2009年

ここでは過去のコメントを表示しています。最新の情報は新着ブログをご覧下さい。


2009/12/30 大臣の発言の重み
2009/12/26 政界再編の期待
2009/12/14 小沢氏を応援します
2009/12/10 切符の買い方
2009/12/03 鳩山政権を誕生させた責任

2009/11/28 金融・財政担当大臣の交代を願う
2009/11/19 事業再生を委ねる専門家とは
2009/11/14 貸し渋り対策法案は天下の愚策だ
2009/11/09 再生協議会による事業再生がすべてではない

2009/10/29 的外れなサービサーの回収方針
2009/10/18 ラーメン屋の出店
2009/10/09 「貸し渋り・貸しはがし対策法」の問題点
2009/10/07 学会での研究発表を行いました

2009/09/28 亀井大臣の悪行
2009/09/24 中小零細企業の事業再生は・・・
2009/09/18 「実録!債務免除読本」の増補版を出版しました
2009/09/12 当社の目指すコンサルティングとは何か?(2)(全2回)
2009/09/09 当社の目指すコンサルティングとは何か?(1)(全2回)

2009/08/31 歴史の転換を選んだ責任
2009/08/27 報道の責任
2009/08/21 予備調査では何を行うのか
2009/08/17 新型インフルエンザによる死者
2009/08/09 裁判員制度の問題
2009/08/03 個別にサッサと合意してしまうのが得(2)(全2回)

2009/07/29 個別にサッサと合意してしまうのが得(1)(全2回)
2009/07/25 債権者との合意は個別的に行うべき
2009/07/16 事業再生に関する講演を行いました
2009/07/09 事業再生ADR
2009/07/08 オフィス2007の互換性

2009/06/30 講演の概要をお知らせします
2009/06/23 新刊を発表しました
2009/06/16 税理士向けのセミナーで講演します
2009/06/13 大臣を辞職するなら議員も辞職すべし
2009/06/12 大臣の交代
2009/06/09 全盲のピアニスト
2009/06/08 首相の指導力

2009/05/29 再開と転居先不明
2009/05/22 過熱報道は感染拡大の逆効果を招く
2009/05/11 転居先不明の郵便物2
2009/05/07 時間の重要性
2009/05/01 クライスラーの再建

2009/04/25 報道のあり方とレベルの低さ
2009/04/22 問題の本質を見誤っていないか
2009/04/19 本当に骨太の方針
2009/04/09 ホームページをリニュアルしました
2009/04/06 司法書士の広告への苦情
2009/04/01 付け替え融資の甘い罠(2)(全2回)

2009/03/26 付け替え融資の甘い罠(1)(全2回)
2009/03/16 資産評価と現実の不
2009/03/04 再建のための取組姿勢(2)(全2回)

2009/02/23 再建のための取組姿勢(1)(全2回)
2009/02/08 求められている情報とは

2009/01/22 オバマ大統領への期待と不安
2009/01/09 定額給付金の話

大臣の発言の重み
2009年12月30日(水)

国土交通大臣である前原氏が、「せっかく羽田空港の近くに新幹線基地があるのだから羽田空港に新幹線を乗り入れる」という思いつきプランを公表しました。

「今度はあんたかい?」とあきれるばかりです。

羽田空港はハブ空港化すると言っていたのではないでしょうか?
ハブ空港とは、各地の空港を結ぶ、いわば核となる空港のはずです。空港の中心となる空港であり、交通便利な空港ではないはずです。
私には羽田空港と新幹線を結ぶ意味が理解できません。
たとえば大阪。大阪に行くのに羽田空港から新幹線に乗り変えろとでもいうのでしょうか?ハブ空港なのですから、羽田から大阪への移動は空路であるべきです。
大阪だけではありません。新幹線が結んでいる各地には羽田空港というハブ空港から空路で向かうべきなのです。そのためのハブ空港化なのです。遠方であればある程、ハブ空港たる羽田空港から空路で向かう方が便利なはずです。
このように考えると、仮に新幹線の乗り入れをしたところで、恩恵に与かれるのは近場のローカル駅に限定されることになります。東海道新幹線でいえば、「のぞみ」や「ひかり」は通過し、「こだま」が一時間に一本止まるかどうかというローカル駅です。
そのために、大騒ぎして狭い羽田空港に新幹線を乗り入れるのでしょうか?
一体何の効果があるのでしょう?
既に羽田空港に乗り入れており、同じ広軌を採用している京浜急行を新幹線ホームに結ぶほうが、まだマシではないでしょうか。
最近の民主党政権を見ていると、十分な検討や大臣間のすり合わせをすることがないままの軽い発言が目立ちます。発言してから訂正したり、トーンダウンするくらいならば、慎むべきだと思います。
「また馬鹿なことを言ってるなあ」と、半分あきらめの気持ちで大臣様の発言を聞いているのは私だけではないと思います。


