月20日(日)

損益計算書の経常損益などを意図的に操作して、企業の経営成績を隠蔽し実態より良く見せることが典型的な粉飾決算です。

貸借対照表の資産を過大計上したり、負債を簿外計上するなどして、企業の財政状態を実態より良く見せる場合もあります。反対に、脱税などの目的で、会社の決算を実態より悪いかのように偽装して決算書を作成することは「逆粉飾決算」と呼ばれ、これも粉飾決算に含まれます。


なぜ粉飾が行われるのかというと、利益の過大計上により信用を高く見せたり、利益の過少計上により分配を回避したり納税を回避することが理由としてあげられます。

たとえば、利益を過大計上する粉飾の典型的な方法としては、「売上高を架空計上し、売掛金を過大計上する」という方法があります。売上そのものが架空であるため、現金を得られることができず、そこで売掛金としておくわけです。そうなると架空の売上の分だけ売掛金が膨らんでいきます。

このように粉飾決算は何らかの形で決算書類に現れてきます。

したがって、損益計算書や貸借対照表を単体として理解するだけではなく、損益計算書と貸借対照表の両方の関係を念頭に置きながら決算書類を理解することが必要になるのです。


粉飾決算は必ずバレます。なぜならば、どこかに何らかの無理が生じているのであって、いずれは破綻するからです。

拙著の中でも繰り返し指摘していますが、損益計算書の粉飾すなわち現在の粉飾は直ちに中止すべきです。貸借対照表の粉飾すなわち過去の粉飾は債務超過の程度を見極めながら正しい方向に修正すべきです。


誤った対応で話をこじらせてしまった例
2016年11月11日(金)

弁護士に相談を持ちかけた結果、自己破産させられた例については拙著の中でも紹介しています。今回、新たに紹介する例も弁護士の誤った対応により、話がこじれてしまったケースです。


その例は時間をかけてリスケを行えば返済が可能なケースでした。

各金融機関の協力を得て、協調して取り組めば解決するケースだったのですが、弁護士に「どのような解決を望むのか」を聞かれた経営者は「できれば債権放棄をしてもらいた」と答えたのです。

これを真に受けた弁護士は、リスケによる事業再生を目指すのではなく、債権放棄を求めて各金融機関と交渉を始めてしまいました。その結果、話がこじれてしまい、今では会社更生法による再生だとか、M&Aで身売りすると騒いでいます。


おそらく金融機関の論理を知らない弁護士だったのでしょう。

金融機関の実務を知っていれば、債権放棄は通らないことを分かったはずです。リスケで解決できるものケースなのに、債権放棄をすることはできないのです。にもかかわらず、債権放棄を求めて下手な交渉を始めてしまったために話がこじれてしまったのです。


経営者にしてみればリスケより債権放棄の方が良いに決まっています。返済額が減るからです。

しかし、「できないものはできない」と、ハッキリ伝えることがコンサルタントの役割ではないでしょうか。

債権放棄を安請け合いし、会社更生法だ、M&Aだと、経営者の望まない方向に進んでしまっても、弁護士は痛くも痒くもないのかもしれません。手付金はもらっていますし、今度は、会社更生法、M&Aの案件として手数料を稼ぐつもりなのでしょうか。


弁護士やコンサルタントは「相談する」相手ではなく、「利用する」相手なのです。

経営者としても、最低限度の知識を得ておく必要があるかもしれません。


東京電力は法的整理をすべし
2016年11月04日(金)

日経新聞の記事によると、エアバッグの回収・無償修理の問題を抱えているメーカーのタカタが米子会社について、米連邦破産法11条(日本の民事再生法)の適用を申請する方向で調整しているとのこと。今後もリコール費用や損害賠償請求が膨らむ見通しの中、債務を法的に確定させ再建策を立てやすくするとのこと。


当然の策だと思います。

法制度が異なる中、親会社のタカタ、ならびにタカタの経営陣は巨額の賠償を求められるのは必至でしょう。


東京電力。

被災者であることを振りかざし、法外な要求を突きつける悪質な「被災者」も少なくないようです。巨額の原発マネーで潤っていたにもかかわらず、事故が起きたら今度は被災者として補償を求める。これでは東京電力を食い物にしているに等しいのではないでしょうか。


この際、東京電力も法的整理をすべきです。

補償債務の額を確定して補償する清算会社、廃炉処理を進める国策会社、電力供給を行う電力会社に分社すべきではないでしょうか。

沖縄にしても福島にしても、宮城にしても、いい加減にしろ!と声を大にしたいところです。


別会社への肩代わり融資と付け替え融資
2016年10月30日(日)

平成26年4月より株式会社ミロク情報サービスの客員研究員を拝命しています。
毎月一回の研究会に参加するだけではなく、毎月一回の経営研究レポートを発表しており、ミロク情報サービスのホームページで紹介されています。

第30回の経営研究レポートが公開されました。

今回のテーマは「別会社への肩代わり融資と付け替え融資」で、その要旨は次の通りです。

ーーー

要旨:

返済が行われなくなった場合に、担保を処分することで回収を行うという担保主義の融資ではなく、きちんとした事業計画に基づいた融資を行うことが本来の姿です。事業再生にあたっては、他行の返済を肩代わるという肩代わり融資と、自行の返済を新しく行うという付け替え融資が利用されています。両者の違いを念頭に置き、今回は別会社への融資のあり方について整理することにします。

ーーー


記事を読むにはミロク情報サービスの会員になる必要があります。
会員は(1)会計事務所向けと(2)企業経営者向けに分かれています。


(1)会計事務所の先生の場合は「tvs会員」になる必要があります。
下のアドレスから著者名を指定して検索できます。
http://tvs.mjs.co.jp/working/management/research-rep/not_cached.html


(2)企業の経営者の場合は「GOODWILL PLUS会員」になる必要があります。
下のアドレスから著者名を指定して検索できます。
http://goodwill.mjs.co.jp/working/management/research-rep/not_cached.html


多くの有益な情報を入手できますので、入会することをお勧めします。
私自身、他の研究員の研究レポートを拝読し、参考にさせていただいております。


入会にあたってはお近くの(株)ミロク情報サービスの営業拠点にご連絡ください。営業拠点は下のアドレスから検索できます。
http://www.mjs.co.jp/office/tabid/479/index.php#no2


なんでもかんでも行政の責任にするな
2016年10月26日(水)

東日本大震災の津波で死亡・行方不明になった宮城県石巻市大川小の児童23人の19遺族が市と宮城県に損害賠償を求めた訴訟の判決で、仙台地裁は学校の責任を認め、計約14億2660万円を支払うように命じました。当時、児童74人と教職員10人の計84人が死亡・行方不明になり、校内にいて助かったのは教職員11人のうち男性教務主任1人と、児童4人のみとのこと。


さて、どんなものでしょうか。
遺族には同情しますが、私は判決に承服できません。
まさかここまで津波がくるとは思わなかったというのは無理もない話です。教職員も多くが命を落としたのであり、誰一人職場を放棄して逃げたわけではなく、最後まで生徒を守ろうとしたのです。


結果論を振りかざし、教職員の誘導を断罪するのはいかがなものでしょうか。
これを許すなら、残りの遺族も次々と訴訟を提起することでしょう。結果として県と市の税金が充てられるのです。

(1)津波の到達を予見できたか(2)津波の被害を回避し児童を救えた可能性があったか等を断ずるならば、歴史的に見て津波被害がありうる地域に住んでいたことも自己責任なのではないでしょうか。


災害の国、日本。国民は自己責任で生活すべきです。
なんでもかんでも、行政の責任にすることには到底承服できません。
県と市には是非とも控訴して争ってもらいたいと思います。和解をせず、請求棄却を勝ち取ってもらいたいと思います。


どんなときに競売を行うのか(2/2)
2016年10月23日(日)

債権者が競売を申し立てると裁判所が選任した不動産鑑定士が不動産を鑑定します。それが売却基準価格の基礎になる価格です。その売却基準価格の基礎になる金額を元に交渉するという方法もあります。


売却基準価格の基礎となる金額が出た後に交渉すれば話し合いの土俵に乗ってくるのが通例です。この金額はいまだ裁判所が定めた額ではないのですが、裁判所が選任した不動産鑑定士が求めた価格です。

したがって、交渉の基準となる価格としては客観性を持っているということができます。

「売却基準価格を上回る金額なのだから任意売却に応じてくれ」と交渉するのです。この場合の任意売却の相手、すなわち買主は債務者自身の別会社とするわけです。この方法は必ずしも応諾されるとは限りませんのでリスクの高い方法です。あまり勧められる方法ではありません。


競売が公になると、風評被害などにより経営がしにくい環境になるのは容易に想像がつきます。このことは銀行も同じです。銀行にとっては競売を申し立てることはやりにくいものなのです。債務者に対して「引き金を引いた」という銀行に対する世間の風評を銀行も気にするからです。

もちろん、金融機関には金融機関の論理があり、個々の事例としてみれば競売よりも任意売却の方が経済合理性が高くても、金融機関全体としてみれば競売で筋を通すという場合もあります。したがって、必ずしもすべての場合に「競売は損である」と断言できるものではありません。一般論として競売は、債務者にとっても債権者にとっても最良の道ではないということができるのです。


どんなときに競売を行うのか(1/2)
2016年10月20日(木)

債権者だからといってむやみに競売に着手するわけではありません。競売が行われるには、それなりの理由があるのです。


一般には債務者の返済が止まることがきっかけとなります。約定通りに返済が行われているのであれば、期限の利益は債務者にあるのですから競売が行われることはありません。

返済が滞り、債権者が催告したにもかかわらず返済に応じないような場合には競売が選択肢として急浮上してくるのです


債権者としては、債務者の返済目途がたたない状況になれば担保処分しかないと考えるのも無理はありません。この場合、債務者が第三者への任意売却に応じるならば良いのですが、そうでないなら競売しかないということになります。返済も止まり、任意売却にも応じないなら競売するしかないというわけです。

返済が止まった場合、債権者は債務者に返済を催告します。これにより債務者の持つ権利でもある期限の利益をはく奪します。債務者が無視すると、「競売する」と迫られるはずです。


競売を申し立てられるのが即、破綻だと思い込んでいるような債務者も少なくありません。しかし、このような大きな誤解は見直さなければなりません。競売は一連の債権回収手続の一部であり、全てではなく、終わりではないのです。


粉飾決算対策
2016年10月12日(水)

このたび、ホームページの中の「▶各種経営支援業務」に「▶粉飾決算対策」のページを独立させました。

不良債権に分類された企業の中には粉飾決算を「行っていた」、あるいは「行っている」ところも少なくありません。しかし、当然のことながら、粉飾決算が許されるはずがありません。

そこで、粉飾決算の現状を明らかにするとともに、粉飾決算をどのように公表するべきかについて整理しました。


当社では粉飾決算に関与している企業の事業再生は行っておりません。

粉飾決算の事実を公表し、債権者の信頼を獲得することを条件に事業再生の支援をしています。


粉飾決算を行っていた、あるいは粉飾決算を行っている企業で、粉飾決算を改善したいと考えている場合には早めにご連絡ください。

粉飾決算を公表し、債権者の信頼を取り戻すため、最適な解決策を提案させていただきます。

お気軽にご連絡ください。


不動産の価格と鑑定評価(2/2)
2016年10月07日(金)

不動産の鑑定評価にあたって、特に条件がなければ正常な市場を想定して価格を求めます。その価格は比準価格、積算価格、収益価格 の3種類に分かれます。


ⅰ、取引事例比較法の比準価格

市場性に着目し、類似の不動産の取引価格と比較して求められる価格です。取引動向に左右されますが、一般的には他の方法に比べて高めに求められます。

ⅱ、原価法の積算価格

コストに着目し、土地と建物の価格を別々に求めて合計するものです。

ⅲ、収益還元法の収益価格

生み出す収益に着目し、純収益を利回りで還元して求める価格です。収益をどのように求めるかによって左右されます。一般的に取引価格に比べて低くなります。


不動産の類型に応じ、例えば貸家であれば収益価格が重視されますし、自用の不動産であれば、積算価格や比準価格が重視される ことになります。一定の許容範囲内で不動産鑑定士が判断することになります。利回りを高くすれば価格は安くなりますし、利回りを低くすれば価格は高くなります。許容範囲の中で価格は上下する余地があるのです。不動産鑑定士が求めた価格は価格の範囲ではなく、具体的な金額で示されます。例えば比準価格が1億円で、収益価格は8千万円の場合に、不動産鑑定士は根拠を示しつつ、たとえば9千万円とか、8千万円という具体的な一つの金額で示すことになります。


価格はピンポイントで示すことになっているため、8千万円から9千万円といった範囲で示すことはありません。すなわち、不動産鑑定士が異なれば鑑定評価額も変わるのです。高値もあれば安値もあるというわけです。


正常価格には範囲が生まれるため、極端な高値・安値の鑑定評価は不当鑑定として否認されるとしても、許容範囲でのバラツキは排除できません。上は隣地価格(限定価格)の下値から、下は担保評価額の上値あたりが許容範囲 と言うことができるでしょう。


不動産の価格と鑑定評価(1/2)
2016年10月03日(月)

9月20日の本欄で紹介したような制度化された価格とは別に、簿価(含み損を抱える)、隣地価格、担保評価額、簿価(含み益を抱える)などの価格概念 が存在します。さらには鑑定評価額の各方式による価格があります。


ⅰ、簿価(含み損を抱える)

バブルのピーク時に高値で購入した不動産が典型例です。時価に比べて高い金額が取得原価となっているために、売却すると損失が生じるような高値の帳簿価格です。

ⅱ、隣地価格

一般の人に妥当する価格ではなく、お隣さん同士で取引する価格です。市場が限定されているので不動産鑑定理論では限定価格と呼ばれています。そもそも、なぜ高くなるかというと、隣地を購入して併合することで建築可能面積が増加したり、接道状況が改善されることで建物を建築できない土地から建築できる土地に変化する場合もあるからです。併合による価値増加分が上乗せされた価格ということになります。

ⅲ、担保評価額

一般に掛け目と呼ばれる割合を時価に乗じて算出されます。例えば土地は70%、建物は60%の掛け目が設定されます。この掛け目の分だけ安く評価されるわけです。

ⅳ、簿価(含み益を抱える)

地価水準が上昇した地域の土地を何十年も前に購入した例が典型例です。時価に比べて低い金額が取得原価となっているために、売却すると利益が生じるような安値の帳簿価格です。


債権者のタイプを見極める
2016年09月28日(水)

平成26年4月より株式会社ミロク情報サービスの客員研究員を拝命しています。
毎月一回の研究会に参加するだけではなく、毎月一回の経営研究レポートを発表しており、ミロク情報サービスのホームページで紹介されています。

第29回の経営研究レポートが公開されました。

今回のテーマは「債権者のタイプを見極める」で、その要旨は次の通りです。

ーーー

要旨:

一口に債権者といっても二種類のタイプに分けることができます。元々の融資を行った銀行のような「原債権者」と、債権を購入することで出現したサービサーのような「新債権者」の二つです。債務者の立場からしてみれば同じ債権者であっても、原債権者と新債権者では債権回収姿勢が全く異なります。今回は両者の違いを整理することにします。

ーーー


記事を読むにはミロク情報サービスの会員になる必要があります。
会員は(1)会計事務所向けと(2)企業経営者向けに分かれています。


(1)会計事務所の先生の場合は「tvs会員」になる必要があります。
下のアドレスから著者名を指定して検索できます。
http://tvs.mjs.co.jp/working/management/research-rep/not_cached.html


(2)企業の経営者の場合は「GOODWILL PLUS会員」になる必要があります。
下のアドレスから著者名を指定して検索できます。
http://goodwill.mjs.co.jp/working/management/research-rep/not_cached.html


多くの有益な情報を入手できますので、入会することをお勧めします。
私自身、他の研究員の研究レポートを拝読し、参考にさせていただいております。


入会にあたってはお近くの(株)ミロク情報サービスの営業拠点にご連絡ください。営業拠点は下のアドレスから検索できます。
http://www.mjs.co.jp/office/tabid/479/index.php#no2


不良債権の再生計画
2016年09月25日(日)

不良債権の再生計画の作成に当たっては実現可能性が高いことが求められます。奇抜なアイデアを持ちだして売り上げを拡大させるような方法をとるべきではありません。

新規事業がプラスにならないならば着手すべきではないのは当然ですが、プラスであっても、新規事業は別会社で実施すべきです。


再生計画は「実現可能性が高いこと」が求められています。奇抜なアイデアをもとに、実現可能性が低いような計画は再生計画に反映すべきではないのです。

換言すれば、これまで実行してこなかったアイデアを、突然持ちだされても説得力に欠けるというわけです。

本当に新しい事業がプラスになるのであれば、別会社を事業主体にすることで、既存会社の再生計画の実現性を高めるとともに、別会社にしておくことで、仮に大成功したとしても、その利得は別会社で享受し、これを既存会社の債権者に分配対象にしないというメリットを狙うべきです。


そもそも不良債権に関する事業価値の評価に関し、正常債権としての事業評価を行って良いのかという問題があります。過去から現在までの不良債権としての事業を基礎として、将来の正常債権として再生すると考えるのであれば、この意味において過去の不良債権としての価値を引きずることになるからです。過去から現在までの事業とは別の全く新しい事業は、わざわざ不良債権と合体して進める必要はなく、独立して遂行すれば良いのです。


ビジネスプランの如何によって評価額に差異が生じるのは当然ですが、過去を引きずると言う意味で不良債権に基礎を置く以上、純粋な形での正常債権としての評価とは異なるものとなるのです。純粋なベンチャービジネスとしてのビジネスプランを、そのまま採用することはできない場面も考えられるのです。


不動産の価格
2016年09月20日(火)

不動産は土地と建物で構成されています(正確には土地とその定着物)。その価格には複数のとらえ方があります。


建物は同じものを新築する場合の新価、経年減価を勘案した時価で大きく分かれます。

土地は、一物五価ともいわれるように、複数の制度化された価格が存在します。例えば、公示価格や路線価、固定資産税評価額などです。金額の目安としては公示価格100として路線価は約80、固定資産税評価額は約70という水準で収められています。


ⅰ、時価

実際に売買される価格は、まさに時価となります。しかし、実際に売買しないと時価が判明しないというのでは困ります。そこで、専門的な国家資格者である不動産鑑定士には「実際に売買されるであろう価格」を想定して時価(正常価格)を鑑定することが認められています。


ⅱ、公示価格

全国の都市計画区域に選定した標準地の毎年1月1日時点の価格を毎年3月下旬に国土交通省が公表する価格です。これは全国の不動産鑑定士の評価を基に国土交通省が公示しています。公示価格は土地価格の基準となる価格です。時価に比べて若干低い金額になっているのが普通ですが逆転現象も生じています。


ⅲ、基準地価

都道府県が不動産鑑定士の評価を参考に毎年7月2日時点の価格を毎年9月に公表しています。公示価格が都市計画区域内を対象としているのに対し、基準地価は区域外の林地等も対象としています。


ⅳ、路線価

国税庁が毎年1月1日時点の市街地の街路の価格を毎年8月上旬に公表しています。相続税や贈与税の計算をする場合に活用する指標とされています。路線価は公示価格の80%程度の価格となっています。


ⅴ、固定資産税評価額

各市町村が1月1日(賦課期日)現在の土地、家屋、償却資産の所有者に対し、その固定資産の価格(固定資産税評価額)を基に固定資産税が課されます。この基準となる価格が固定資産税評価額で、これは3年毎に見直されています。固定資産税評価額は公示価格の70%程度の価格となっています。


村田蓮舫氏は議員辞職すべし
2016年09月15日(木)

蓮舫。

二重国籍は糾弾すべき問題だと思います。

台湾籍だか中国籍だか知りませんが、他国籍を持っているのに大臣まで務め、発覚したらモゴモゴと言い訳を重ね、進退窮まったら「二重でしたゴメンなさい」では済まないと思います。

「私は日本人」と言うのであれば、蓮舫ではなく村田蓮舫を名乗るべきであり、村田ではなく、あえて蓮舫を名乗るのは日本人の伝統的な考え方であるとは言えないのではないでしょうか。


二重国籍の国が、台湾や中国あるいは韓国だから糾弾し、アメリカ、ドイツ、フランスなら糾弾しないというのは(感情としては理解できますが)、人種差別につながる危険な考え方だと思います。2015年5月9日の本欄で取り上げたサルのシャーロットと同じです。

蓮舫氏の二重国籍が問題となるのは、「どこの国であるか」ではなく、「あわよくば隠ぺいしようとした本人の姿勢」が問題なのです。

舌鋒鋭く他人を追及してきた蓮舫氏だからこそ、ブーメランが戻り、自らが攻撃対象になった以上、いさぎよく議員辞職すべきではないでしょうか。民進党の代表になるなど言語道断です。

今のままで何を言っても説得力がありません。一度、議員を辞職して再選を果たしてこそ説得力ある糾弾ができるのではないでしょうか。それでもなお、口先だけの蓮舫氏を支持する愚民の衆が蓮舫氏を再選するのであれば、何をか言わんやというところです。


所詮は民進党。鳩山、菅の悪政とともに、日本史に残る汚点として民進党の愚行は次代に語り継ぐべきだと思います。


豊洲市場への移転は中止すべし
2016年09月13日(火)

豊洲市場。

次から次へと問題が出てきます。政治家の利権誘導が公務員の事なかれ主義に裏付けされた典型例ではないでしょうか。


小池知事は延期を打ち出しました。

それはそれで結構なことです。しかし、延期したところで抜本的解決にはなりません。

不十分な土壌汚染やコンクリート床の厚さ不足など、諸問題があるならば移転中止をすべきだと思います。


すでに3000億円近くの建設費を投入したにもかかわらず移転中止となれば、巨額の無駄となってしまいます。取り壊し、補償、さらには築地の再建設などを考えれば大変な負担になるのは分かります。

7月31日の本欄で知事選挙について触れましたが、同様に考えるならば、都の予算13兆円に対し3000億円は2.3%です。年収500万円の家計に例えるなら2.3%、すなわち11.5万円の負担に過ぎません。


2.3%の負担で、食や、建物の安全が確保できるだけでなく、政治家の利権体質や公務員の事なかれ主義を糾弾できるならば安いということもできるのではないでしょうか。

全国で無駄な「箱もの」が建設され、誰一人、責任をとっていません。豊洲市場も同様に、責任追及は曖昧なままに終わるのでしょう。しかし、2.3%と引き換えに、二度と政治家の利権誘導や公務員の事なかれ主義は許さないとなれば国民全体の経済的合理性は確保できると思うのです。


かかる観点から、「抜本的解決が期待できないのであれば豊洲市場への移転を中止すべきである」と、私は強く訴えたいと思っています。


子会社にするか吸収合併するかの違い
2016年09月09日(金)

8月9日と13日の2回に分けて、株式譲渡型のM&Aについて本欄でコメントをしました。

これに関し、株式譲渡型のM&Aをするのではなく、合併してしまえば良いのではないかという考え方もあります。すなわちA社の株式をB社が購入して子会社にするのではなく、A社をB社が吸収してしまえば良いではないかという考え方です。

それはそれで結構な考え方です。


しかし、吸収合併するのではなく、あえて子会社にするのには理由があるのです。

というのも、吸収合併すると消滅会社の負債を包括承継することになりますので、消滅会社に簿外債務があった場合に、これを引き継ぐことになってしまいます。

その点、株式譲渡型のM&Aで子会社にすると、あくまで別会社ですので親会社が簿外債務を当然に引き継ぐわけではありません。


あえて別会社にしておくことで簿外債務の有無を見極める時間的余裕が生まれるのです。簿外債務がないことを見極めた後に吸収合併することでリスクを回避できるというわけです。

このように、一口にM&Aと言っても、個々のケースによって選ぶべき方法が異なりますので注意が必要です。


他人の真似ではない戦略的事業再生の必要性
2016年09月04日(日)

10年以上前の平成16年に「不動産売買得本」という本を出版しました。当時の出版案内は次のようなものです。


『平成16年の税制改革により、不動産取引による譲渡益に対する税率も、株式譲渡益に対する税率も引き下げられました。しかし、依然として、不動産取引による譲渡益に対する税率のほうが、株式譲渡益に対する税率より高くなっています。それならば、単なる不動産取引ではなく、株式の取引として不動産を売買してしまうことで節税しようというのが本書で紹介する方法です。決して難しい方法ではありません。これにより、売主も買主も儲かるのです。

不動産を売ろうと考えている売主も、あるいは不動産を買おうと考えている買主も、さらには、顧客にノウハウを提供するために不動産の仲介業者なども、不動産取引に関連するすべての方々の必携書というべきものとなっています。』

要するに、不動産を売買するのではなく、不動産を所有している会社毎売ってしまおうという考えです。まさにM&Aに他なりません。


今でこそ、M&Aが流行っていますが、当時は会社を売り買いの対象にするということは一般的ではありませんでした。その中で、拙著は斬新な発想の内容でした。(その後、平成22年10月に「不動産は中古一戸建てが絶対にお得です」という新刊に引き継いでいます)


思うに、他人の真似をしているようでは失敗はないかもしれませんが、成功も期待できないと思います。

事業再生も同じです。20年前には知られていなかった第二会社方式が一般化した今となっては、単なる第二会社方式では「他人の真似」の域を出ないといえるでしょう。

もうひと工夫加えた、まさに戦略的な事業再生が求められるのだと思います。


債権者全体を把握することが重要
2016年08月31日(水)

平成26年4月より株式会社ミロク情報サービスの客員研究員を拝命しています。
毎月一回の研究会に参加するだけではなく、毎月一回の経営研究レポートを発表しており、ミロク情報サービスのホームページで紹介されています。

第28回の経営研究レポートが公開されました。

今回のテーマは「債権者全体を把握することが重要」で、その要旨は次の通りです。

ーーー

要旨:

債権者である銀行が複数のときには債権者全体を把握することが大切です。一部の債権者だけ見ていては不十分なのであり、債権者対策を誤る危険が生じてしまいます。担保権者に対してどのように対応するべきであるか、具体的に「担保評価一覧表」を用いることで、債権者全体を管理する方法を明らかにします。

ーーー


記事を読むにはミロク情報サービスの会員になる必要があります。
会員は(1)会計事務所向けと(2)企業経営者向けに分かれています。


(1)会計事務所の先生の場合は「tvs会員」になる必要があります。
下のアドレスから著者名を指定して検索できます。
http://tvs.mjs.co.jp/working/management/research-rep/not_cached.html


(2)企業の経営者の場合は「GOODWILL PLUS会員」になる必要があります。
下のアドレスから著者名を指定して検索できます。
http://goodwill.mjs.co.jp/working/management/research-rep/not_cached.html


多くの有益な情報を入手できますので、入会することをお勧めします。
私自身、他の研究員の研究レポートを拝読し、参考にさせていただいております。


入会にあたってはお近くの(株)ミロク情報サービスの営業拠点にご連絡ください。営業拠点は下のアドレスから検索できます。
http://www.mjs.co.jp/office/tabid/479/index.php#no2


債権者の「本気度」を確認する
2016年08月26日(金)

債権者との交渉にあたって、相手はどこまで譲歩するかを見極める必要があります。交渉の前に、債権者の「本気度」を確認する必要があるのです。


差し押さえを例に説明します。


一つ目は、債権者が本気で債務者の息の根を止める覚悟、すなわち、破産させてもやむなしと考えているような場合、債権者は債務者のメイン口座や事業用資産を差し押さえにかかります。


二つ目は、揺さぶりをかけるのが目的の場合。たとえば、自動販売機の売上げ代金が振り込まれる入金口座の売上げ債権を狙って差し押さえをしてくるというような小細工をすることもあります。この揺さぶり策は、取り下げを念頭に置いた競売申し立てでも使われます。


三つ目は、債務超過を理由に破産申し立てを口にし始めたような場合。いわゆる債権者による破産の申し立てです。この目的は、破産手続きを通してすべてを白日の下に引きずり出すことにあります。有担保債権者の立場は強いということです。


その他にも無担保債権者が回収を強化するとの判断に至ったときは、債務者が破産する危険が高くても、その危険を承知で強行姿勢に出てくることがあります。債権者の本気度を確認する糸口は、「回収のためにどのような行動をしているか」という点で推し量ることができるのです。


取締役の責任
2016年08月21日(日)

取締役の責任として429条と423条の違いを明確に理解しておくことが必要です。ときどき質問を受けるポイントでもあります。


本来、取締役と第三者は直接の法律関係には立ちません。取締役は株式会社の機関であり、内部の人間であるからです。しかし、株式会社の社会的重要性と、会社における役員等の重要性に鑑み、第三者を保護する観点から特別に法定されたのが429条の損害賠償責任です。

すなわち、会社外部の第三者に対する責任です。


取締役は会社に対しで善管注意義務(330条)および忠実義務(355条)を負い、この義務に違反して会社に損害を与えた場合は、民法上の債務不履行責任を負うとされています(民法415条)。しかし、会社法は、取締役の責任を強化し、会社の利益を保護するために、特別な取締役の会社に対する責任の制度を設けているのです。

すなわち、会社内部における責任です。


423条の責任は責任限定をする余地がありますが(424条以下)、429条の責任は第三者に対するものであるため事前に免責するということはできません。第三者に対する損害賠償責任を低減するためには、必要に応じて損害保険(たとえば施設管理者賠償責任保険等)でリスクを転嫁しておくことが必要となります。


後日になって足をすくわれないように注意が必要です
2016年08月17日(水)

事業譲渡ではなく、会社分割により第二会社方式の事業再生が行われることがあります。

この場合、分割会社は会社分割に伴なって移転した財産の対価を受け取ります。したがって、会社財産には変動がないということになり、残った債権者は会社分割に異議を述べることができません(810条)。異議を述べられない債権者は、分割を承認しなかった債権者に該当しませんので(828条2項)、会社分割無効の訴えを提起することができないことになります。

この点については、以前から、何らかの形で債権者の保護を図る必要があるのではないかとの指摘がなされていました。


そこで26年の会社法改正で残存債権者を害する目的で会社分割が行われた場合に、会社分割が行われた日から2年以内に請求することで、承継された財産の価格を限度として残存債権者は承継会社に債務の履行を請求できるようになりました(764条6項)。

この規定により、いわゆる詐害的会社分割を排除できるようになったのです。


事業譲渡にしても会社分割にしても、第二会社方式による事業再生は、新しい会社を作って事業を移せば済むというような単純な話ではありません。その程度であれば、誰でもできる話であり、戦略的事業再生とは言えません。

せっかく移転した事業を、後日になって覆されないように対処しておかなければならないのです。


適当に第二会社を作り、勝手に事業を移転し、そこまでは頼もしい相談相手に見えるものの、後になって問題が起きたときに相談相手にならないというような偽専門家もいます。

先日も本欄で指摘しましたが、第二会社への事業の移転はスタートであって、ゴールではありません。中途半端に進めたり、油断していると、後日になって足元をすくわれかねませんので、十分な注意が必要なのです。


SMAPの解散と選挙制度のあり方
2016年08月15日(火)

人気グループのSMAPが解散するとのこと。連日のように報道されています。


まったく興味がありません。

私としては、どうでもいい話だと思います。

新聞、テレビが競って報道するほどの重大事件だとは到底思えません。


繰り返し報道することで、事件が妙に重大化されている側面もあると思います。SMAPの解散というレベルの話であれば受忍限度内といえますが、これが他の様々な局面で、マスメディアによる大衆誘導に発展していかないか心配です。


先日も良識の府・参議院の選挙でアイドル歌手グループ・スピードの今井某が当選し、都知事選の応援までしていました。政治手腕や知識、経験、実力ではなく、知名度で選ばれることに大いなる疑問を感じます。無能な輩を選んだところで、新しい風を巻き起こすどころか、老練な政界のドンに手玉に取られることになるのは火を見るより明らかです。


報道の自由、言論の自由、表現の自由も大切ですが、マスメディアの低レベルな啓蒙活動に安易に左右されてしまうようなレベルの大衆が少なくない状況は由々しき状況だと思います。このような中、大衆受けを狙った劇場型選挙に直結するような比例代表制の選挙制度は早急に廃止すべきではないでしょうか。無能な著名人ではなく、有能な実力者を選ぶことができるのであれば、国会議員の削減は無用だとさえ思います。


SMAPの解散報道を見て、選挙制度のあり方を考えてしまいました。


株式譲渡によるM&A(2/2)
2016年08月13日(土)

会社の株式を取得する目的としては、「会社の支配権を取得し事業を継続する」「会社の資産を利用する、売却する」等が考えられます。


より戦略的な目的としては、「一度、会社の支配権を取得し、その後で吸収合併する」ということも考えられます。

なぜそのような回り道を選ぶのかというと、無防備なまま吸収合併すると債権債務を包括承継することになり、思わぬ債務を負担する危険があるからです。簿外債務の危険がなくなるまでは別会社として保有しておき、危険がなくなったと判断した時点で吸収することで簿外債務を承継する危険を回避するというわけです。


会社の株式を100%取得できれば良いのですが、仮に3分の2未満しか取得できない場合、将来において自由に株主総会の特別決議ができないという危険が残ることになります。

特別決議ができないと、その後の合併や、事業譲渡等ができません(309条)。すなわち、抵抗勢力が存在するままでは、会社の支配を意のままにできないということになります。

株主が抵抗勢力であるのかどうかは判然としない場合もありますし、気が変わるということもあり得ます。3分の2以上の賛成が得られるのかがわからないままでは、怖くて手が出せないということになってしまいます。


できるならば3分の2以上の株式を取得しておくべきですが、それが困難であるならば、株式を取得する前に株主総会を開催し、買主の目的を達成するべく決議をしておくことで抵抗勢力を抑え込む(あるいは後日の変心を防ぐ)というわけです。

「株式譲渡だから株主が合意すれば良いのであり、譲渡制限株式でないならば株主総会決議は必要ない」というのは短絡的な発想であり、とりわけ抵抗勢力がいる場合には、それに対応する工作として株主総会決議を経ておくことが有効な対策になり得るのです。


法改正の内容すら知らないアドバイザーと一緒になって、無防備・無対策のままM&Aを進めたのでは、後になってトラブルになる危険がありますのでご注意ください。


株式譲渡によるM&A(1/2)
2016年08月09日(火)

M&Aの態様には合併、株式併合、事業譲渡など、様々な形がありますが、最もシンプルな形は株式譲渡です。譲渡側と譲受側の株主が合意すれば良いだけです。単純に譲渡人と譲受人が友好的な取引ができるのであれば、最もシンプルといえるでしょう。それはそれで結構なことです。

しかし常にスムーズな取引ができるとは限りません。「株式譲渡だから株主が合意すれば良いのであり、株主総会決議は問題にならない」と甘く考えている人もいます。これは大変な誤りです。


たとえば、子会社株式を譲渡する場合があげられます。子会社株式を譲渡する場合の例外規定が平成26年に新設されていますので注意が必要です(467条1項2号の2)。

本来、子会社の株式の譲渡は業務執行として取締役会決議事項であり(362条2項1号)、株主総会決議は求められていません。しかし、議決権の過半数を有しなくなる場合には、事業の重要な一部の譲渡がなされたのと実質的に異ならないといえます。そこで、譲渡する子会社株式の帳簿価額が親会社の総資産額の5分の1を超え、かつ親会社が子会社の議決権総数の過半数を有しなくなるとき株主総会の特別決議が必要になりました。反対株主の株式買取請求も認められています(309条2項11号、469条1項)。


かかる改正があったことすら知らないまま、「株式譲渡だから株主が合意すれば良いのであり、株主総会決議は問題にならない」というレベルの理解をしている自称専門家がまだまだ多いようです。株主総会の特別決議をしないと、事業譲渡の場合と同じく、株式譲渡が無効となりますので注意が必要です。


このような法の改正点は、論理的に説明する問題ではなく、「改正を知っているか知らないか」という知識量の問題になります。知識のない人に相談しても、正しい回答は得られませんので注意が必要です。ためしに「株式を譲渡する形でM&Aを考えているのですが、売主が株式売却をするにあたり株主総会決議が必要になるケースはありますか?」と尋ねてみてはいかがでしょうか。「親会社である売主が子会社を処分する場合を想定して、株式を譲渡する形でM&Aを考えているのですが・・・」というヒントをあげれば答えやすいかもしれません。

せっかくヒントをあげたのに、467条1項2号の2の改正を知らず、「株式譲渡は株主の権利ですから株主総会は不要です」といった回答をするようでは知識不足と判定できます。


この他にも、反対する株主が存在する場合は問題です。特に譲渡側の株主に抵抗勢力が存在する場合が要注意です。(続く)


尖閣諸島
2016年08月08日(月)

「8月7日に沖縄県の尖閣諸島周辺で中国海警局の公船5隻が領海に侵入し、周辺の接続水域を中国公船13隻が航行したとのこと。6日には接続水域に公船7隻が相次いで入り、周辺では中国漁船約230隻の行動も確認されており、日本政府は警戒を強めている」とのこと。


さてさて、翁長沖縄県知事、どうします? 尖閣諸島は沖縄県石垣市でしたよね?