政界再編の期待
2009年12月26日(土)

マニフェスト違反の政策が次々と進められています。
さすがに、これからは「いい加減にしてくれ!」と思う人が少しずつ増えてくると思います。
政権誕生後、100日が経過しましたが、民主党のこれまでの対応があまりにいい加減であることは誰の目にも明らかだと思います。
しかし、支持率が大きく下がらないのは不思議な話です。
これが自民党末期の話であれば、マスコミはこぞって叩いたのではないでしょうか。支持率も大きく下落したはずです。
そもそも、民主党のマニフェストに期待して民主党に投票した人はどの程度いるのでしょう。
むしろ、「自民党から民主党に政権を変えよう」との判断のもと、民主党のマニフェストなどは二の次とした人が多かったのでしょう。マニフェストを重視しないから、マニフェストが守られようが破られようがどうでも良いというのでしょうか。
今の民主党には政権担当能力が欠如していることが少しずつ明らかになろうとしています。
「政権交代」という、はやり言葉はもう終わりにして、「政界再編」という、さらに大きな問題に取り組むような気骨のある政治家が現れることを期待しているのは私だけではないはずです。


小沢氏を応援します
2009年12月14日(月)


毎日のようにレベルの低い話題が政治の世界を騒がせています。
自民党末期の歴代首相は「お腹を壊して辞めた人」「逆切れして辞めた人」「漢字を読めなくて辞めた人」等々が続出しました。
歴史的ともいえる政権交代で出現した新首相は指導力の欠如が目立ちます。
それだけではなく、発言が軽すぎるのも気になります。
麻生首相も調子に乗った軽口が目立ちましたが、鳩山首相は根拠のない軽口が目立ちます。
どっちもどっち。レベルが低いことでは同じです。
世間では小沢氏の影の指導力を云々する向きがあります。
しかし、小沢氏の、いったい何が悪いのでしょうか?
私には理解できません。
小沢氏を支持する立場にはありませんが、今の政治の停滞を打破するために、小沢氏のような指導力のある政治家が必要なのではないかと思うのです。
影で力を発揮することも必要かもしれません。
あえて表に出ようものなら、あることないこと、マスコミの餌食にされる可能性があるからです。
陰で力を振るうことの何が悪いのか。私には理解できません。
レベルの低い争いや、足の引っ張り合いに終始するのではなく、しっかりしたポリシーをもって政治にあたることが重要だと思います。
マスコミの偏った報道に左右されるのではなく、しっかりした視点を持つことが求められていると思います。 影で大暴れしていただいて結構だと思います。
私は小沢氏に大きな期待を寄せています。現状を打破するのは、彼しかいないのではないかとさえ思っています。彼を支える有能な人材がもう少し育ってくれれば良いと願っています。


切符の買い方
2009年12月10日(木)

我が家には高1の娘と中1の息子がいます。
つい先日、中1の息子がスイカをなくしました。スイカとは関東地方で一般的に使用されているJRのICカードです。スイカに現金をチャージしておくと、改札機にワンタッチするだけで入退場することができる仕組みです。
息子には1000円程度のチャージをしたスイカを持たせています。
そのスイカを、どうやら野球部の活動で電車に乗って移動したときに紛失したようです。
幸い、入金額は1000円程度でしたので経済的損失は低かったのですが、その後の対応に考えさせられました。
息子曰く、「帰りに電車に乗ろうと思ったが、切符の買い方が分からなかった」とのこと。
もちろん、券売機に面食らっただけで、結局は切符を購入して事なきを得ましたが、私としては、「切符の買い方が分からなかった」という言葉を聞いて驚いた次第です。
私なりに、日ごろから社会常識の指導もしているつもりです。例えば家族で都内を移動するときは、さりげなく路線図を説明したり、移動のポイントを説明したりすることで、「一人でも来ることができる」ことを念頭に置いて説明していました。
ところが、実際にスイカを紛失したところ、切符が買い方が分からないという事態に遭遇したのでした。
たしかに、私の中では「切符の買い方」は常識であり、切符の買い方までは説明していませんでした。
しかし、息子にしてみればスイカにチャージして電車に乗るのが「常識」なのであり、切符を買うことは「非常識」だったのでしょう。物心ついたときからスイカの環境で育ったのですから無理もない話です。
その結果、「一人で来れる」どころか、「電車に乗れない」という状況であったわけです。
切符を使わないという現代社会の便利さを実感するだけではなく、「自分にとっては常識であっても、知らない者もいるのだから、思い込みにより説明のポイントを省略してはならない」ということを改めて実感した次第です。