実現不能な「お花畑」で幸せな世界観を標榜している皆さん、お元気ですか? 世の中は皆さんが考えているほど甘くないのですよ。


レジャーボートで花火を見に行く暇と金があるならば、皆さんで魚釣島に上陸することをお勧めします。何十隻、何百隻の日本船が決死の上陸をすることを期待します。

外国船が上陸した後で、これを排除して日本船が上陸するのでは遅いからです。


日本本土で、訳の分からない「世界遺産」を増産するくらいなら、尖閣諸島を「外国の脅威にさらされる世界遺産」として保護すべきではないでしょうか?.


取締役の責任軽減
2016年08月04日(月)

会社法は、取締役の責任を強化し会社の利益を保護するために、取締役の会社に対する責任の制度を設けています。たとえば423条1項では、取締役は「任務懈怠があり」「損害が発生し」「相当因果関係がある」場合は、会社に対して、これによって生じた損害を賠償する責任を負うこととされています。


この責任は免除できますが、取締役会等で簡単に免除できるとなると、安易に責任が免除されるおそれがあります。そこで、取締役の責任の免除には総株主の同意が求められます(424条、120条、462条、464条、465条)。

このように、取締役の責任の免除は要件が厳格で免除は困難であり、任務懈怠責任においで取締役に高額の賠償責任を負わせたのでは、経営を萎縮させてしまうことになりかねません。そこで、任務懈怠責任については、3つの責任の一部免除制度が設けられています。


1、取締役が職務を行うにつき善意・無重過失であった場合は、賠償責任を負う額から最低責任限度額を控除した額を限度として、株主総会の特別決議によって一部免除できる(425条1項、309条2項)。

2、一定の会社では、取締役が職務を行うにつき善意・無重過失であった場合で、かつ、特に必要と認められる場合は、事前に定款規定を置いておけば、事後に取締役の過半数の同意・取締役会決議によって一部免除できる(426条)。

3、業務を行わない取締役や社外取締役等の任務懈怠責任について、職務を行うにつき善意・無重過失であった場合は、一定の額を限度とする旨の責任限定契約を締結できる旨を定款で定めることができる(427条)。


とりわけ3点目について、平成26年の会社法改正で大きな変更点がありました。

改正前は取締役・監査役で責任限定契約を締結することができるのは、「社外取締役・社外監査役」に限定されていましたが、平成26年の会社法改正で、取締役については業務執行を行わない社内取締役も対象とされ、監査役は社内外を問わず対象となりました。 そのため、責任限定契約締結の対象が拡大し、社外取締役及び社外監査役である旨を登記する意味がなくなったため、その旨の登記が廃止されています。ただし、定款においてその旨を定めておく必要があります。


事業再生にあたって第二会社の役員を引き受ける場合、取締役の責任が問題になりますが、このような場合にも「責任限定契約」を締結しておくことでリスクを回避することが可能になるのです。ただし、429条の第三者に対する損害賠償責任の免責ではありませんのでご注意ください。


都知事選の結果
2016年07月31日(日)

都知事選。小池氏が当選とのこと。

これで良いのか、大いに疑問です。


鳥越氏。お話になりません。ジャーナリストだか何だか分かりませんが、ボケ老人と言われても仕方がないような振る舞いでした。

増田氏。最後までパッとしないまま、組織力すら活かせないまま敗北となりました。

どちらの候補も情けない限りです。


小池氏。都議会冒頭解散をぶち上げた時点では、大失敗かと思いましたが、他候補がそれ以上のお粗末な選挙戦を展開した結果、当選に至ったという感じは否定できないと思います。いわば消去法で選ばれた側面もあるのではないでしょうか。

聞けば、金の面での問題があるとのこと。都議会冒頭解散を訴えるなど、議会運営に大きな課題が残ります。週刊誌の追及で、辞任だ、都知事選だという事態にならないだろうかと心配する次第です。

追及するべき都議会議員も叩けば埃が出る身ゆえに、金の問題での争いは好まないのでしょうが、金の問題がうやむやになるくらいなら、再度の都知事選もやむを得ないと思います。


都知事選には50億円がかかると言われています。

一方で、都の予算は13兆円。13兆円にくらべれば50億円は0.04%です。仮に500万円の年収の家庭に例えるなら、2000円の出費にすぎません。その程度の負担で済むのですから、必要であるならば再度の都知事選も避ける必要はないと思います。


メディア主導の選挙ではなく、有権者の良識ある投票を期待したいところです。


一括回収か分割回収か
2016年07月28日(木)

平成26年4月より株式会社ミロク情報サービスの客員研究員を拝命しています。
毎月一回の研究会に参加するだけではなく、毎月一回の経営研究レポートを発表しており、ミロク情報サービスのホームページで紹介されています。

第27回の経営研究レポートが公開されました。

今回のテーマは「一括回収か分割回収か」で、その要旨は次の通りです。

ーーー

要旨:

債権者が回収を進めるにあたって、一括返済を強要するのか、あるいは分割返済を受けるのか、債権者はどちらを選択するのでしょうか。今回は債権者の種類や位置づけの違いから、債権者はどのように債権の回収行動をとるのかを検証します。

ーーー


記事を読むにはミロク情報サービスの会員になる必要があります。
会員は(1)会計事務所向けと(2)企業経営者向けに分かれています。


(1)会計事務所の先生の場合は「tvs会員」になる必要があります。
下のアドレスから著者名を指定して検索できます。
http://tvs.mjs.co.jp/working/management/research-rep/not_cached.html


(2)企業の経営者の場合は「GOODWILL PLUS会員」になる必要があります。
下のアドレスから著者名を指定して検索できます。
http://goodwill.mjs.co.jp/working/management/research-rep/not_cached.html


多くの有益な情報を入手できますので、入会することをお勧めします。
私自身、他の研究員の研究レポートを拝読し、参考にさせていただいております。


入会にあたってはお近くの(株)ミロク情報サービスの営業拠点にご連絡ください。営業拠点は下のアドレスから検索できます。
http://www.mjs.co.jp/office/tabid/479/index.php#no2


味方が敵の立場に立っていないか
2016年07月23日(土)

例えば売主が3000万円で売ることを不動産業者に任せたとします。この場合、売主の最大期待値は3000万円です。売主は、その物件しか売るものはありません。

ここに、2900万円で不動産を探している買主が出現したとします。買主は、3000万円の物件は予算外なので対象外です。2900万円なら買うけれど、3000万円では買いません。このような場合、不動産業者はどうするでしょうか?


選択枝は二つです。売値を下げるか、買値を上げる、のどちらかです。

多くの場合に、2900万で決着すると言えるでしょう。

なぜならば、売主は、その不動産しか売るものが無いという弱みがあるのに対し、買主は他の不動産を買えば良いという決定的な強みがあるからです。したがって、両者が交渉を行う場合、2900万円を提示する買主が有利と言うことになります。


時間とともに金銭価値下がる、すなわち、現在の1万円は、将来の1万円以下の価値しかないという考え方(割引現在価値)を勘案すれば、「時間をかけて3000万円を受け取るよりは、今、2900万円を受け取ろう」という考え方から、売主としては譲歩することが現実的といえるでしょう。


このように、交渉をまとめるためには、売主が譲歩することが現実的なのです。

この点に着目した不動産業者は、売主から3000万円での売却を任されたにもかかわらず、成約させたいがために、売主に対して2900万円への値引きを勧めてくることがあります。信頼して売却を任せた業者が、いつの間にか、買主の立場に立ってしまっているというわけです。


このような事例は不動産取引だけに限られません。味方であるはずの立場の者が、自らの利益のために依頼者の足元を見て行動するという事例は数知れません。

騙されないように注意することが必要です。


事業再生後の節税対策と利益分配
2016年07月21日(木)

株式会社が獲得した利益を分配する方法として、剰余金配当と解散時の残余財産分配の方法がありますが(105条)、継続企業を前提とする以上、剰余金配当が利益分配の原則的な方法となります。

分配可能額が存する限り、株主総会の普通決議によって年に何回でも配当をなすことが可能ですが、配当後の純資産額が300万円未満となる場合はできません(458条)。


株主有限責任原則が採用されている株式会社では、会社財産確保のための資本制度が設けられており、資本維持原則の下、会社財産が剰余金配当の名のもとに不当に社外に流出するのを防ぐために剰余金の配当を分配可能額の範囲内に限定しています(461条)。


分配可能額が存しないにもかかわらず配当がなされた場合には無効であると解されており、本来であれば受領した株主から回収すべきであり、株主は配当財産の帳簿価額に相当する金銭を支払う義務を負うことになります(462条)。しかし、株主からの回収は困難であるため、違法配当をなした取締役に違法配当額につき弁済責任が課されています(462条)。

職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明したときは免れることができ(462条)、その弁済額は違法配当額に限られますが、違法配当額を超える損害については、取締役は任務懈怠による賠償責任を負うことになります。


第二会社方式による事業再生が成功した後、ほとんどの事例では節税が課題になります。事業が上手くいっている部分を中心に再生したのですから、利益が出て当然です。利益が出るのですから節税が必要になるというわけです。

同様に、剰余金を配当という形で社外流出(=株主に分配)することも課題になります。この時、違法配当を行ってしまうと取締役も責任追及されることになりますので注意が必要です。


第二会社方式による事業再生はゴールではなく、スタートでもあるのです。


債権者との交渉の進め方
2016年07月14日(木)

事業再生を進める過程で、債権者と対立すべきでないことについては繰り返し指摘しています。これは「対立的に争ってはならない」という意味であり、「なんでもかんでも言いなりになる」ということではありません。


たとえば「複数の拠点(事業部)を有する場合に一部は譲るが一部は残す」「一部の資産譲渡と引き換えに保証人の免責を受ける」等々の条件交渉を行うことは当然のことです。遠慮していたのでは全ての資産を失うことになってしまいます。

任意売却の場合は売主が判を押さない限り売却できないのは当たり前の話です。だからこそ「一部を残す」とか「保証債務を免責する」という条件交渉を行うチャンスなのです。

せっかくのチャンスであるにもかかわらず債権者との条件交渉が進まないのであれば、思い切って競売に持ち込んでもらうことも有効な場合があります。自己競落ができる可能性があるからです。

この場合は資金調達が課題になるとともに、残った会社の処理をすすめる必要があります。


債権者との条件交渉が稚拙であったのでは、失う利益が大きくなってしまいます。

きちんとした戦略を立てる必要があるのです。

「複数の拠点を全部守るのか、一部を譲歩するのか」

「何と引き換えに保証債務の免責を受けるのか」

「いくらまで債務を負担するのか」

「資金繰りをどうするのか」・・・etc

これらの点については、債権者の立場に配慮して落とし所を探る必要があります。単に債務者の都合や希望だけで身勝手な要望を押し付けたのでは、まとまる話もまとまらなくなってしまいますので注意が必要です。


M&Aに関わる留意点
2016年07月10日(日)

最近はM&Aが広く行われています。

事業再生にあたってM&Aが利用される他、経営者の後継者対策としても利用されています。


M&A自体を否定するものではありませんが、仲介業者の中には悪質な業者も散見されます。不動産や事業の譲渡だけを目的として手数料を稼ぐ輩もいます。

彼らにとっては譲渡契約さえ成就すれば良いのであり、残債務はどうなるのかといった論点には無関心というわけです。M&Aで資産の所有権、事業の経営権を譲渡した後、多大の負債(保証債務も含む)だけが残ってしまうという危険があるのです。


それだけではありません。

そもそもM&Aに関わる業者を規制する法律が無いのです。


1、弁護士法に違反しないか

弁護士以外の者が、一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁もしくは和解その他法律事務を取り扱うことは禁止されていますが(弁護士法72条)、金融機関との交渉を代理することは弁護士法に違反することになります。


2、双方代理の禁止に違反しないか

同一の法律行為について当事者双方の代理人となることは禁止されていますが(民法108条)、事業の譲渡人と譲受人の双方を代理する形で譲渡契約をまとめるとなると双方代理として規制されることになります。


3、不動産取引には宅地建物取引業者に資格が必要であり、営業保証金を預託することで損害を与えた時の賠償の担保にもなっていますが、M&Aの仲介業者やアドバイザリーに、特別の資格は無く、監督官庁もありません。いわば野放し状態であり、冒頭に述べたような問題が生じた場合に主導的に規制を加える監督官庁はありません。


従来の経営権を継続する形での事業再生を進めるのは独特のノウハウがあり困難を伴いますが、M&Aで事業を譲渡してしまうのは譲渡人と譲受人のマッチングだけで片付いてしまいます。将来、問題が生じたとしても、「それは譲渡人と譲受人の間の問題であり、仲介者には無関係」と逃げられてしまいかねないのです。


知識・経験のない不動産業者や自称専門家が手数料欲しさに暗躍しているケースが後を絶ちません。

騙されないように、くれぐれもご注意ください。


日本交渉学会の理事に就任しました
2016年07月05日(火)

6月25日、26日の2日間にわたり開催された日本交渉学会の第29回全国大会で、学会の理事への就任が決まりました。かねてより理事への就任を打診されていましたが、正式に受諾させていただいた次第です。


『日本交渉学会は日本学術会議の認定団体で最古の歴史がある学会であり、「交渉学」という新しい学問分野の創設に25年 以上にわたり尽力している学術団体であり、他の組織や団体とは異なります。』(学会HPより引用)

会長の中央大学教授中迫俊逸先生を筆頭に、大学教授等の研究職を中心とし、弁護士等の実務家も活動しています。私といたしましては、交渉学という学際的な領域について、経済学・経営学に軸足を置きつつ研究を深めていきたいと思っています。とりわけ事業再生における債権者と債務者間、さらには債権者と債権者間の対立関係と協調関係について、学問としての交渉学に立脚しつつ理論と実務の融合を目指していく所存です。


日本交渉学会の他の学会活動としては、日本不動産学会、資産評価政策学会、国際公共経済学会に所属しています。それぞれの学会の活動については「▷学会・教育活動」のページに掲載しております。参考になれば幸いです。


第二会社方式の留意点
2016年07月03日(日)

旧会社の事業を新会社に引き継ぐという、いわゆる第二会社方式は事業再生の一般的な手法となっています。

この場合の新会社はどのような形でも良いのでしょうか?

株主は?

代表者は?

保証人は?