鳩山政権を誕生させた責任
2009年12月03日(木)

亀井大臣のスタンドプレーに踊らされたモラトリアム法案が骨抜きの形で決着するのかと思えば、今度は、普天間基地の移転問題の結論が先送りされることになりそうです。
亀井の次は福島かと、全く嘆かわしい限りです。
それにしても鳩山政権は一体どうなっているのでしょうか?
母親からの資金援助問題もくすぶっています。
八ツ場ダムはどうなったのでしょうか?
ETCの無料化は?
ガソリンの暫定税率は?
マニフェストはどうなったのでしょうか?
国民は閉そく感も遠因なのでしょうが、大きな政治改革を望んでいるからこそ、自民から民主への投票行動につながったと推察します。
国民は政治改革への期待から、鳩山政権への不満を我慢している状態にあると言えます。
いわば、政治改革への期待>鳩山政権への不満という状態なのでしょう。
しかし、そろそろ我慢も限界ではないでしょうか?
鳩山政権の今の体たらくは、麻生政権と大差ありません。
無能な印象を与えていた麻生総理に比較し、今の鳩山総理は統率力の無さ、しっかりとした方針の欠如を感じます。
友愛などという、お人良しなお題目を唱えるのは、母親からの莫大な資金援助を得られるような世間離れした感覚ゆえのことなのでしょう。
参院の勢力ゆえに社民党、国民新党との連立を組まざるを得ないのであれば、その対策が必要なのではないでしょうか。自民党議員への切り崩し工作が考えられる有効手段です。
連立を維持する姿勢を見せる一方で、水面下の工作が必要だと思います。
以前、ホリエモンの偽メールで永田議員という民主党議員が失脚しました。当時の前原代表も同様に、騙されていたフシがあります。あの程度の偽情報も管理できなかった民主党に、水面下の工作を期待するのは無理なのでしょうか?
今の政権を選んだのは国民です。
鳩山政権を誕生させた責任は国民にあるのです。
国民の知的レベルの低さ、その国民の意思決定に直接の影響を与えるマスコミのレベルの低さを、私は深く憂慮しています。


金融・財政担当大臣の交代を願う
2009年11月28日(土)

朝のテレビ番組で亀井金融大臣と竹中前金融大臣が対談していました。
亀井大臣の無能ぶりは見ていて情けなくなりました。
現実を正しく把握することなく、一部の偏った意見・事象を、普遍的なものと置き換えて議論を進めるのは危険な姿勢だと思います。亀井大臣の発言は、理論的な分析に裏付けられるところがなく、「地方は大変だ」、「中小企業は大変だ」といった浪花節的な発言が目立ちます。一人の政治家としてであれば許されるのでしょうが、一国の金融・郵政担当大臣の発言としては大いに問題だと思うのです。
理論的な分析無しに危険なパフォーマンスを繰り返す亀井大臣を金融・郵政担当大臣に選任したことは歴史に残る、あるいは歴史を変えかねない、劣悪な人事ではないでしょうか。
国民新党という弱小集団に金融・郵政という重大ポストを割り当てなければならない民主党の弱さに失望します。さらには、このような人物を選挙で選んだ国民の知的レベルの低さにも失望します。
亀井大臣のメッキがはがれるのも時間の問題でしょう。
本人に理論的な裏付けがないところ、偏ったパフォーマンスを繰り返す亀井大臣に真摯な進言をする有能な人材がどれほどいるでしょうか。取り巻きの人々は、おそらく陰で文句を繰り返しながら面従腹背の日々なのでしょう。
「議論するときにはたくさん集まるが、実行するときになると誰もいなくなった」という小話があります。
まさに亀井大臣を取り巻く状況ではないでしょうか。
政変なのか、不慮の事故なのか、病気なのか、外圧なのか、原因は何でも良いでしょう。
北朝鮮の将軍様と、日本国の金融・郵政担当大臣様に、一刻も早い交代を願うのは私だけでしょうか。


事業再生を委ねる専門家とは
2009年11月19日(木)

前回の本欄で再生協議会の概要を取り上げました。
偶然ですが、その直後に当社に「予備調査」のために来社された経営者の方が再生協議会に相談したが役に立たなかったと不満を漏らしていました。
曰く、「相談にいったが利益を出すような体質にすべし」といった指導や、「とりあえずのリスケの相談」は受けてもらえたが、「一緒に銀行に行って話をしてくれるわけでもない」「今後の再生プランの相談に乗ってもらえない」との不満を感じていたようです。
前回も紹介しましたが、協議会は協議の場を提供するものであり、再生計画を練ったり、銀行との交渉に同行するなどは行ってもらえません。そもそも、債務者の立場に立つのではなく、第三者の立場で協議の場を提供するという立場にあります。
再生計画の作成は結局、専門家に依頼することになるのです。
専門家を選ぶ場合には、単に机上の空論を並べたり、計画を作るだけでは不十分であることを踏まえることが重要です。言い換えれば、金融機関との交渉にも同席することは勿論、将来の節税計画も念頭に置いて、再生後の姿も視野に入れた計画を実践するのでなければなりません。さらに、不動産担保があるならば資産価値の正しい鑑定評価も必要になります。
法律論ではなく、経営、税務、不動産鑑定といった経営面のサポートが必要なのです。
無資格者が物真似で行う事業再生では、いつかは破綻してしまいます。
命にかかわる病気になってしまったら、腕の良い専門医にかかるべきです。
重病を疑うときに、健康相談で一般論を相談したり、見当はずれの診療科を受診したり、必要の無い手術をしたりするでしょうか?
まして無資格の偽医者を受診するようでは命を落としかねません。
しっかりした専門家に相談することをお勧めします。


貸し渋り対策法案は天下の愚策だ
2009年11月14日(土)

日経新聞の朝刊には「経済教室」という欄があります。これは経済に関わるトピックについて学者・専門家が見識を披露するというものです。
13日の経済教室に、亀井金融大臣が騒いで立法の運びとなった、貸し渋り法案に対する、慶応大学の櫻川昌哉先生他のコメントが掲載されています。
曰く、「中小企業経営が苦しい真の原因は収益力の低下であり、貸し渋りが原因ではない。よって政府が金融機関の貸出行為に対して過度に介入すべきではない。むしろ産業再生に関わる諸施策を重視するべきだ」と主張しています。
まったく同感です。
亀井大臣は完全に的外れです。
取り巻きの有識者も亀井大臣が的外れであることは分かっているのでしょう。しかし、マスコミに登場して持論をぶちあげたり、妙なパフォーマンスを行うために、意見具申ができないのではないでしょうか。
まさに裸の王様状態なのでしょう。
かかる愚策を防止するには参院での勢力図を書き換えるしかありません。
現状を憂う勇気ある参議院議員がいるならば、民主党への鞍替えも視野にいれて欲しいものです。
私は民主党を応援する立場にはありませんが、亀井大臣の金融政策、社民党の防衛政策だけは100%間違っていると確信しています。これらの暴走を防ぐためであれば、この際、国家防衛のために民主党の安定化を推進すべきだと思うのです。
亀井大臣のせいで、苦境に追い込まれる中小企業が存在することを忘れてはなりません。おそらく、救われる企業より、苦境に追い込まれる企業の方が多いことでしょう。
それは我が国全体の経済回復を遅らせる原因になることを見失ってはならないと思います。


再生協議会による事業再生がすべてではない
2009年11月09日(月)

最近、中小企業再生支援協議会に持ち込んだがうまくいかなかったという案件の相談が増えています。
中小企業再生支援協議会は商工会議所等の認定支援機関を受託機関として平成15年2月から全国に順次設置されています。中小企業再生支援協議会では、事業再生に関する知識と経験とを有する専門家(金融機関出身者、公認会計士、税理士、弁護士、中小企業診断士など)が統括責任者として常駐し、中小企業者からの相談を受け付け、解決に向けた助言や支援施策・支援機関の紹介などを行っています。
中小企業再生支援協議会は相談企業(債務者)と対象債権者のいずれの立場にも立たない中立公正な立場から、再生計画案の策定支援を実施するものであり、あくまで、再生計画案は相談企業が作成するものとされています。中小企業再生支援協議会は相談企業による再生計画案の作成を支援するに過ぎず、積極的な作成は行っていないところに限界があるのです。
中小企業再生支援協議会による解決は私的整理手続であり、強制力はなく、多数決で決することはできないため、同意が得られない対象債権者を拘束することはできません。したがって、一部の対象債権者の同意が得られないときは再生計画が成立しないという問題も抱えているのです。
持ち込まれた事案の全てについて協議が成立するのではなく、協議が成立することが再生の条件であることは言うまでもありません。
たとえばサービサーに債権譲渡された事案の他、別会社への事業譲渡で片付くような案件については支援協議会の関与は不向きなのです。中には「別会社を設立して事業を移転したらどうですか。専門家に相談してみてはいかがですか」とやんわり断られたケースまであります。
金融機関と協議するまでもなく、事業譲渡で片付くケースは少なくありません。
このようなケースは、協議が不要というのではなく、積極的な協議をするのではなく、根回しをしておくことで事業譲渡を実行するのです。金融機関としても、わざわざ協議会の場で公にされるのではなく、個別に応じるというケースは少なくありません。なぜならば担保の有無により各金融機関の力関係は異なるので、公の場で協議するよりも個別に協議に応じて、残債権はサッサと債権譲渡をしてしまうというわけです。
協議会に頼るのも結構ですが、ちょっと知恵を絞ることが必要なのです。