従来の経営者をA氏とします。

株主はA氏であると、第三者への事業譲渡になりません。よって、形式上の株主は他人(=B氏)にしておく必要があります。形式上とは付属明細で開示される公開用の情報のことです。A氏とB氏の間の約定は別途手当てすることになります。この場合、遠い将来において株主を変更するとなると贈与税の問題が生じるので注意が必要です。


経営者もA氏であると、第三者への事業譲渡になりません。よって、形式上の取締役は他人(=B氏)にしておく必要があります。形式上とは登記簿で開示される公開用の情報のことです。A氏とB氏の間の約定は別途手当てすることになります。この場合、B氏は会社法423条、429条の責任を負うことになるので注意が必要です。


保証人は新会社の債権者との話し合いで決めれば良い問題であり、旧会社の債権者には無縁のことです。新会社の債権者が、事業再生に対して積極的な債権者であれば、保証人をB氏ではなくA氏とすることを受け入れることが少なくありません。


一口に第二会社方式といっても、さまざまな留意点があるのです。

M&Aや資産譲渡で手数料を稼ぐだけが目的の新参業者の中には、これらの重要なポイントを理解できていない者が少なくありませんので、十分な注意が必要です。


匠大塚は大塚家具を子会社化すべし
2016年06月29日(水)

大塚家具創業者の大塚勝久元会長が設立した「匠大塚」が、埼玉県春日部市にオープンとなりました。売り場面積は約2万7,000平方メートルで、東京ドームのグラウンド面積のおよそ2倍となり、日本最大級とのことです。


大塚家具のお家騒動については、本欄で繰り返し触れています。

27年3月14日の本欄では、会長を支持する旨を断言しています。27年3月28日の本欄では、大塚会長は新会社を設立して独自路線を進むべしと指摘しています。さらに今年の4月12日の本欄では、旧大塚家具を追い込むことで経営を奪取すべしと指摘しています。


そもそも久美子社長の経営路線には無理があります。

創業者が確立した高級・対面販売という販売方法を変えたのは、経営環境の変化に合わせるというよりも、せっかく確立したブランドを自己否定したに過ぎません。高級路線のトップランナーが、低価格路線のイケアやニトリを追従するセカンドランナーになるのであり、戦略的には失敗だというべきです。


大塚家具の今期の業績予想は15億円の赤字になる由。大失敗が現実化したと言えるでしょう。原因が売上高の減少のようですが、低価格路線を選択した結果、売上高が減少したという典型的な戦略ミスです。来期の回復も無理ではないでしょうか。


大塚会長としては金融機関への根回しを行い、大塚家具への多額の債権放棄を条件に、匠大塚が大塚家具を子会社化するという戦略を立てるべきでしょう。多くの社員、取引先が従うのではないでしょうか。


経営理論だけではなく、現場の勘も大切だと思います。

久美子社長の立派な学歴も結構ですが、机上の空論に終始する久美子社長の終焉が見えてきたと思います。


正しい投票活動を期待したいところです
2016年06月28日(火)

英国の国民投票でEU離脱が決まりました。一部では投票のやり直しを求める動きもあるようです。

米国の大統領予備選ではトランプ氏が優勢との報道も流れています。

いずれも世界に影響を与える大事件です。


我国、日本。

参院選に都知事選、大きな選挙が行われています。

しかし、どうでしょうか。参院選にしても都知事選にしても、今一つ、盛り上がりに欠けています。国政を左右する国内の選挙よりも、英国や米国の選挙の方が大きな関心となっている現状は、嘆かわしいと言わざるを得ません。


とりわけ英国の国民投票については、行き過ぎたポピュリズムであるとの指摘がなされているようです。国内の政治家の中にも同様の指摘を公言する向きもあるようですが、タレント候補を擁立するような政党の政治家にポピュリズムを否定する資格はないと思います。


最近はレベルの低下が著しい日本国民ですが、せめて投票活動だけでも正しく行うことを期待したいところです。


裁判所ではなく債権者に泣きつくべし
2016年06月27日(月)

平成26年4月より株式会社ミロク情報サービスの客員研究員を拝命しています。
毎月一回の研究会に参加するだけではなく、毎月一回の経営研究レポートを発表しており、ミロク情報サービスのホームページで紹介されています。

第26回の経営研究レポートが公開されました。

今回のテーマは「裁判所ではなく債権者に泣きつくべし」で、その要旨は次の通りです。

ーーー

要旨:

事業再生を成功させるためには債権者の理解と協力が不可欠です。そのためには十分な根回しが必要なのであり、債権者をないがしろにしたまま裁判所に泣きついたところで話は進みません。法的整理に持ち込んだところで、計画に同意が得られなければ破産手続に移行することになってしまいますので危険です。どうせ泣きつくのであれば、金融機関の特徴を理解したうえで、裁判所ではなく債権者に泣きつくべきなのです。

ーーー


記事を読むにはミロク情報サービスの会員になる必要があります。
会員は(1)会計事務所向けと(2)企業経営者向けに分かれています。


(1)会計事務所の先生の場合は「tvs会員」になる必要があります。
下のアドレスから著者名を指定して検索できます。
http://tvs.mjs.co.jp/working/management/research-rep/not_cached.html


(2)企業の経営者の場合は「GOODWILL PLUS会員」になる必要があります。
下のアドレスから著者名を指定して検索できます。
http://goodwill.mjs.co.jp/working/management/research-rep/not_cached.html


多くの有益な情報を入手できますので、入会することをお勧めします。
私自身、他の研究員の研究レポートを拝読し、参考にさせていただいております。


入会にあたってはお近くの(株)ミロク情報サービスの営業拠点にご連絡ください。営業拠点は下のアドレスから検索できます。
http://www.mjs.co.jp/office/tabid/479/index.php#no2


石巻殺傷事件で少年に死刑を課すことの是非
2016年06月24日(金)

石巻市内にある元交際相手の実家に押し入り、元交際相手の姉(当時20歳)ら偶然に居合わせた2人を刃渡り約18センチの牛刀で刺して殺害し、1人に重傷を負わせ、元交際相手を車で連れ去ったという事件の加害者(当時18歳)に対し、最高裁で死刑が確定したとのことです。


私は死刑廃止論者ではありません。むしろ積極的肯定論者です。少年法による少年に対する過保護については反対論者です。少年であっても死刑を選択するべきは躊躇すべきではないと思っています。


しかし、本件はいかがなものでしょう。

元交際相手との間には子供がいるとのこと。愛情の裏返しの行動であったことは想像に難くありません。

殺害された2人と、重傷を負った1人は偶然居合わせたとのこと。計画性は否定され、不幸な偶然が被害者を増やしたともいえるでしょう。


極悪非道な行為により複数の被害者を殺害したのであれば、少年であっても死刑が選択されるべきです。しかし、愛情の裏返しによる一時の逆上で、偶然居合わせた被害者が犠牲になった事件を同列に扱うことには違和感を感じます。


18歳といえば、まだまだ子供です。未熟な人格ゆえに、矯正の余地は大きいといえるのではないでしょうか。少年法の懲役刑を加重することで、「生かして償わせ、矯正する可能性」を追及すべきです。


不幸な家庭に生まれ、未熟なままに犯罪を犯し、子供のまま死刑により命を絶たれることが「正義のあり方」であると私には思えません。

今回の死刑判決を素直に受け入れることができないのは私だけでしょうか。


相談相手を間違えて事業再生に失敗しないように注意が必要です
2016年06月20日(月)

事業再生のコンサルティングを行っていると、さまざまな人々と出会います。

再生を目指している債務者はもちろん、弁護士、会計士、税理士、そして銀行やサービサー、金融機関から債権を譲り受けた新債権者、不動産業者など、まさに十人十色です。それぞれが自分の利益を守ろうと行動しますので、真の味方を見極めることが必要です。


再生を成功させる債務者には次の三つの共通点があるように感じます。

1、再生させたいという強い意志

2、まじめな態度

3、積極的な姿勢


1は、「できれば再生したい」とか、「どうにかならないか」といったあいまいな意志ではなく、「どうにかして再生させたい」という堅固な意志です。迷いのない強い意思と言うこともできるでしょう。これが欠如していると債権者の協力を得ることは困難です。

2は、できる限りで返済するという誠意であり、正直な態度です。ごまかさず、正面から取り組む意気込みと言うこともできるでしょう。

3は、さまざまな知識を集め、再生に向けて邁進する気概であり、勉強家であると言うこともできるでしょう。


一般的に、再生させたいという思いは、それなりにすべての経営者が持っているものです。大なり小なり「迷い」はあるでしょう。迷っているのであれば研究し、勉強して正しい決断をすべきです。

しかし、中には相談相手を間違えたために、売らなくても良い不動産を売らされたり、自力で経営継続ができるのにM&Aで第三者に経営権を奪われたりする場合も少なくありません。いまだに、このような被害者が散見されますので本当に困ったものです。


新たな被害者にならないように、決断に間違いがないのか、今一度、自問自答することをお勧めします。


舛添氏の騒動と事業再生
2016年06月16日(木)

やっと舛添問題が解決するようです。本欄で何回か指摘しましたが、その通りに事態が展開するのを見て、「だから言わんこっちゃない」という思いで一杯です。


舛添問題について、更なる追求を求める声もあるようですが、私は賛成できません。

舛添氏が叩かれる理由は、「クリーンなイメージを装って当選した選挙が無意味だった」からに他なりません。換言すれば、他の政治家も同じ穴のムジナであるのに、学歴詐称ならぬイメージ詐称をしていた舛添氏だからこそ責任を問われるべきなのです。やることがセコイとか、嘘ばかりつくというのは、(他の政治家も同様なのだから)追及の理由にはなりません。

他の政治家も行っているにもかかわらず、責任をとって辞任した舛添氏をこれ以上追及するのは、過剰な虐めとさえ言えるのではないでしょうか。心情としては追及したいし、第三者なる弁護士の鼻を明かしてやりたいところですが、これ以上の追及はやりすぎだと思います。


世間では、「やることがセコイ」「会議なんかしていない」「言い訳が子供じみている」等々、レベルの低い話に終始しています。「イメージ詐称をしていた舛添氏だからこそ責められて当然なのだ」という論理を展開しているマスコミやコメンテーターは見当たりません。

舛添氏自身も気づいていないようです。追及する側も、守る側も、問題の本質を見落としていると言わざるを得ません。


事業再生においても当てはまる論理だと思います。

「第二会社を設立して事業を移して残債務を免除してもらう」という第二会社方式は広く行われています。しかし、「粉飾決算で債権者を騙していた」「資産を隠匿していた」等々、債権者を騙していると(その程度にもよりますが)債権者の逆鱗に触れ、「そういう詐害行為を行っていた会社だからこそ再生に協力しない」ということになりかねませんので注意が必要です。


今回の舛添氏にかかわる騒動を見て、第二会社方式による事業再生における経営者のあり方を考えてしまいました。


舛添都知事が辞職しやすい環境を作るべし
2016年06月14日(火)

舛添都知事が給料の全額返上を言い出しました。

既に5月26日付の本欄で指摘していたのですが、今となっては手遅れといった感じです。もはや落とし所は、辞職しかないのではないでしょうか。


都議会自民党議員の追及はもってのほかでしたが、他の議員の追及も甘いものでした。

辞職を迫ることを躊躇しているからに他なりません。攻める側の躊躇が見えるからこそ、守る側は強気になれるのです。


辞職を迫ることを躊躇する見方については、本当にそうなのでしょうか。

『他の政治家も大差ないのに、舛添都知事だけが責められるのは不合理ではないか』という点に関しては、「舛添都知事はクリーンな政治家を装っていたにもかかわらず、虚像であったことが発覚したので追及されているのだ。クリーンなイメージを前面に出した選挙そのものが無意味だったのだ」という論理が成り立ちます。

『今、改選したのでは東京オリンピック直前に再選挙をしなければならなくなってしまう』という点に関しては、「新たな都知事候補が『私は東京オリンピックの混乱を避けるためオリンピックの半年前、すなわち3年半で辞職する』という公約で立候補すればよい」という論理が成り立ちます。


もはやお茶の間のショータイムと化してしまった都議会のやり取りですが、これ以上の茶番劇は許されない事態になっています。都政の渋滞のみならず、国政への影響も出てくると危惧されるからです。

「全額返上」「延命嘆願」を行った舛添都知事に残ったカードは解散権しかありません。

もはや潮時です。辞職を迫ることに躊躇せず、むしろ自信をもって迫ることで、舛添都知事が辞職しやすい環境を作ることも必要だと思います。


頭の良い舛添都知事のことです。辞職の時期は近いのではないでしょうか。

「全額返上に加え延命嘆願までした。できることの全てが受け入れられなかった。都政渋滞による都民への悪影響を避けるため、やむなく辞職する」という言い方により、少しでもクリーンなイメージを保とうとしながら去っていくのではないかと予想しています。


相談内容と相談相手を見極めることが大切です
2016年06月13日(月)

事業再生にあたって、「返済猶予を求める」のか「債権放棄を求める」のかについて明確にしなければなりません。債務者の立場では返済猶予よりも債権放棄の方が有利であることは当然です。しかし、債権者の立場では返済猶予で再生できる案件について債権放棄を認めるわけにはいきません。

このような両者の立場の違いを無視して、返済猶予で再生できる案件で債権放棄を求めるような進め方は間違っています。


返済猶予を受けることで十分に再生が可能であるにもかかわらず、弁護士を通して債権放棄を求めていた例に遭遇したことがあります。経営者曰く「弁護士にどのような形で再生を望むのか」と聞かれ、「楽になるので負債を減らしたい」と答えた結果、返済猶予ではなく債権放棄を求めた結果、話がこじれて当社に相談が寄せられたのでした。


この例で弁護士は明らかな失敗を犯しています。

何でもかんでも債権放棄が実現するのではないにもかかわらず、経営者の単なる「希望」をそのまま債権者にぶつけてしまい話がこじれてしまった点が大きな間違いなのです。


事業再生において従来の経営者が経営を継続することが望ましいことは繰り返し指摘しています。これについても杓子定規に考えるのではなく、たとえば後継者がいない場合には経営権を譲渡することで一時金を得て廃業するという選択肢も考えられます。すなわち、ケースバイケースで異なるというわけです。


しかし、「債権放棄を求められるのに返済猶予でお茶を濁す」とか、「従来の経営者が経営継続できるのに第三者に経営権を譲渡する」のは間違った対応であることを強く指摘しておきたいと思います。

経営者一族で経営継続できるのにもかかわらず、手数料欲しさに第三者への事業譲渡を進める輩もいます。

相談相手と、相談内容をしっかり見極めることが重要です。


学歴・経歴詐称にも匹敵する背信行為により当選した選挙自体に問題がある
2016年06月08日(水)

舛添都知事が追い込まれています。

先日の本欄では「落とし所を探るべし」との私見を明らかにしましたが、その後の「第三者の厳しい目」とやらが、あまりにお粗末だったのには驚きました。「第三者」である弁護士の態度も不遜なものであり、国民の不信が一層高まってしまったのではないでしょうか。

舛添都知事自身の謝罪の仕方も従来と何ら変わっておらず、さらに不適任な弁護士の同席により、せっかくの「落とし所を探るチャンス」を台無しにしてしまったような印象があります。末期の頃の猪瀬氏と同様、今の舛添氏には真摯に相談に乗ってくれる相談相手すらいなくなってしまったのでしょう。


そもそも舛添氏はクリーンな姿勢を強調することで自らのイメージを作り上げ、そのクリーンなイメージをもとに選挙において有権者の信託を得たのです。

しかるに一連の「不適切な処理」は、これまでの舛添氏の主義主張とは全く異なるものであり、有権者の信頼の根本を覆すものです。


これは、つい先日のショーンK問題と同じです。学歴・経歴を偽り、偽のイメージを作り上げることでコメンテーターを務めていたところ、学歴も経歴も嘘だとバレてしまい信頼を損ってしまいました。

ショーンKは、「表では華々しい学歴・経歴をアピールしながら、裏ではただの高校卒業・偽コンサルタントだった」のであり、「表ではクリーンな姿勢を貫きながら、裏では公私混同をしていた」舛添都知事と全く同じです。


すなわち、クリーンな政治家(参議院議員であろうが都知事であろうが政治家であることは同じ)としての有権者の信託の基礎は偽りだったのであり、信託の基礎を失った以上、辞任して再度信託を得るべきなのです。表舞台から姿を消したショーンKを舛添都知事は見習うべきです。


追及する側としては、個々の行為について「不適切な処理」を論じることもさることながら、「学歴・経歴詐称にも匹敵する背信行為により当選した選挙自体に問題があるので辞任を求める」という理由づけを強調すべきだと思います。


専門家の守秘義務
2016年06月06日(月)

無資格者と有資格者の違いは、その責任の重さが違うということは繰り返し本欄でも指摘しています。

不動産鑑定士、税理士は法により専門性を認められ、独占業務を行うことが保障されています。同時に、法により守秘義務が課せられています。守秘義務ゆえに依頼者は何でも包み隠さず話すことができ、ひいては業務を正しく行うことが保障されることになります。 専門家としての業務に対する社会的信頼性を確保することができるのです。


不動産鑑定士に対しては「不動産の鑑定評価に関する法律」の第6条で(秘密を守る義務)が課せられています。

『第6条 不動産鑑定士は、正当な理由がなく、鑑定評価等業務に関して知り得た秘密を他に漏らしてはならない。不動産鑑定士でなくなった後においても、同様とする 』 これに違反すると、第57条で『六月以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する』とされています。


税理士に対しては「税理士法」の第38条で(秘密を守る義務)が課せられています。

『第38条 税理士は、正当な理由がなくて、税理士業務に関して知り得た協密を他に洩らし、又は窃用してはならない。税理士でなくなった後においても、また同様とする』 これに違反すると、第59条で『2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する』とされています。


このように、専門家に課せられている守秘義務は単なる倫理規定ではなく、重い刑罰規定を伴う確固たる義務なのであり、無資格者との決定的な違いでもあると言うことができるのです。


事業再生にあたって必要になる全ての情報の秘密は保護しますので、安心してお気軽にご連絡ください。


相続対策としての第二会社方式
2016年06月02日(木)