的外れなサービサーの回収方針
2009年10月29日(木)

最近の事例です(実際の金額とストーリーは変えてあります)。
銀行系の某サービサーが抵当権付きの債権を持っています。仮に債権額を10億円とします。
担保に入っている不動産は、地方に所在する特殊な用途の不動産です。それは債務者にとっては価値があるものの、市場に出しても売りにくい物件です。
建物を取り壊して更地にすれば買手が見つかるかもしれませんが、不動産鑑定士としては高い評価はできません。仮に売却見込み額を3000万とします。競売したところで、その程度の金額で札が入れば良いといった物件です。
このような事案について、債務者は取引先から借入を行い、別会社での買い取りをすべく債権者と交渉をしました。精一杯の経営計画を策定し、取引先からの支援を取り付けました。仮に金額を5000万とします。
私も不動産鑑定士・税理士として経営計画の策定にも関与し、また、物件評価も行いましたので、債権者との交渉に同席しました。
せいぜい3000万でしか処分できない物件を、5000万で買い取るという任意売却の話ですから、経済合理性は優れた提案です。
しかし、サービサーは競売の道を選びました。
サービサー曰く、「10億の債権を5000万では片づけられない」という理由でした。
実際は安い金額で入手した債権ですから、5000万でも十分に利益が出るのに、見え透いた理由を挙げるものです。
それは良いとして、問題は、せっかく5000万で買うという提案を拒絶して、競売を選ぶ愚かさです。
3000万以上で落札されると思っているのでしょうか。
無知ゆえの浅はかな期待です。
運よく、4000万で競売されたとしても、「競売の結果だから」と言い訳をするのでしょう。5000万の提案を拒絶しておきながら、自分の金でないからでしょう、暢気なものです。
これが自分の金であれば、必死で市場調査をして、5000万の提案が有利であることを把握し、提案を飲むでしょう。
そういった努力をせずに、淡々と競売の道を選ぶという事務的な冷淡さに、サービサーの不条理を感じたのでした。
亀井金融担当大臣のわけの分からない「徳政令」も結構ですが、サービサーに譲渡された債権は対象になっていません。的外れな施策を打つのではなく、サービサーの非合理的な回収活動を監視すべきだと思うのです。
的外れな金融担当大臣の愚策や、的外れなサービサーの回収行為。
いつまでたっても中小企業の苦労は絶えません。
(事案が特定できない程度に、ストーリーと金額は変えてあります)


ラーメン屋の出店
2009年10月18日(日)

数ヶ月前のことですが、自宅近くにラーメン屋ができました。
興味半分に食べに行きましたが、数種類のラーメン以外に料理はなく、品数は極端に少ない店でした。
ラーメンの味はまあまあといったところで、特別に美味しいわけではなく、客はまばらでした。
3人もいる従業員は暇そうにしていますし、3台分の駐車場もありますが、駐車している車はいまだに見たことがありません。
昼食と夕食の間はシャッターを閉めており、いつも閉まっている印象を与えてしまいます。
ラーメン屋は席の数が限度です。
来客数に限度があるならば、客単価を上げるのが常套手段であるところ、品数が限られているのでは致命的です。
餃子や、定食など、工夫により品数を増やすべきだと思うのです。
無駄な従業員、駐車場など、経費削減もできていないようですし、私の目からは明らかに出店計画は失敗したように見えます。
そのうえ、つい2週間ほど前に、道の反対側にラーメン屋が開店しました。
行列ができるほどの人気店です。
店の作りも明るく、入りやすいイメージです。
2週間が過ぎた今では行列こそ無くなりましたが、いつでも客が入っていて盛況です。
もはや時間の問題でしょう。
数ヶ月前に開店したラーメン屋は近く廃業になると思われます。勝負ありといった感じです。
居抜きで買い取った新たなラーメン屋が開業するのでしょうか。
客入りの悪いラーメン屋を見て、事業計画の重要性を改めて感じたのでした。


「貸し渋り・貸しはがし対策法」の問題点
2009年10月09日(金)

今日の朝刊によるとモラトリアム法案の内容が近く決まるようです。
インターネットのニュースには次のように報道されています。
「中小零細企業向け融資や個人の住宅ローンを対象にした返済猶予制度について、与党がまとめた原案の全容が8日、明らかになった。
返済猶予の期間は最長3年とし、対象は元本に加えて金利も含める。猶予中に出た損失は信用保証制度などを活用して穴埋めし、事実上の政府保証を付ける。返済猶予の義務付けは見送り、借り手企業と金融機関の合意を前提とする一方、金融庁が金融機関の実施状況を公表する仕組みとし、活用を促す。
大塚耕平内閣府副大臣をトップに与党の国会議員で構成する作業チームが8日の会合で大筋合意した。9日に原案を公表する。
法案は「貸し渋り・貸しはがし対策法(仮称)」としてまとめる。制度利用の受け付けを1年間に限る時限立法とし、延長も可能とする。利用できるのは預金を取り扱う金融機関に限定する。返済猶予の強要は、憲法が保障する財産権を侵害する可能性があることから、義務付けを見送り、金融機関の判断で行う枠組みとする。制度の形骸(けいがい)化を避けるため、金融庁が金融機関の検査を通じて実施状況を点検し、返済猶予の件数や金額などを国会へ定期的に報告する。
金融機関が取り損ねた利子など、猶予で生じる直接的な損失は、信用保証制度などで補填(ほてん)する。猶予した融資先を不良債権に分類しなくてもよいこととし、金融機関の財務が劣化しないよう配慮する。
直接的な損失のほかにも、中小零細企業への融資拡大などで金融機関の経営悪化につながった場合には、改正金融機能強化法に基づき公的資金による資本注入を実施して支援する。」
確かに中小零細企業の現状は惨憺たるものがあります。
しかし、金融機関への返済が滞っている(あるいは滞りそう)な場合はまだ、マシな方だと言うこともできるのです。
既に債権が譲渡され、外資系他のサービサーから理不尽な要求をつきつけられ、無理な返済を余儀なくされているような経営者は後がない状態です。このような場合には、今回の法案で救済されないことになるでしょう。
また、保証協会の代位弁済が行われ、すでに保証協会が債権者になっているような場合も、同様に、今回の法案の対象外になるのでしょう。
このように見ると、1年の時限措置のようですが、1年で終わりにするという終わりの問題ではなく、いつから開始するのかという始まりも問題です。既に、債権が譲渡され、法案の対象外となる経営者との間の不公平感は否定できません。適用についても債権者と債務者の合意が前提となっており、個々のケースでアンバランスとなることは否めません。
返済猶予という視点ではなく、むしろ、債権譲渡後の新債権者(多くの場合はサービサー)が理不尽な要求を行うことを制限すること、あるいは、せめて法外な利益をあげることを規制することが重要だと思います。
その反面、金融機関の債権譲渡を推進するという政策も必要でしょう。
さまざまな点で問題が多く残っており、返済猶予法案は、ETC無料化と並ぶ、歴史に残る愚策だと私は思います。


学会での研究発表を行いました
2009年10月07日(水)

10月3日、4日に豊橋科学技術大学で(社)日本不動産学会の学術講演会が開催されました。私も参加し、「情報の非対称性と事業再生のあり方」として研究発表を行いました。
情報の非対称性とは、「各取引主体が保有する情報に差があるとき、その不均等な情報構造」のことをいいます。情報の非対称性のもとでは、情報面で優位な立場にある主体が、情報格差を戦略的に利用して利益を稼ごうとする機会主義的な行動がとられ、それが障害となって取引が行われなくなる可能性があるところに問題があるのです。
下に発表の要旨を掲げておきます。
興味のある方はご連絡いただければお答えします。
―――――
事業が破綻し債務不履行が生じると、元本の全額回収を前提としている正常債権が、元本回収が困難な不良債権へと変化する。債権者は債務者に関する完全な情報を有しておらず、両者の間には情報の非対称性が生じている。
元本回収をめぐり債権者と債務者は利益が相反する関係となるが、過度の要求に固執すると、事業再生計画を成立させるための合意交渉が決裂するリスクが高まる。債権者と債務者の対立だけではなく債権者同士の合意形成も困難を伴うことが少なくない。情報の非対称性下において当事者間の合意形成をどのように行えば良いのかを検証し、利益が相反する当事者の協調に基づいた事業再生のあり方を提言するのが本論の目的である。
情報の不確実性のもとでの元本回収の確実性同値額を考察する。この場合、期待値の上限値は事業継続の場合の事業価値であり、下限値は事業清算の場合の資産価値である。リスク回避的な効用関数を持つ債権者を想定すると、確実性同値額での一括回収は期待値を下回ることになる。この場合、債権者にとって事業の無期還元価値と有期還元価値が無差別になっている。一方の債務者は努力水準を確保するためのインセンティブが問題になるが、期間経過後の収益は債務者に帰属するため、回収期間を有期とすることで債務者のインセンティブは確保できる。すなわち、事業収益の有期還元価値をもって回収額とすること、換言すれば、回収期間の有限化が債権者と債務者の双方に満足をもたらすことになる。