第二会社を設立する目的はいくつかあります。

その一つとして、「第三者としての形をとることができる」という点が重要です。


たとえば他人に渡したくない不動産があり、これに抵当権がついているとします。

このような場合、抵当権者に抵当権を抹消してもらうためには一定の金銭を支払うことになります。

その金額は不動産の価格ということになりますが、その金額をどのように決めるのでしょうか。 親族に譲渡するとなれば、一般的には低廉譲渡であるとの疑いをもたれます。

身内に安く譲渡するのであろうとの疑いが払しょくできないので、債権者としても金額に納得しにくいというわけです。 このとき、第三者が出現し購入するとなれば、身内ではない第三者が提示した金額なので一目置かざるを得ないということになります。


この考え方は、相続問題でも同様です。 たとえば親の名義の資産を分けるにしても、相続人間の仲が悪い場合には骨肉の争いとなり、まとまるものもまとまりません。

結局は全くの他人に投げ売り、その金額を分け合うことになりかねません。

被相続人の存命中に第二会社を設立し、第三者としての形式を備えた第二会社が買い支えることで他人に投げ売りをすることなく次代に残すことができるのです。


経営者の高齢化が叫ばれる折、相続対策としての第二会社方式も有効な手段だと確信しています。

銀行の合意が得られない場合
2016年05月30日(月)

平成26年4月より株式会社ミロク情報サービスの客員研究員を拝命しています。
毎月一回の研究会に参加するだけではなく、毎月一回の経営研究レポートを発表しており、ミロク情報サービスのホームページで紹介されています。

第25回の経営研究レポートが公開されました。

今回のテーマは「銀行の合意が得られない場合」で、その要旨は次の通りです。

ーーー

要旨:

全ての債権者の一括合意が得られない例は多くみられます。一括合意が得られないなら個別合意でサッサと解決してしまうというのが得策です。この場合には第二会社方式で解決することが一般的です。もし、個別合意が得られないのであれば、暫定リスケで時間を稼ぐことになります。今回は銀行の合意が得られない場合の対応策について、会計事務所の果たすべき役割を念頭に置きながらまとめることにします。

ーーー


記事を読むにはミロク情報サービスの会員になる必要があります。
会員は(1)会計事務所向けと(2)企業経営者向けに分かれています。


(1)会計事務所の先生の場合は「tvs会員」になる必要があります。
下のアドレスから著者名を指定して検索できます。
http://tvs.mjs.co.jp/working/management/research-rep/not_cached.html


(2)企業の経営者の場合は「GOODWILL PLUS会員」になる必要があります。
下のアドレスから著者名を指定して検索できます。
http://goodwill.mjs.co.jp/working/management/research-rep/not_cached.html


多くの有益な情報を入手できますので、入会することをお勧めします。
私自身、他の研究員の研究レポートを拝読し、参考にさせていただいております。


入会にあたってはお近くの(株)ミロク情報サービスの営業拠点にご連絡ください。営業拠点は下のアドレスから検索できます。
http://www.mjs.co.jp/office/tabid/479/index.php#no2


何事にも落としどころを探ることが重要だと思います
2016年05月26日(木)

舛添都知事をめぐる「第三者の厳しい目」について巷で騒がれています。

相変わらず居酒屋の議論程度の話が、有識者、コメンテーターのお言葉として報じられています。情けない話です。


マスコミは舛添氏の言質をとって、その矛盾を追及しようとしています。発言の内容に右往左往していることは、まさに舛添氏の術中にはまっているようなものです。

過去の発言内容に右往左往するのではなく、将来において打ち出してくるであろう策に備えることで外堀を埋め、追い込むことが有効なのではないでしょうか。

舛添氏は「第三者の厳しい目」を口実に時間を稼ぎ、世論の動向を見極めているのはだれの目にも明らかです。進退窮まったと判断した場合に、それでも今のような態度を貫くのでしょうか。いささか無理があると思います。 「落としどころを探る」のが得策だと考えているのではないでしょうか。


「第三者の厳しい目」によって不正流用が確かめられたことを認める形にして、この段階で改めて謝罪をするつもりなのでしょう。

もし私が舛添氏の参謀であれば、「流用分の全額返金」のみならず、「就任期間中の報酬全額返上」等を前面に出すとともに、「今、改選したのではオリンピック直前に再選挙をしなければならなくなってしまう」「任期一杯、無給で頑張るので許してくれ」「次回選挙で都民の審判を仰ぐ」等々の言い訳を打ち出します。


すなわち、「そこまで言うならやむを得ない」という世論操作を目指すのです。

都議会の要職、都庁の要職に対してもオーバーなほどの謝罪を行い、自民党、公明党にも大々的な謝罪を行い、さらには公認会計士、税理士を入れた監査報告を自主的に公開するなどの対策で、「これ以上の情報開示はできない」という姿勢を見せるのです。「第三者の厳しい目」を契機に、完全な方向転換をすることで、世論と都議会が許せる環境を作出し、いわば「落としどころ」を探ることで自らの逃げ道を確保するのです。


叩かれれば自らも埃が出る都議会にしては、内心喜んで受け入れるでしょう。マスコミも必要以上の舛添叩きから遠ざかることでしょう。ズル賢い氏のことですから、逃げ切りに成功するだろうと私は予想しています。


このような小細工すらせずに、「法律上の問題はない」として突っぱねるようでは、まさに政治に対する信用失墜以外の何物でもありません。個人的に舛添氏は嫌いですが、都政を前進させるとともに、政治への信用失墜を避けるためには、「落としどころを探る」のもやむを得ないと思います。


何事も「落としどころを探る」ことが重要だと思います。


第二会社に取締役会は必要か
2016年05月22日(日)

取締役会が設置されている会社と設置されていない会社があります。

両者の違いについては2015年7月23日の本欄で整理しておきました。

第二会社で事業を継続する場合、取締役会を設置する必要があるのでしょうか?


私が関与する事業再生において第二会社を設立する場合、大半は取締役会を設置しません。

複数の取締役を選任する場合でも取締役会は排除しておきます。


取締役が2人以上いる取締役会非設置会社では、

①業務執行の決定は、定款に別段の定めがない限り取締役の過半数で行い(348条2項)

②定款の定めにより特定の取締役に委任することもできる(348条1項)が・・・

③支配人の選任などの一定の重要事項は各取締役に決定を委任できない(348条3項)。


取締役会非設置会社は常に非公開会社であり、株主が少数かつ変動せず、株主と取締役および取締役相互に緊密な関係があるから、定款による自由な自治が認められているのです。

取締役会非設置会社の株主総会は万能機関性を有しており、会社に関するー切の事項について決議でき(295条1項)ます。


すなわち、株主総会決議によっても重要な業務執行を決定できるのであり、株主構成が経営者一族で確定しているのであれば、身内が集まった株主総会で何でも決定できるというわけです。


お詫び(一時的にホームページにアクセスできませんでした)
2016年05月19日(木)

昨夜から、本日の午前中にかけ、当社のホームページにアクセスできない状態が一時的に発生しました。


サーバー管理会社を通して調査したところ、『サーバーに対して故意に行うアクセスやデータの送信により、ホームページに接続できない状況が生じていた』模様です。


障害調査及びサーバー復旧作業を行い、アクセスできるように回復しました。

一時的とはいえアクセスが不能となり、ご心配をおかけしましたことをお詫びします。


自らの利益を求める偽コンサルタントに注意してください
2016年05月18日(水)

何をもって事業再生が成功したといえるのでしょうか。

この点については拙著の中でも繰り返し指摘しています。


競売や事業売却で経営権を手放し、従来の経営者が破滅の道を歩むことと引き換えに事業が存続すれば、それで事業再生が成功したといえるのでしょうか?

会社が再生できたのだから再生は成功したと断じることが正しいのでしょうか?


そうではないはずです。

会社だけではなく、経営者も守るのが真の再生だと確信しています。


事業再生コンサルタントの中には、経営者と金融機関の間に入り、経営者に不利な内容で「事業再生」を進める輩もいます。処分する必要のない不動産を売却させて手数料を稼いだり、中には経営そのものを第三者に譲渡させることで利益を得る輩もいます。

「会社の従業員や取引先を守ったのだから事業再生は成功したのだ」「経営権を失ったとしても残債務を放棄させたのだから事業再生は成功したのだ」と言われてしまったのでは、経営者を守ることができません。


事業再生コンサルティングにあたって、経営者を外して金融機関と交渉したり、意味が分からない業者が介入したりするのは、怪しい行動の典型例です。経営者として「何か腑に落ちない」と感じる場合の多くは、「経営者の再生ではなく、自らの利益を求めて行動する偽コンサルタント」です。

相変わらず、暗躍しているケースが散見されますので、十分に注意することをお勧めします。


震災遺構は必要ない
2016年05月17日(火)

東日本大震災では巨大津波が押し寄せました。被災を受けた「宮城県南三陸町の防災対策庁舎」や、「宮城県石巻市立大川小の校舎」、「岩手県大槌町役場庁舎」等、東日本大震災の震災遺構を保存するのか解体するのか論議になりました。


私は保存に反対です。さっさと解体、除去すべきだと思います。

地震や津波の怖さは、なにも遺構を見るまでもなく資料や映像で十分知ることができるのであって、「怖さを知る」ためであれば、わざわざ遺構を保存する意味はないからです。保存するという選択肢は「新たな観光ポイントを作り出す」ための利益誘導に過ぎません。私としては観光地を増産するために税金を投入して欲しくはありません。


熊本城。

今回の震災でボロボロになりました。

以前から存在した観光地であり、歴史的な価値のある物件ですので、当然ながら修復すべきだと思います。歴史的価値から判断すれば修復・保存のための税金投入も必要だと思います。


東北各地の震災遺構を保存すべしと騒ぐ輩にとっては、「大地震の怖さを後世に示すために熊本城は震災遺構として、修復せずにそのまま保存すべし」ということになるのでしょうか。

まったく理解できません。「震災遺構は必要ない」と声を大にしたいところです。


舛添都知事への追及が甘いのではないか
2016年05月15日(日)

舛添都知事が家族旅行を政治会議だと主張していることで世間が騒いでいます。

言い訳に無理があるのは誰の目からも明らかであって、論評にすら値しません。コメンテーターが四の五の言っていますが、そのコメントは軽薄で滑稽ですらあります。居酒屋で酔っ払いが話すことと同じ程度の話をコメントとして披露されても得るものはありません。


問題の所存を見失っていると思います。

問題は、なぜ舛添都知事は無茶な言い訳をするのかという点です。

舛添都知事とて、家族旅行であり政治会議でないことは百も承知のはずです。しかし、舛添都知事としては無理を承知で政治会議として突っ張らざるを得ないのです。

何故ならば他にもたくさんあるからです。


舛添都知事としては「家族旅行でした。間違えました」とは言えません。何故ならば、他の例が次々に暴露された場合、その都度、「間違えました」では言い訳にならないからです。

むしろ、単なる家族旅行でも、政治会議であると突っぱねることで、次々と暴露される家族旅行も政治会議として誤魔化す道を選択したのです。換言すれば、「間違えましたと謝る道」と、「すべて政治会議ですと突っぱねる道」を比較衡量し、無理を承知で政治会議と主張しているのです。


すなわち、他にも出てくることを想定した苦しい言い訳なのです。

しからばマスコミは「政治会議か家族旅行か」など、「今回の騒動の是非」を論じるのではなく、「家族旅行先で政治会議をした例は他にあるのか」「家族の食事を会議費とした例は他にあるのか」「他例が発覚した場合はどのように引責するのか」等々、他の例が発覚することを予想した上で、「将来の問題発覚に備えて外堀を埋める」べきです。


マスコミの追及の甘さが目に付くのは私だけなのでしょうか。


レモン市場の原理と会計事務所の役割
2016年05月12日(木)

当事者の一方だけが情報を持ち、他の当事者が情報を持たない場合には正常な取引を進めることが難しくなります。このことをミクロ経済学では「情報の非対称性」といいます。


英語で不良品のことをレモンと呼ぶことがあります。皮の薄い桃やチェリーと異なり、皮の厚いレモンは外から見ただけでは中味がわかりません。

たとえば、古いレモンと新しいレモンがあるとします。情報を買手は知らないため、買手は取引に際して良否を完全に区別できないことにあります。品質の異なるレモンが同一の価格で取引されるとすると、情報を持っている売手は、自分のレモンが市場価格よりも価値があり、市場価格が低いと思うならば、売らずに保有し続けることになってしまいます。したがって、市場に供給されるレモンは、その価格で売ってもよい程度の品質のレモンだけになってしまい、質の良いレモンは市場に供給されなくなってしまうのです。


債権者と債務者は、返済をめぐって利益が相反する関係になりますが、たとえば債務者の返済能力をとれば、「本当はもっと返済できるのではないか」という漠然とした疑問を債権者として感じているのは当然のことです。なぜならば、債務者は自分のことなので全てを知っているのに対し、債権者は外から推測することしかできないからです。両者の間には情報の非対称性が生じているのです。返済能力に関する正しい情報を共有しないと事業再生を成功に導くのは困難なのです。


債権者と債務者は敵対構造として位置付けるのは間違っているものの、両者の間には情報の非対称性が生じていることは事実です。このような弊害を解消し、債権者に対して事実を正しく伝えることから、不良債権の解消に向けて、金融機関との交渉が始まると言っても過言ではないと思います。たとえば、無理な計画を提示するなどということは、事実を正しく伝えていないという点で、まったく無意味なのです。


このことは過去において粉飾決算を行った場合も同じです。過去の粉飾についても正直に開示するべきなのです。金融機関にしては薄々気づいている場合が多いのであり、それを正直に告白することで、過去は事実ではなかったが現在と将来は正しく処理していることを裏付けることにもなるからです。


過去の正しい数値と、正しい現状把握を基礎として将来の計画を作成するのであり、さらには、再生計画を実施した後のモニタリング機能は月次決算業務を通して発揮することができることを考えると、会計事務所の役割が極めて高くなるのは自然な流れです。


債務者対債権者の対立だけではなく、債権者間の対立を解消し、プラスサムによる事業再生を進めるために、返済能力の把握が極めて重要だと言えるでしょう。債務者の業況を最も知る立場にある我々会計人の役割は大きいということができます。


外出先での原稿チェック
2016年05月09日(月)

5月9日の時事通信によると、アメリカン航空系の機中でメモ帳に数式を書き込んでいた経済学者が、他の乗客に「テロリスト」と誤解されて取り調べを受けたとのことです。隣の席に乗り合わせた乗客により「振る舞いが怪しい」と通報され、取り調べを受けたのはペンシルベニア大の理論マクロ経済学者で、「謎めいた暗号」は微分方程式だった由。


自爆テロが横行する世の中ですので、自爆やハイジャックに巻き込まれてはたまりません。乗客の通報も無理ないものであったかも知れません。


一方、学者の行動も良く分かります。

飛行機や電車での移動中に原稿を見直すことで閃きを得ることはよくあることなのです。

私自身も、都内の電車移動時には着席せずにドアーにもたれかかり、赤ペンで原稿チェックをすることが多々あります。環境が変わることで効果的なのだと感じています。

たしかに、以前、学会論文の原稿にあったミクロ理論経済学の論理式をチェックしていた際に、怪訝な顔で見られたことがあります。幸いなことに通報されたことはありませんが、怪しいと感じる人もいるのかもしれません。

思いもよらなかったことですが、事情を知らない人には不思議な光景に見えるのでしょう。これからは、周囲の環境に適応するような形で原稿チェックに勤しみたいと思います。


それにしても、外出先で原稿チェックすら自由にできない世の中に違和感を覚えるのは私だけでしょうか。


競売処分と経済合理性の判断
2016年05月08日(日)

不動産の競売に関して「物件明細書」「現況調査報告書」「評価書」という書類があり、これらは3点セットと呼ばれています。3点セットは時期がくれば誰でもコピーを入手できます。


これとは別に、執行に関する「執行事件記録」という書類があり、当事者や担保権者など法律上の利害関係人は閲覧しコピーをとることができます(民事執行法17条)。

当事者だからこそ早めに情報を入手できるというわけです。

裁判所選任の不動産鑑定士が作成した評価書も「執行事件記録」の一部なので民事執行法に基づいて、当事者として閲覧できます。


ひとたび競売手続が開始されると、これを停止するには申し立て権者が取り下げるしか道がありません。資料を取り寄せて金額を把握し、債権者と話し合いを行って債権者が満足する金額を支払うことで取り下げの合意を得るのです。しかし、債権者としては手間暇かけて競売を申し立てているのですから、簡単に取り下げに応じることはできません。

それでも例えば、「特殊な物件であるために金額の算定ができず裁判所の評価を求める場合」などは、比較的、取り下げに応じやすい案件ということができます。この場合には裁判所の評価を基準として交渉がしやすいというわけです。


反面、簡単に取り下げたのでは他の回収事案への示しがつかない等の理由、すなわち金融機関独特の論理により取り下げに応じないケースもあります。

個別案件としては競売を取り下げて任意売却にした方が多額の回収ができるものの、金融機関全体の中で判断した場合には取り下げには合理性がないというような論理になるわけです。特に政府系金融機関や中小金融機関等、柔軟な対応ができないような金融機関の場合に見られるケースといえるでしょう。


過去に似たようなケースは何件か扱いましたが、現在進行中の某案件にも類似のケースがあります。不動産鑑定士として私が試算したところ、競売を取り下げて任売にしたほうが回収額は2倍弱となるものの、金融機関の論理により取り下げに応じないようなケースです。このまま競売手続が進行した場合には、おそらく低額の落札で終わると予想されます。私の見立てでは入札は無く、競売のやり直しとなるのではないかと予想しています。


競売手続で決着となった場合には公開事案になりますので、「金融機関はいかに不合理な判断をしてしまったか」について、実名をもって学会で発表したいと思っています。

学会発表にあたっては本欄で予告しますので参考にしてください。


偽物に騙されないための本物の検索方法
2016年05月06日(金)

ショーンKなる稀代の詐欺師についての騒動は沈静化したような感があります。

様々なメディアで取り上げられ、問題の大きさが露呈された格好になっていましたが、所詮はケチな詐欺師の話でしたので忘れ去られていくのでしょうか。


それにしても、この事件は特異な面を持っています。

というのも、いわゆる詐欺事件の場合は、「騙された者」と「被害にあった者」が同一なのですが、今回の事件は「騙された者=メディア」であり、「被害にあった者=不特定」というように、騙された者と被害に合った者の関係が曖昧な点が異例だといえるでしょう。


私も不動産鑑定士としてテレビに出演したことがありますが、当時、登録状況の照会はありませんでした。登録証を出してくれと言われたことはありません。

確認が甘いと言えばそれまでですが、性善説に基づいた判断なのだと思います。


不動産鑑定士や税理士でない者が専門業務を行うと法律違反になりますが、肩書を詐称してテレビに出演したところで、直ちに違法となりません。専門業務は許されないが、詐称しただけで専門業務を行っていないなら即違法とはならないのです。

ただし中小企業診断士は偽者を取り締まる規定がありません。診断士でないのに診断士を名乗ってコンサルティングを行っている輩もいますので注意が必要です。怪しい者がいた場合、中小企業庁に問い合わせると個別照会に応じてくれますので確認することをお勧めします。

なお、不動産鑑定士と税理士については下の検索サイトで検索できます。


不動産鑑定士の登録状況については下のサイトで検索できます。

https://dacha.fudousan-kanteishi.or.jp/public/kojin_search


税理士の登録状況については下のサイトで検索できます。

https://www.zeirishikensaku.jp/


資格ではありませんが、博士論文の内容についても下のサイトで検索できます。

博士論文を確認することで博士の学位を有していることが分かります。

http://ci.nii.ac.jp/d/


論文の原本については、各大学の他、国立国会図書館で閲覧できます。


無資格者も問題ですが、偽有資格者はさらに悪質だと思います。

実際に偽物も暗躍していますので注意が必要です。

怪しいと思ったら検索することをお勧めします。


都知事の海外出張
2016年05月03日(火)

東京都の舛添知事らがパリ・ロンドンを視察に訪れたときの海外出張費が総額5000万円以上となり、「高すぎる」「税金のムダ遣い」ではないかと騒がれています。

パリ・ロンドン訪問の目的は、パリ市長と意見交換をしたり、商工会議所での講演、ロンドン市長との意見交換、ラグビーワールドカップの視察により日本で開かれるラグビーワールドカップと東京五輪・パラリンピックの参考にする等が目的とのことです。


世間では『豪遊すぎる』、『質素にすべきだ』と騒がれています。

たしかに金額は見直すべきであり、その余地は大いにあると思います。もはや論点にすらならない当たり前の話です。


しかし、問題の本質は金額の多寡とは違うところにあるのではないでしょうか?

金額の多寡もさることながら、本当に出張が必要なのかどうかが議論されるべきではないでしょうか。地方自治体の首長が外国に行くことがどの程度まで必要なのかという点です。

国政は地方自治体の直接の課題ではありません。もっと足元を見るべきだと思います。出張するのであれば、海外視察ではなく、都内視察が先ではないでしょうか?


地方議会議員選挙の時期になると、うるさい街宣活動が始まります。

市会議員選挙で市議会議員候補が『消費税反対』『戦争反対』を叫んでいる姿を見ると、「だったら市議会議員ではなく国会議員に立候補しろ」「それより市立保育園や市立○○の充実に努力しろ」「国政ではなく市政にかかわる主義主張を明確にしろ」と言いたくなります。

国がなすべきこと、都道府県がなすべきこと、市町村がなすべきことの見極めが必要だと思うのです。役割や分担、専門領域を明確にして、活躍すべきフィールドを自覚すべきではないでしょうか。


毎週末に湯河原の別荘に公用車で往復する舛添氏。ルールに従っているから問題ないとの釈明をしています。

しかし、そのルールは自治体独自のルールであり、自治体の長として自らが定めたものに他なりません。いわば、『自分で作ったルールに従っているから問題ない』と釈明しているにすぎません。論理矛盾を露呈しています。

それが許されるならば、好き勝手な独自ルールを作ることで、何をやっても自由ということになってしまいます。自分で作った独自ルールに従うことが「問題がない」のであれば、権力を利用するのも自由なのでしょうか。


2018年の再選時に都民がそっぽを向くとしても選挙民の自由であることを忘れないでもらいたいものです。

2020年の東京オリンピック。

壇上に立つ都知事が誰なのか、私自身は千葉県民ですが、楽しみでなりません。


事業再生における第二ステージの成功が増えています
2016年05月01日(日)

事業再生コンサルティングは2000年の4月から実施しています。

既に16年が経過し、いくつもの再生事例を扱いました。

初期の頃は『再生実績○件』『債権放棄累計○億円』等々の実績を公開していましたが、累計値が際限なく増加したため計算を中止したという経緯があります。再生に関与した取引先は既に数百社、債権放棄の累計額は百億円を超えています。


ここで指摘したいのは実績の多寡ではありません。

第二ステージで成功する取引先が増えてきているという事実です。

第一ステージで「債権放棄を受けるとともに第二会社で事業再生を成功」させ、第二ステージで「第二会社が承継した事業で成功」するというわけです。

M&Aで他社を買い取ったり、投資用の収益不動産を取得したり、様々な方法で第二ステージを成功させている取引先が増えてきています。


当然ながら、第二会社は利益が出るからこそ再生するのですから、節税を含めた経営計画が求められます。新規融資を確保し事業を拡大するのです。

不動産鑑定士、税理士としての資格を生かし、取締役あるいは顧問に就任して新会社をサポートしています。具体的にはM&Aで他社を買い取る際のデューデリや、価格交渉を担っています。


思うに、事業再生とは第一ステージで終わるわけではありません。第二ステージをいかに実現するかが大切なのです。16年という歳月が流れ、第二ステージで成功する会社が増えてきているのは喜ばしいことだと思います。

第二ステージでの成功を念頭においた事業再生コンサルティングが当社のセールスポイントなのです。


事業デューデリと財務デューデリ
2016年04月25日(月)

平成26年4月より株式会社ミロク情報サービスの客員研究員を拝命しています。
毎月一回の研究会に参加するだけではなく、毎月一回の経営研究レポートを発表しており、ミロク情報サービスのホームページで紹介されています。

第24回の経営研究レポートが公開されました。

今回のテーマは「事業デューデリと財務デューデリ」で、その要旨は次の通りです。

ーーー

要旨:

事業計画は実現可能性が高いことが求められます。実現性を高めるために現状維持をすれば良いというものではなく、売上を伸ばし利益を確保する必要もあります。事業計画の実態やリスクを適正に把握するために、事前に行う評価手続のことをデューデリと呼びます。このデューデリは、事業デューデリと財務デューデリに大別できます。

ーーー


記事を読むにはミロク情報サービスの会員になる必要があります。
会員は(1)会計事務所向けと(2)企業経営者向けに分かれています。


(1)会計事務所の先生の場合は「tvs会員」になる必要があります。
下のアドレスから著者名を指定して検索できます。
http://tvs.mjs.co.jp/working/management/research-rep/not_cached.html


(2)企業の経営者の場合は「GOODWILL PLUS会員」になる必要があります。
下のアドレスから著者名を指定して検索できます。
http://goodwill.mjs.co.jp/working/management/research-rep/not_cached.html


多くの有益な情報を入手できますので、入会することをお勧めします。
私自身、他の研究員の研究レポートを拝読し、参考にさせていただいております。


入会にあたってはお近くの(株)ミロク情報サービスの営業拠点にご連絡ください。営業拠点は下のアドレスから検索できます。
http://www.mjs.co.jp/office/tabid/479/index.php#no2


ナチスドイツの脅威と地震の脅威
2016年04月20日(水)

熊本の地震が頻発しています。

内陸での地震は余震が続くとのことなので心配です。


子供の頃、「アンネの日記」を読み、ナチスドイツがユダヤ人を迫害していた事実を知りました。同じ頃、テレビ映画の「コンバット」でサンダース軍曹がドイツ軍とフランス国内で戦う姿を見ました。

子供心に、ユダヤ人もフランス人もナチスドイツが力を増してくることを知ったなら、逃げてしまえばよかったのにと思ったものです。


今の日本。ナチスドイツではなく、地震という脅威が増しています。

首都直下型、南海トラフだと巨大地震が予測される一方で、東北沖や熊本といった「少し外れた場所」で巨大地震が起きています。

本欄で何度も繰り返していますが、これが東京だったらどうなっているでしょうか。


戦うのではなく逃げることも必要だと思います。

熊本県内の避難所にとどまるのではなく、月単位、あるいはせめて週単位で、近隣県内に避難所を設けて分散避難すべきではないでしょうか。逃げるが勝ちというわけです。

狭い日本。どこへ逃げても地震から逃れることはできません。

だからと言って一か所にとどまることが最善策であるとは思えません。


首都圏も同じです。

地震という驚異が力を増してくることを知ったのだから、逃げるべきです。すなわち、首都機能の分散移転を積極的に推進すべきです。

近い将来、「だから、あの時、逃げろと言ったじゃないか」と言いたくありません。


地震保険の免責条項は一律に適用すべきである
2016年04月16日(土)

生命保険では、地震などで「保険計算の基礎に重大な影響がある」場合には、保険金を削減するか全く払わないことがあるとする免責条項を設けていますが、熊本地震の対応について生命保険各社は免責条項を適用せずに保険金を支払うことを確認したとのことです。さらには、東日本大震災のときも各社は免責条項を適用せずに保険金を支払ったと報道されています。


なんたることでしょう。

いったい地震免責条項とは何なのでしょうか?

注目を集めるような中規模地震では免責条項が適用されないのでしょうか?


それでは首都圏直下型などの巨大地震の場合はどうなるのでしょうか?

巨大地震の際に免責条項を適用せずに保険金を支払ってしまえば、支払い能力を大きく超過するのは目に見えています。生保各社の経営破綻すら招来しかねません。過度の保険金支払いを再保険から回収するとなると、再保険料の高騰を招き、間接的に保険料の値上げを招いてしまいます。


あるいは巨大地震の場合は、支払い能力超過を理由に、免責条項を適用する(=支払いを拒絶する)のでしょうか?

そのような恣意的な扱いを許していたら、都市部の巨大損害と地方の中規模地震との間に不公平な扱いを招いてしまいます。


生保の経営破綻や保険料の値上げを回避し、さらには不公平を回避するためにも、地震保険の免責条項は一律に適用すべきだと思います。


首都機能の分散と地震保険の強制付保を進めるべきである
2016年04月15日(金)

熊本で震度7の地震が発生したと騒がれています。日本は地震国ですので、どこで地震が起きても不思議ではありません。


益城町という地方の狭い範囲でしたので被害は大きくならずに済みました。これが東京や大阪だったらどうなったでしょう。

いまだに東北では仮設住宅に留まる人々がいるような状況ですが、大都市で桁違いの人々が罹災したとき、全員に仮設住宅を提供できるのでしょうか?

建物全壊が85万棟とも予想されている首都圏直下型地震の罹災者の全てに仮設住宅を提供するのは無理というものです。東北や熊本といった地方都市で、少数だからといって手厚い保護をするのは、かえって不公平だと思います。

無節操に仮設住宅を提供することには賛成できません。


任意加入になっている地震保険は自動車賠償責任保険と同様に、強制保険とすべきです。

建物を所有する以上、全員が地震保険に加入することを義務付けるべきです。

なぜならば、地震により建物が全損になったとき、片づけなければなりません。片づけ費用は所有者の負担とすべきです。建物を所有していたのは所有者の自由意思に基づく以上、その取り片づけを災害を理由に国費で行うことは理不尽だからです。

すなわち、建物所有者は最低限度、取り片づけ費用を保険金額に設定した地震保険に強制加入すべきです。希望者は取り片づけ費用に留まらず、建て替え費用を保険金額とした加入を認めるのです。建て替え費用となれば、それだけ保険料が高くなりますが、それは本人の自由とすべきです。


現に諸外国では、火災保険の強制加入制度が採用されている例もあります。合理的かつ公平な考え方だと思います。損害保険会社に勤務していた30年前に、ドイツ、イギリスに留学して欧州の保険制度を研究したことを想い出します。

我が日本。宮城県では海岸線をぐるりと防潮堤で覆う計画とのこと。

バカバカしくて話になりません。

自然と戦おうとする不遜な姿勢に問題があるのです。

自然という脅威に戦いを挑むのではなく、逃げるのです。

燃えない建物、壊れない建物を作ろうとするのではなく、建物が燃えた場合、壊れた場合の対策を講じるべきなのです。

東京に巨大損害が生じないように防衛しようとするだけではなく、東京に巨大損害が生じた場合の対策を講じるべきなのです。


本欄で何度も指摘している首都機能の分散・すべての原発の建て替えとともに、地震保険の強制付保を強く提言したいと思います。


大塚家具の争いと前会長の起死回生策
2016年04月14日(木)

大塚家具の前会長が娘の久美子社長に対して資産管理会社「ききょう企画」に関する訴えを提起していた件で、久美子社長は「ききょう企画」が持つ大塚家具の株式を担保に銀行から約15億円を借り入れて支払ったと報道されています。裁判が株式ではなく金銭の支払いで決着したため、大塚家具の経営権への影響はない見通しとのことです。

一方、久美子氏が経営する大塚家具は売り上げが不振である由。


既に昨年の3月28日付本欄で指摘している通り、前会長は捨て身の作戦をとるべきです。大塚家具の持ち株を全額換金することで手許資金を厚くし、新設した『匠大塚』の経営に特化すべきです。

一方の旧大塚家具は全国に相当のインフラを整備してしまっている以上、低価格路線には無理があり(=久美子社長の戦略は無理がある)、いつの日にか縮小あるいは事業譲渡が求められることになると推測できます。

その時に、『匠大塚』が引き取るという作戦です。


昨年の時点では投資ファンドを中心とした株主が久美子社長を支持しましたが、仮に業績が上向かないとなれば、低価格路線より高級路線が良かったとの判断に変わることが予想されます。なぜならば、ファンドは低価格路線を理由に久美子社長を選んだのであって、それが破綻したのであれば、対極である高級化路線を選択することは容易に想像できるからです。

その日を待ち、失った会社を取り戻す形で起死回生を図るという作戦をとるべきなのです。


自分を裏切った実の娘よりも、自分についてきた実の息子に再起を託すのです。前会長は余生のすべてを次代の再起にかけるべきではないでしょうか。

旧大塚家具の中に留まり株主として影響力を行使しようとするのではなく、外に出て、旧大塚家具の外堀を埋める形で、じわじわと攻撃を加えることが得策だと思います。


日本交渉学会での学会発表
2016年04月12日(火)

本欄で予告していた通り、日本交渉学会での学会講演を行いました。

商業ベースで行われる会計事務所向けのセミナーと異なり、学会での講演は学者や研究者、大学院生が対象ですので華々しさはありません。

お茶の一つが出るわけでもなく、大学の教室などで淡々と開催されるものです。


そのかわり向学心に富む人々の集まりですので、アカデミックな視点からの質問が出ることも多く、学術的な観点から見れば商業ベースのセミナーとは異なり、高尚な議論が展開されることが少なくありません。


今回は大学院生の参加がなく、全員が学者、研究者でした。

弁護士は数名参加していましたが、会計士や税理士の参加はありませんでした。

実務的な視点からのコメントも交え、理論と実務の融合を目指して論を展開したつもりです。具体的には次のように進めました。


不良債務者の区分と不良債権の分類

事業再生と清算・法的整理と私的整理

債権者と債務者の交渉

債権者間の交渉

債権者の姿勢の違いが交渉に及ぼす影響

決定権を有する債権者の姿勢が債務者に及ぼす影響

第二会社方式とM&Aの例


次回の学会発表は今のところ具体化していませんが、数年に一回程度は発表したいと考えています。あらためて本欄で予告しますので興味のある方はご参加ください。


政治家の不正を追及する質問のあり方
2016年04月07日(木)

民進党の山尾政調会長の政党支部が多額のガソリン代を計上していた問題で、「元秘書が関与している蓋然性が高い」と釈明しています。

「多額のガソリン代はある秘書の在職期間とほぼ合致している。この秘書が関与している蓋然性が相当に高い」「元秘書が本当にプリペイドカードを購入したかどうか、現時点で疑問を持っている」「元秘書には接触していない」とのこと。


釈明レベルの低さには呆れるばかりです。まるで子供の言い訳です。

さらに残念なのは記者会見での質問の中身です。本旨をついた有効な質問が出ていませんでした。


私だったら次のような質問をしたいところです。

「廃棄された他人のレシートを流用したとのことですが、それにより出金した金は誰が何に使ったのですか?」

「出金した金は全額を秘書が着服したのですか?一部でも政治活動に流用したことが発覚したら引責議員辞職しますか?」

「弁護士のアドバイスで秘書に接触しなかったとのことですが、その理由は何ですか?法律家でもある貴方の意見を教えてください」

「秘書が退職した後に同様の処理はないのですか?発覚した場合、引責議員辞職しますか?」

「一週間もかけて調査し『元秘書の関与である蓋然性が高い』という『推測』では十分な調査になっていません。秘書と接触して再度釈明すべきではないですか。再説明はいつしますか?」

「秘書に対する法的措置を検討するとのことですが、告訴しないという判断になる理由は何ですか?」

「秘書が冤罪を主張して反論してきた場合、あなたは引責議員辞職しますか?」


「どのように責任を取りますか」では相手に説明の機会を与えてしまいます。これでは「煙に巻く道を与える」だけです。むしろ「引責議員辞職しないのか」という形で相手を追い込むことで先方の自滅あるいは綻びを招くべきなのです。


相次ぐ不正に、追及すべきマスコミにも弛みが見られるようです。

政治家も政治家なら、マスコミもマスコミといったところなのでしょうか。

質問も一種の交渉です。有効な交渉を行うことで、価値のある結果を導いてもらいたいところです。

不正を追及すべき質問のあり方を考えてしまいました。


STAP細胞と徳川埋蔵金
2016年04月04日(月)

STAP細胞の件で世間を騒がせた小保方氏がSTAP細胞に関するホームページを開設したとのこと。関連する知識を持ち合わせない私が、専門英語で書かれているホームページを見たところで何が何だか全くわかりません。


この期に及んで小保方は何をしたいのでしょうか?