亀井大臣の悪行
2009年09月28日(月)

亀井大臣がゴチャゴチャ騒いでいます。
「今度はお前かよ…、政治家が無能ぶりをさらけ出すスタンドプレーは、もういい加減にしろ…」と言いたいのは私だけでしょうか。
テレビの報道番組に出演した際の発言を聞く限り、どうしようもないレベルの低さです。
私としても、徳政令の必要性を完全に否定するものではありませんが、一連の亀井大臣の言動を見ると、麻生総理に‘勝るとも劣らない’(逆の意味になりますが…)劣悪大臣だと思います。
「利息の返済をも猶予するのかどうか」という基本中の基本も確定していない段階で、一国の大臣、それも金融担当の大臣が軽々しく徳政令を論じることは、あってはならないことだと思います。淡い期待を抱いてしまう無知な国民も少なくないと思います。さらに、巷で指摘されているように、金融機関の貸出行動にマイナスの影響を与えるのは必至です。
一国の金融担当大臣の言葉とは思えない、暴言だと思います。
事業を救済するという目的で、返済が苦しい債務者を返済猶予制度で救うという、わけの分からない制度が実行されると、確かに、既に借入を行った企業は救済されるかもしれません。しかし、それは借入を行った企業であり、これから借入を行おうとする企業は救済されません。
銀行が慎重になり、新規融資が行われにくくなるのは必至です。
言い換えれば、既に借入を行っている企業を守るために、これから借入を行おうとする企業が犠牲になるというわけです。
十分に検討することなく、いい加減なプランを法制化されたのでは、困るのは金融機関ではなく、債務者になるのです。
全く困った大臣が現れたものです。
郵政民営化のフィールドで、リベンジを果たすだけにしておいて欲しいものです。
郵政担当とし、金融担当ははずして欲しいものです。
亀井大臣が今のまま金融担当大臣に居座ることは、社民党に防衛大臣、外務大臣を任せるのと同じくらい、国家の危機を招くと思います。
来年の参院選で国民新党への天罰が下り、連立解消になるでしょうが、それまでの間、金融界が混乱することのないように祈るのみです。
「国民新党と、社民党。キミ達、調子に乗ってないで、少し静かにしなさい!」と私は言いたいと思います…。


中小零細企業の事業再生は・・・
2009年09月24日(木)

インターネットのニュース欄に(ウィルコムは24日、「産業活力再生特別措置法所定の特定認証紛争解決手続」(事業再生ADR)による事業再生をめざし、事業再生実務家協会に手続きを正式申請し、受理されたことを公表した。ウィルコムについては一部報道で、取引銀行に約1千億円の借り入れ金返済の延期を求めるなど、経営再建を検討中であることが報道されていた。今回の事業再生ADRの正式申請は、今後の事業再生と事業継続に向けた収益基盤の確立および財務体質の抜本的な改善を図るのが狙いとのこと。)との記事が載っていました。
最近はADRによる事業再生が行われているようですが、このADRは問題がある制度だと思います。
すでに本欄でも指摘していますが、その理由は二つです。
ひとつは、金額が高く、また受け入れ体制に制限があるため、中小零細企業は相手にしてもらえないという点です。
もうひとつは、ADRも民事再生と同じように、全債権者に一律の解決案を提示するため、個別合意を得ることができないという点です。
ADRによる再生手続を始めたとしても、万が一、合意できなければ法的整理に移行することになります。おそらくはADR開始前に十分な根回しをして、その後にADRを開始するという、いわば出来レースなのでしょうが、いずれにしても中小零細企業にとってはあまり効果的ではないと思います。
ADRに期待できない以上、やはり、個別に債権者との合意を得るのが最も効果的な進め方であると思います。


「実録!債務免除読本」の増補版を出版しました
2009年09月18日(金)

「実録!債務免除読本」の増補版を出版しました。
この本は平成17年8月に初版を出版したものですが、好評につき在庫が底をつきました。そこで、単なる増刷ではなく、巻末資料を補強する形で出版することにしました。
内容は実際の事業再生を再現したものですので、ストーリーの部分は変わりありません。
詳しくはホームページの「Ⅶ.出版物紹介」をご覧ください。
お求めは出版社(ぜんにち出版)に直接ご連絡いただくか、あるいはインターネット書店(アマゾン等)をご利用ください。


当社の目指すコンサルティングとは何か?(2)(全2回)
2009年09月12日(土)