STAP細胞なるものが存在するなら証明すれば良いだけの話であって、わけのわからないホームページで煙に巻く必要はないはずです。


一昔前、徳川埋蔵金を巡ってテレビでも特番を組んで大々的に報道されたことがあります。

STAP細胞なるものはまるで徳川埋蔵金のようなものです。

「○○をすればSTAP細胞は作れる=(○○を探せば埋蔵金を発見できる)」と言うなら、実際に○○をすべきなのです。


ホームページで「作り方=(探し方)」を解説するのではなく、自分で行えば良いのです。

それができないのであれば証明不足であり、発見でもなければ、発明でもありません。

仮に、将来において「誰か」が「◎◎をすることでSTAP細胞を作った=(◎◎を探して埋蔵金を発見した)」ならば、その時にこそ「誰か」の新発見であり、新発明なのです。

小保方氏には「ほら、やっぱりSTAP細胞はあったでしょ(=埋蔵金はあったでしょ)」と言う権利も資格もありません。なぜならば、作った(=発見した)のは新たな誰かであり、○○と◎◎が異なる以上、全く別のものなのだからです。

名称もSTAP細胞なる意味不明なものではなく、新たな名称が付与されることになるでしょう。


小保方氏は妄想に固執するのは止め、謙虚に別の道を歩むべきだと思います。


出張報酬を引き下げました
2016年04月01日(金)

このたび出張報酬を引き下げました。

特に遠方からの相談が多いことを受け、遠方への出張報酬を引き下げた次第です。


出張にあたっては基本報酬(予備調査の場合は54,000円)に出張報酬と交通費を加算させていただいています。

今回はこの出張報酬を引き下げました。

東京駅を起点にして、出発時刻と帰着時刻に応じて算出します。詳しくは報酬規程に明記しております。

報酬規程は「Ⅱ、費用と効果」「Ⅲ、予備調査」のページでご覧いただけます。


下に掲げた主要駅から30分以内の場所を訪問する場合の出張報酬を例示しておきます。

(1)札幌  ・・・8時以降の出発で21時以前の帰着なので75,600円

(2)仙台  ・・・10時以降の出発で18時以前の帰着なので32,400円

(3)金沢  ・・・9時以降の出発で20時以前の帰着なので64,800円

(4)名古屋 ・・・10時以降の出発で18時以前の帰着なので32,400円

(5)大阪(梅田)・・・9時以降の出発で20時以前の帰着なので64,800円

(6)博多  ・・・8時以降の出発で20時以前の帰着なので75,600円

(7)那覇空港・・・8時以降の出発で20時以前の帰着なので75,600円


東京駅を起点とし、現地到着を13:00、現地出発を16:00として計算します。飛行機、新幹線のダイヤが変更になれば出発時刻、帰着時刻が変わるため、適用金額も変わりますのでご注意ください。


全国どこでも対応しますのでお気軽にご連絡ください。



シャープの買収に関して思うこと
2016年03月31日(木)

台湾の鴻海精密工業によるシャープ買収が決まり、鴻海グループがシャープの議決権の66%を握る筆頭株主となるとの報道がなされています。シャープの業績悪化や将来負債となる恐れのある偶発債務を踏まえ、出資を当初予定の4890億円から1000億円程度減らした由。


3月1日付の本欄でシャープの交渉姿勢の稚拙さを指摘しましたが、結局は1000億円も値切られた形で決着しました。経営陣は退任ではなく、引責辞任あるいは引責解任されるべきではないでしょうか。

債権放棄を渋るがために海外への技術流出を黙認した銀行団も猛省すべきだと思います。


それにしても、交渉力の欠除には呆れるばかりです。

今回はシャープと鴻海という私企業間のビジネス交渉での敗北だったわけですが、これが日本と台湾、中国といった国家間の戦略交渉でも同じような「負け戦」を強いられているのではないかと思うと暗澹たる気になります。


日本は交渉力を磨く必要があるのではないでしょうか。

シャープの買収劇を見ていて、日本の交渉戦略のあり方に不安を感じてしまいました。


事業再生に関わる会計事務所の役割
2016年03月25日(金)

平成26年4月より株式会社ミロク情報サービスの客員研究員を拝命しています。
毎月一回の研究会に参加するだけではなく、毎月一回の経営研究レポートを発表しており、ミロク情報サービスのホームページで紹介されています。

第23回の経営研究レポートが公開されました。

今回のテーマは「事業再生に関わる会計事務所の役割」で、その要旨は次の通りです。

ーーー

要旨:

無資格・無責任な偽専門家が暗躍していることで、会計事務所の大切な関与先の事業再生が大きな被害を受けていることは既に紹介したとおりです。法的に専門能力を認められている会計事務所は、無資格・無責任な偽専門家とは信頼性が大きく異なります。その信頼性こそ、職業会計人たる会計事務所に求められるのであり、着実性・確実性を重視することが重要なのです。事業再生にあたっては、「過去の決算書」「現在の清算価値」「事業計画作成」「返済計画作成」「将来のモニタリング」という5つのステージを念頭に置きながら取り組む事が必要です。

ーーー


記事を読むにはミロク情報サービスの会員になる必要があります。
会員は(1)会計事務所向けと(2)企業経営者向けに分かれています。


(1)会計事務所の先生の場合は「tvs会員」になる必要があります。
下のアドレスから著者名を指定して検索できます。
http://tvs.mjs.co.jp/working/management/research-rep/not_cached.html


(2)企業の経営者の場合は「GOODWILL PLUS会員」になる必要があります。
下のアドレスから著者名を指定して検索できます。
http://goodwill.mjs.co.jp/working/management/research-rep/not_cached.html


多くの有益な情報を入手できますので、入会することをお勧めします。
私自身、他の研究員の研究レポートを拝読し、参考にさせていただいております。


入会にあたってはお近くの(株)ミロク情報サービスの営業拠点にご連絡ください。営業拠点は下のアドレスから検索できます。
http://www.mjs.co.jp/office/tabid/479/index.php#no2


自称経営コンサルタントの学歴・経歴詐称
2016年03月16日(水)

経営コンサルタントを名乗るショーン・マクアードル川上氏の学歴、経歴詐称が発覚しました。日本人なのにハーフを名乗り、海外渡航歴も偽り、コンサル実績も過大、経営規模も過大。さらにはハーフに見せかけるための整形手術の疑惑まで浮上している模様です。

まさに嘘で固められた経歴だったとのことです。報道が事実なら、単なる学歴詐称に留まらず、マスコミを利用して世間を欺いた稀代の詐欺行為だったのではないでしょうか。

無資格・無責任な偽専門家が暗躍している危険について本欄で何度も指摘してきましたが、まさにその一例が発覚した模様です。


ミクロ理論経済学で、情報を有する側が情報を持たない側に対して、自己の優位性をアピールする行為をシグナリングと呼びます。高学歴を主張することで就職を有利に進める行為を例にとって説明することが少なくありません。学歴を資格に置き換えて理解することもできます。資格を有することをもって自己の優位性をアピールするというわけです。


事業再生の世界でも偽専門家に注意しなければなりません。

事業再生の専門家について正しい情報を持たない債務者にしてみれば、一体どこに相談したらよいのか分からないというのが一般的です。このような場合、有資格者によるシグナリング効果を利用することが期待されます。

無資格者とは異なり、苦労して国家資格を取得したという事実は有資格者によるシグナリングなのです。苦労して資格を取得した有資格者と、口先だけの無資格者では信頼性が決定的に異なるというわけです。


債務者にしてみれば死活問題ですので、信頼のない偽専門家に翻弄されてはなりません。一般に、無資格者によるコンサルティングは、たとえ債務者を翻弄することができたとしても金融機関に対する説得力は全くありません。現に、金融機関に出入り禁止になっている偽専門家も複数存在しますので要注意です。

「テレビに出ている」「本を出している」「セミナーを行っている」等々は判断基準になりませんので注意してください。


偽専門家に対して不当利得返還請求などの裁判を提起した例もありますが、ここでは偽専門家の実名を挙げることは控えます。怪しげな専門家?が出入りしているような場合にはご相談ください。個別にお知らせします。


野球賭博は個人責任ではなく組織責任を追及すべきである
2016年03月15日(火)

野球賭博に関連し、巨人軍の投手が立て続けに問題になりました。

今度は、巨人の複数の選手が、自チームの勝敗を対象に金銭をやり取りしていたと報じられています。円陣を組む際に全員で掛けが行われていたとのことですから、まさに組織行為です。


野球賭博に関しては昨年11月10日付の本欄で、「あまり厳しく罰することで若い選手の将来を潰してしまうのはいかがなものか」という指摘をしました。少年野球から始まって、野球一筋に打ち込んできた野球選手は、いわば世間知らずでもあるのです。そのような世間知らずの若者の将来を、「賭け事をしただけ」で潰してしまうことは厳しすぎると思います。勝ち負けを左右したわけではないのです。


賭博を是とするものではありませんが、一部の選手をトカゲの尻尾のように切り捨てることが正しいとは思えません。

まして自発的に申告することを求めるのは無理というものです。なぜならば申告したら最後、トカゲの尻尾として切り捨てられるからです。


むしろ、巨人軍が組織を挙げて円陣で賭け事をしていたことを、組織を挙げて隠ぺいすることの方が大きな問題であると思います。

真摯に反省するのであれば、個々の選手を追放するのではなく、巨人軍としてペナントレースへの参加を辞退する、あるいは参加しても優勝は辞退するというような禊を受けることが必要ではないでしょうか。


高橋由伸新監督も昨年までは選手であり円陣を組んでいたのです。「知らなかった」では済まないはずです。事実を認めるのであれば、監督辞任というような話に追い込むべきではないと思います。個人を責めるのではなく、組織を責めるべきだからです。

新監督が「知っていたのに知らない」と嘘をつくのであれば、その時にこそ「新監督の辞任」が求められるべきではないでしょうか。


個人責任を追及するのではなく、組織責任を追及することによってこそ、膿を出し切ることができるのだと思います。


日本交渉学会で講演を行います
2016年03月09日(水)

私が所属している学会のひとつである「日本交渉学会」の「2016年春の講演会」で講演を行います。

日時と場所は、4月9日(土)、15:45から中央大学後楽園キャンパス となっています。


今回のテーマは「複数債権者間の利得配分交渉が債務者に及ぼす影響」です。

一時間程度のミニ講演ですが、未発表の最新論文を公表します。

その要旨は次のようなものです。

『不良債権の回収にあたって、複数の債権者が存在する場合にそれぞれの債権者が満足する債権回収額の水準が異なると、合意形成に影響を及ぼすだけではなく、債権者と債務者、さらには債権者と他の債権者の利得配分に影響を及ぼすことになります。不良債権の回収に伴って生じる利得が、債権者と債務者、さらには債権者と他の債権者の間の交渉を通してどのように配分され、不良債権の処理にどのような影響を及ぼすのかを検証します。』


参加費は『会員(1,000円)、非会員(2,000円)、学部学生(無料)』とのことです。

なお、『講演会終了後、聖橋亭において、17:30より、名刺交換会を開催します。会費:5,000円(会員・非会員)』(…日本交渉学会のHPより)


講演の内容に興味のある方は勿論、学会の講演会を体験してみたい方、学位論文の手がかりがほしい方等々にも参考になるかと思います。


詳しくは日本交渉学会のホームページをご覧ください。

http://www.jisn.jp/celebration.html


経済合理性と抵抗勢力
2016年03月07日(月)

創業者一族の間で経営権をめぐる争いが続いていくロッテホールディングスの臨時株主総会が6日、東京都新宿区の本社で開かれ、創業者らの取締役復帰と現経営陣の一掃を求めた株主提案が反対多数で否決されたとのことです。


大塚家具でも似たようなお家騒動がありましたが、一族の間での争い事ほど面倒なものはありません。なぜならば、経済合理性では判断しないことがあるからです。「あいつの言うことだけは納得できない」というような考え方は話し合いでは収まらないことが少なくありません。


事業再生にあたって事業譲渡や会社分割を行うにしても、株主の一部に抵抗勢力が存在する場合には一筋縄ではいかないことが多いといえます。事業再生に着手するにあたっては、財政状態、経営成績、キャッシュフローの状況にあわせて、株主や取引先に抵抗勢力がいるかどうかを必ず調べることが必要になります。


ミクロ理論経済学は完全合理性を前提にしていますが、実社会ではそうはいきません。

経済合理性が成り立たないことほど困難なことはないのです。まさにこの点が事業再生の難しさであると言っても過言ではありません。


事業再生に着手する前に、抵抗勢力の有無と対策方法を明らかにすることをお勧めします。


シャープの再生は法的手続によるべし
2016年03月01日(火)

台湾企業の鴻海の支援を受けることをシャープが決断したものの、直前に開示することになった3000億円以上の偶発債務のために最終合意が延期になったとのこと。

まったくもってお粗末な交渉だと思います。

 

政府系ファンドの産業革新機構は、すでに支援から撤退する旨を公表しており、シャープとしては鴻海しか助け船がなくなってしまっています。鴻海とすれば偶発債務を理由にして高圧的な姿勢で有利な交渉を展開できるわけです。

台湾勢に押し切られ、技術を吸い上げられた挙句、放り出されるのは目に見えています。稚拙な交渉を展開するシャープには交渉能力がないとしか考えられません。当事者能力がないとさえいえるでしょう。

 

私としてはシャープの再建を鴻海に委ねることには賛成できません。私的再生ではなく、破産手続を進める中で、事業部門ごとに再生するべきではないでしょうか。あるいは会社更生法の手続きに従い、裁判所監督下において法的再生を進めるべきです。

 

シャープの取締役会による稚拙な交渉を防止するには、株主による違法行為差止請求(360条)は残念ながら無力です。会社に対する損害や、法令違反がない以上、違法行為差止請求は認められないからです。

しからば、心ある債権者が債権者破産を申し立てることで鴻海による支援を停止させることが考えられます。債務超過を理由とした破産申立を債権者が行うのです。

これにより破産手続が開始されるか、あるいはシャープが会社更生法による再生を申し立てることになります。法的手続きに従った債権放棄であれば、債権者の直接償却がしやすくなりますので債権放棄がしやすくなります。

裁判所が公的に関与することで、従来のような「シャープと鴻海」という当事者同士の話し合いによる解決ができないことになるのです。

 

無能な経営者による国益の流出を防ぎ、健全な形でシャープの再建を実現するため、心ある債権者の英断を期待したいところです。

 

第二会社方式
2016年02月26日(金)

平成26年4月より株式会社ミロク情報サービスの客員研究員を拝命しています。
毎月一回の研究会に参加するだけではなく、毎月一回の経営研究レポートを発表しており、ミロク情報サービスのホームページで紹介されています。

第22回の経営研究レポートが公開されました。

今回のテーマは「第二会社方式」で、その要旨は次の通りです。

ーーー

要旨:

事業再生にあたって新たな会社に事業を移転することが少なくありません。第二の会社であるため第二会社方式と呼ばれることもあります。この場合、新たな融資を受けるのであれば旧会社との倒産隔離をしておかなければなりません。中には債権者を出し抜く形で、詐害的に第二会社方式を強行する例も見られますが、とんでもない誤策です。正しい形で第二会社方式を進めることで節税原資としての営業権を確保し、その営業権を無担保債権者への返済額原資とするのです。第二会社方式による再生は簡単なようで難しいということを理解しておくことが必要です。

ーーー


記事を読むにはミロク情報サービスの会員になる必要があります。
会員は(1)会計事務所向けと(2)企業経営者向けに分かれています。


(1)会計事務所の先生の場合は「tvs会員」になる必要があります。
下のアドレスから著者名を指定して検索できます。
http://tvs.mjs.co.jp/working/management/research-rep/not_cached.html


(2)企業の経営者の場合は「GOODWILL PLUS会員」になる必要があります。
下のアドレスから著者名を指定して検索できます。
http://goodwill.mjs.co.jp/working/management/research-rep/not_cached.html


多くの有益な情報を入手できますので、入会することをお勧めします。
私自身、他の研究員の研究レポートを拝読し、参考にさせていただいております。


入会にあたってはお近くの(株)ミロク情報サービスの営業拠点にご連絡ください。営業拠点は下のアドレスから検索できます。
http://www.mjs.co.jp/office/tabid/479/index.php#no2


シャープの技術を海外に流出させてはならない
2016年02月24日(水)

シャープの再建に関し、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下で経営再建を目指す案が有力となっている由。明日、25日にでも取締役会で最終決断するとのことです。

鴻海は巨費を投じてシャープを買収して再建を目指すのに対し、政府系ファンドの産業革新機構に支援を求める案も根強いものの、相変わらず鴻海案が優勢と報道されています。


なんということでしょう。

経営破綻を招いてしまった経営陣が、自らの責任を棚に上げ再建の支援先を選定するという姿勢が問題だと思います。債権放棄を求める以上、債権者の意向も重視すべきであり、有識者を中心とした第三者が主導する形で再建策を策定すべきです。


経営は破綻したとしても、技術は破綻していません。

台湾メーカーに技術が流れてしまっては国益を害することになります。

たとえ金融機関の債権放棄が多くなるとしても、政府系ファンドである産業革新機構の支援を受けるべきです。債権放棄が少なくて済むとか、事業の切り売りが回避できるとか、会社の体制を大きく変えないで済む等々の理由で技術を外資に渡してはなりません。

短期的、短絡的な判断ではなく、超長期の視点に立ち、技術の外国流出を防止すべきだと思います。それこそ、結局は国益を守ることになると思います。


所詮は経営破綻を招いてしまった経営者です。再建策に関しても、正常な判断をすることはできないのでしょうか。

せめて最後の最後に、正しい判断を期待したいところです。


株価の乱高下
2016年02月16日(火)

株価が乱高下しています。

評論家は好き勝手なことを言っていますが、一昔前の天気予報のようなもので、精度の低い「予想」に過ぎません。株屋独特の言葉使いで煙に巻いているようなものです。


金融機関の融資部に勤務していた当時、毎月1回の「資産運用会議」がありました。財務企画部、有価証券部、融資部の部課長が集まり、午後半日をかけて「先月の総括」と「今月の方針」を報告するものです。

私は融資部の課長として、本社融資の実行状況と不良債権の回収状況を報告する役割を担っていました。もちろん、在職中は有言実行で通しました。


しかるに有価証券部の報告は、毎月のように内容が異なり、まったく信用できないものでした。

一日中、株価ボードを睨みながら証券投資を行うのですが、日経平均について行くのが精いっぱいというところでした。それ以上の運用成績を上げることはできないままでした。巨額の含み損失を抱えた自前のファンドもありました。「下手に手を出して自社ファンドに含み損を抱えるよりも、証券会社のファンドに乗っているだけの方が良かろう」と思ったものです。

換言すれば、有価証券を本業とする専門家?でさえ、株式市場の大きな流れに流されてしまうのが実情であり、個人投資家が下手に手を出したところで大きなリターンは期待できるわけがありません。株式で儲けるのは、運が良いかインサイダー取引のどちらかでしかないのです。

株式投資を一切やらない立場からは、連日の乱高下を傍観するだけです。


額に汗して地道に働くことが結局は得策であると私は確信しています。


イクメン議員は辞任すべき
2016年02月11日(木)

タレントの不倫だ、清原の覚せい剤だと騒がれていると思えば、今度は国会議員の育児休暇を取得しようとするイクメン議員の不倫がスクープされました。善し悪しは別として、週刊文春の矢継ぎ早のスクープには驚くばかりです。


しかし、イクメン議員も余計なことをしたものです。

不倫が糾弾されるべきことは当然のこととして、余計なことというのは「国会議員として育児休暇を取得する」などという売名行為をしたことです。育児休暇の取得推進と、妻の出産時の不倫行為は、まさに相反する行動であり、世間の厳しい非難は避けようがないでしょう。もはやイクメン議員には言い訳の道はありません。


イクメン議員の立場で行動選択の合理性だけを考えるならば、中途半端な言い訳会見を行うのではなく、非を認めて議員辞職するべきです。

どうせ遠からず衆議院の解散で失職するのですし、再選はまず無理でしょう。しからば、第二の人生を有利に進めるためにも、議員辞職をすることで「禊を受けた」という形にしておく方が有利だと思います。それが交渉戦略というものではないでしょうか。


2015年12月24日の本欄では国会議員の育児休暇は認めるべきではないことを指摘しています。さらに2015年4月5日の本欄ではレベルの低い国会議員を選ぶくらいなら抽選で選出すべしと指摘しています。

不倫イクメン議員だけではりません。パンツを盗んだと騒がれる復興大臣。「歯舞」を読めない沖縄・北方担当大臣。おバカキャラを集めて国会運営をすることに無理があるのです。民主党政権時のおバカぶりと大差がなくなってきているようです。


「だから言わんこっちゃない」と言いたくもなります。


温泉旅館の有料貸し切り風呂
2016年02月09日(火)

プライベート旅行にあたって、宿の格式ではなく、温泉の質にこだわって山深い場所にある宿を選んだことがあります。

源泉100%、かけ流しは当然として、期待した通り湯質が極めて優れた宿でした。しかし、残念なのは脱衣場に直結したトイレがあり、これが異臭を放っていたことでした。


夜、宿のオーナーと話す機会があったので、思わず経営コンサルをしてしまいました。私の提案はトイレを取り壊し、有料貸し切り風呂を設置することです。

そのために、宿泊利用と日帰り利用のそれぞれについて、新規客とリピーター客の数を把握し、あわせて各グループの男女別の構成比を整理することを助言しました。この作業を通し、宿の利用客のうち何人くらいが有料貸し切り風呂を利用するかを見極めるのです。

カップル、ファミリーが利用する他にも同性のグループが利用することも考えられますので、この場合は割り勘利用で利用客の負担感は軽減されることになります。

利用客の属性を把握することで有料貸し切り風呂の価格設定も見極めることになります。


このようにして、月別に有料貸し切り風呂の利用見込み客数を把握し、価格設定を行うことで年間の売り上げ見込みを求め、設備投資の可否を判断することになります。すなわち、借入で設備投資を行うと何年で返済できるかを把握することで意思決定を行うことになります。


オーナー曰く、「考え方を理解できたので、早速、検討してみる」とのことでした。お礼として地酒をいただいてしまいました。前向きに取り組む姿勢が感じられるオーナーでしたので間違った意思決定はしないことでしょう。


いつの日か、貸し切り風呂を楽しめる日が来れば良いと思っています。


雪景色とホテル・旅館の経営破綻
2016年02月05日(金)

雪景色の温泉は風情があります。

きれいな雪景色を楽しめるのは、建物の維持管理ができていることが前提となります。

経営破綻したホテル・旅館は風情も何もありません。雪の重みで建物が倒壊して廃墟になってしまうこともあります。

雪国だけではなく、都会のホテルでも放置しておくとガラスが割られて不法侵入や略奪を許すことになり、やはり荒れてしまいます。廃墟になったホテルや旅館は各地に散見されます。不動産鑑定士として、廃墟となった旅館の鑑定に関与したことがありますが、後日、不法侵入者が自殺した物件だと聞いて唖然としたこともあります。


いたずらに資産を劣化させることは経済合理性に反するものであり、社会的損失に他なりません。残念な話です。


これまでに手がけた案件のうち、資金繰りの悪化等の理由でコンサルティングを中止したホテル・旅館業は、残念ながら全て破綻しています。

最近の例としては、2014年度に資金繰りが悪化した関西の某ホテルは15年の夏までに廃業となり、今は競売手続が進んでいます。不動産鑑定士の目線から判断するに、ホテルとしての再生はもはや無理であり、解体を前提とした業者による入札で落ち着くと予想しています。ホテルは最有効使用ではないからです。


2015年度に諸般の事情からコンサルティングを中止した東日本の某ホテルは、現在も営業中ですが私としては極めて心配しています。というのも、経営そのものは継続できると判断していますが、M&Aで第三者に経営権が譲渡されてしまう危険を感じているからです。経営者がこの危険を十分に認識できていないことが心配でなりません。


出張先の雪景色を見ながら、ホテル・旅館業の経営破綻を考えてしまいました。


中断するくらいなら始めないほうが無難かもしれません
2016年02月02日(火)

事業再生に着手した後、成果が表れるまでに必要になる期間はケースによって異なります。きわめて単純なケースであれば数か月で成果が得られますが、多額の債権放棄を伴うケースでは1年以上になることも珍しくありません。数十億の債権放棄となると、全債権者と個別合意を済ませるのに時間がかかるためです。

時間がかかるケースでも、効果があるので地道に努力することになります。

債権放棄の額の大きさだけではなく、第二会社へのスムーズかつ安全な事業移転、少しでも多くの資産を守ることなどを考えれば、時間をかけることに経済的合理性が認められるというわけです。


しかし、残念ですがコンサルティングを中断するケースもまれに生じます。

中断の原因は二つに大別されます。


ひとつは資金繰りの失敗です。

こればかりは事業再生コンサルティングの範疇を超えます。事業再生を実現する以上、キャッシュフローが回らないことには始まりません。キャッシュフローが回らないようでは事業継続が困難なのであって、計画は中断せざるを得なくなってしまいます。

もう一つは経営者の意欲喪失です。

「事業再生を目指したものの債権者との交渉に疲れて意欲を失った」「債権者から揺さぶりをかけられて恐れをなした」等々、理由は様々ですが、経営者自身の事業再生を目指す意欲が失せてしまうことで中断するケースです。


事業再生コンサルティングを始めて15年が過ぎましたが、これまでにコンサルティングを中断した何件かのケースは、その後、事業を中止あるいは廃業しているようです。

資金繰りの失敗を理由とする中断は事業継続が困難なので廃業になるのもやむを得ませんが、経営者の意欲喪失を理由とする中断の場合でも同様です。


中途半端に交渉を中断したことで、債権者の意向が強く反映された形で再生が進められたり、従来の経営者は一部の資産を与えられる程度で経営権をはく奪され、冷や飯を食わされるというケースが見られるようです。

途中で中断するくらいなら、開始しないという選択が無難かもしれません。


返済能力と再生計画
2016年01月29日(金)

平成26年4月より株式会社ミロク情報サービスの客員研究員を拝命しています。
毎月一回の研究会に参加するだけではなく、毎月一回の経営研究レポートを発表しており、ミロク情報サービスのホームページで紹介されています。

第21回の経営研究レポートが公開されました。

今回のテーマは「返済能力と再生計画」で、その要旨は次の通りです。

ーーー

要旨:

当事者の一方だけが情報を持ち、他の当事者が知らない場合、正しい判断に基づいた取引が難しくなります。これが情報の非対称性の問題です。債権者と債務者は、返済をめぐって利益が相反する関係になりますが、たとえば債務者の返済能力をとれば、「本当はもっと返済できるのではないか」という漠然とした疑問を債権者として感じているのは当然のことです。なぜならば、債務者は自分のことなので全てを知っているのに対し、債権者は外から推測することしかできないからです。両者の間には情報の非対称性が生じているため、返済能力に関する正しい情報を共有しないと事業再生を成功に導くのは困難なのです。

ーーー


記事を読むにはミロク情報サービスの会員になる必要があります。
会員は(1)会計事務所向けと(2)企業経営者向けに分かれています。


(1)会計事務所の先生の場合は「tvs会員」になる必要があります。
下のアドレスから著者名を指定して検索できます。
http://tvs.mjs.co.jp/working/management/research-rep/not_cached.html


(2)企業の経営者の場合は「GOODWILL PLUS会員」になる必要があります。
下のアドレスから著者名を指定して検索できます。
http://goodwill.mjs.co.jp/working/management/research-rep/not_cached.html


多くの有益な情報を入手できますので、入会することをお勧めします。
私自身、他の研究員の研究レポートを拝読し、参考にさせていただいております。


入会にあたってはお近くの(株)ミロク情報サービスの営業拠点にご連絡ください。営業拠点は下のアドレスから検索できます。
http://www.mjs.co.jp/office/tabid/479/index.php#no2


事業承継と第二会社
2016年01月21日(木)

最近は事業経営の後継者不足が問題になっています。

とりわけ中小零細企業においては、親族や従業員の中に後継者がいない等の理由でM&Aにより第三者に事業を譲り渡す例も散見されます。


事業が順調に進んでいない企業(不良債権に分類された企業)だけではなく、事業が順調に進んでいる企業(正常債権に分類された企業)であっても同様です。

譲受側としては「傷んだ会社は受けたくない」のであり、事業承継にあたって譲渡側としては「傷んだところを取り除く」必要があります。いわば正常債権としての第二会社を設立することになります。


譲渡側と譲受側それぞれの立場から留意すべき点を見落としてはならず、経営者と会計事務所の双方が間違いのない形で取り組むことが求められます。

当社といたしましては、正常債権としての第二会社を設立するために最大限の支援を行いますので、事業承継をお考えの方はお気軽にご連絡ください。


北海道や青森での地震
2016年01月17日(日)

北海道や青森方面で地震が相次いでいるようです。

地震のたびにスマホに情報が入りますが、局地的な振動なので関東地方では揺れを感じません。スマホで情報が届いても揺れは届かないといった状況です。

局地的とはいえ最大震度が5を超える地震もあるようなので心配です。


福島原発。

汚染水の処理で手一杯のような状況の中、もう一度、津波がやってくるような事態が生じたらどうするのでしょうか。津波に無防備な現状が心配です。

もう一度津波が来て、何もかも海に持って行ってくれれば片付くとでも思っているのでしょうか。


原発は必要悪だと思います。

何十年も前の原発をだましだまし運転するのは危険極まりないと思います。

これが飛行機であったらどうでしょう。何十年も前の飛行機に安心して乗れるでしょうか。原発は飛行機よりも危険な機械装置なのです。単に原発反対を唱えるのではなく、全ての原発を最新式に建て替えるなどの施策が必要です。


再度の津波来襲に備え、せめて福島原発を防波堤で囲う等の対策が必要だと思います。

日本は原爆被害者ではなく原発加害者であることを自覚しなければなりません。原発加害者としてこれ以上の被害拡大を回避することは、我々日本人に課せられた人類に対する責任なのです。


北海道や青森の地震情報に接し、福島原発を防波堤で囲むことと、老朽化した原発の建て替えを行うべきであるとの思いを改めて強くした次第です。


正式に選任されていない取締役の責任
2016年01月13日(水)

取締役が正式に選任されていないのに登記簿上は取締役になっている場合、会社は責任を負うのでしょうか。また、取締役個人は429条の責任を負うのでしょうか。


まず会社の責任ですが、会社法908条2項で『故意又は過失によって不実の事項を登記した者は、その事項が不実であることをもって善意の第三者に対抗することができない』という規定があります。この規定により会社は責任を負うように見えます。

しかしこの規定は登記申請者の責任を定めた規定であり、登記申請者ではなく、不実登記に加担した取締役に直接適用できないともいえます。

908条2項の趣旨は取引の安全を図ることにあるのであって、当期申請者でなくとも不実登記の出現に帰責性あるものに類推適用すべきといえます。たとえば明示・黙示の承諾を与えた場合は908条2項を類推適用し、取締役でないことを善意の第三者に対抗することはできないと解されています。したがって会社は責任を負うことになります。


次に取締役の個人責任ですが、429条の責任は取締役であることが前提です。選任されていない以上、役員ではないのだから429条の責任は負わないのではないかという点が問題になりますが、明示・黙示の承諾を与えた場合は908条2項の類推適用により取締役でないことを善意の第三者に対抗することはできないことになります。この場合、取締役であることを前提とした429条の責任を問われることになり、選任されていないとはいえ、個人としての責任を負うことになります。


会社の責任は当然として、個人の責任も問われかねません。

「正式に頼まれていない」「正規の手続きを踏んでいない」という言い訳は通用しないので注意が必要です。


全国の会計事務所と協働で事業再生に取り組んでいます
2016年01月11日(月)

最近は会計事務所と協働で事業再生に取り組むケースが増えています。

さまざまな拙著の中で、10年以上前から「会計事務所が果たすべき役割が大きい」ことを指摘してきました。

まさにその通りに進んでいます。

本欄でも指摘してきましたが、「過去からの決算事務を通して、債務者の経営成績や財政状態をよく知る会計事務所」だからこそ債務者の事業再生に適任なのです。


全国の会計事務所と協働する形で業務を進めています。


経営者の皆さんにおかれましては、顧問会計事務所を通してご連絡いただいても結構です。もちろん、直接、当社にご連絡いただいても結構です。

地元の会計事務所と協働で事業再生計画の作成、金融機関交渉などを進めますので、お気軽にご連絡ください。


会計事務所の先生方におかれましては、同じ会計人として大切な顧問先の事業再生に尽力させていただきますので、お気軽にご連絡ください。


株価変動と株価予想
2016年01月05日(火)

新年早々、株価が大きく動いています。

予想屋は好き勝手なことを言っています。街行く個人投資家の意見を集約し、今年の株価予想をしているニュース番組すら出現しました。


まったく無意味な話です。

その辺を歩いている個人投資家に何がわかるというのでしょうか。


そもそも株価の完全予想などできるわけがありません。

まさに天気予報と同じです。大きく外れないとしても完全に正しい予想などできるはずがありません。


株で儲けたとすれば、「インサイダー取引」か「運が良かっただけ」の話です。このことは本欄でも指摘した通りです。

外れた天気予報で、外れた言い訳をすることほど情けない話はありません。


言い訳をするのではなく、地道に働くことが結局は間違いのない話ではないでしょうか。


相続対策としての第二会社方式

▲ページの先頭へ戻る