【着地点を見極めることが必要】
弁護士は法律論に注意を向けがちです。中には再生計画を十分に検討することなく、「民事再生を申し立てましょう」とか、再生の可能性を検討することなく、「破産を申し立てて傷を最小にしましょう」などという弁護士もいるので困ったものです。
現実には、全てが法的な解決をするのではないのです。
たとえば、保証人の問題にしても、すべての保証人からガリガリ回収するわけではありません。
法的には保証人から回収できますが、そんなことをしていたら回収実務がパンクしてしまいます。費用対効果を見極めて法的手段を講じるのです。
その見極めが大切なのです。
法的に対抗手段を考えながらも、現実の着地点を模索するのが正解だと言えるでしょう。
そもそも、債務者には返済義務があります。返済義務がある以上、本来は完済まで何年でも返済すべきなのです。
しかし、完済まで100年もかかるようでは、債務者の「やる気」がなくなってしまいます。
一方、債権者も100年も待ってはいられません。
両者ともに一定の期間で回収を終わらせたいと思っています。
ここに着地点を見出すカギがあるのです。
何年分の返済を求めるかは債権者が決めることです。短ければ数年、長ければ10年ということもあります。この違いは債権者の事情に大きく左右されます。たとえば、債権譲渡を受けて出現した新しい債権者は短い期間で合意する傾向があります。
債務者ができるギリギリの返済を債権者にきちんと提示し、債権者が内容に納得してもらうことが絶対に必要な作業です。債権者の信頼がなければ合意は得られません。債権者の信頼を得るためには法律論を振りかざすのではなく、再生計画の信用性を高めることが大切です。
債権者が決めた返済額に債務者が納得できるかが着地できるか否かの最後の分かれ目になるのです。
両者が合意できるような着地点を探すことが事業再生には不可欠な作業になります。
具体的にどのような着地点を期待できるかはケースによって異なります。債権者の種類、回収方針を見極めて、着地点を探るという作業から事業再生は始まります。
事業再生コンサルティングを開始する段階で着地点を見極めることが大切なのです。
最近は事業再生を手がける自称専門家も出現しています。その多くは間違った、あるいは、無駄な対応をしていることは本欄で繰り返し指摘してきたとおりです。
事業再生でお悩みの方は、一度、着地点を確認してみてはいかがでしょうか?


当社の目指すコンサルティングとは何か?(1)(全2回)
2009年09月09日(水)

【命にかかわる病気を街の開業医に任せられるか】
事業再生に特化したコンサルティングを始めて、間もなく10年が経過します。
私が独立する前は金融機関で融資実行審査と不良債権の回収の責任者を務めていましたので、知識と経験を活かす形で次々と再生を成功させてきました。
長年の経験を活かし、「債権者の立場から打つ手を予想」し、「それに対する対策を講じる」ことで事業再生を成功させています。 当初は大型案件に限られていたのですが、最近はスケールは小さくなり、件数が増加してきました。まだまだ不良債権は地方に散在しており、日本中に再生途中の事業がたくさんあるのです。
当社では全ての案件で、丁寧な交渉を実践します。
単に丁寧に交渉するのではなく、慎重に進めます。
そのため、引き受ける事業再生の件数を増やせないという制限が出てしまいます。
スタッフの人員を増やすことは考えていません。
なぜならば、交渉が疎かになるからです。
聞くところによると、無資格者が担当者となり大切な事業再生を見よう見まねで進めている業者が存在するようです。
現に、他社で相談していたものの疑問を感じて当社に相談に来るという例が多くあります。その大半が間違った対応をしているのには驚きます。
「よくもまあ、こんないいかげんなアドバイスをするなあ」と、一度お会いしてみたいと思う業者がいくつかあります。こんなところに引っ掛かってしまったのでは、再生はおぼつかないでしょう。
組織を大きくしては対応が疎かになるのです。
事業再生コンサルティングは、量販店ではなく専門店としての対応が必要だと思います。
回転寿司ではなく高級寿司です。
街の開業医ではなく専門病院です。
つるしの安売りスーツではなく紳士服店のオーダースーツです。
事業も一つの命を持っています。
皆様の大切な事業の再生を、安易に開業医にまかせて良いのでしょうか。
命にかかわる病気ならば、専門病院に任せるべきだと思います。
専門病院として事業の命を守ることこそ、当社の目指すコンサルティングなのです。
(つづく)


歴史の転換を選んだ責任
2009年08月31日(月)

衆院選挙の結果が出ました。
予想通りの民主党圧勝でした。
民主党が良いというよりは、「自民党が悪い」という国民の判断結果が反映されたものだと思いますが、圧勝は圧勝です。
大げさに言えば、歴史の大きな転換を選んだのかもしれません。
もし、歴史の転換ではなく自民等への一時的な不満であり、早い段階で政変が起き、またまた政局が混乱して総選挙を実施するなどという事態になるならば、それこそ日本国民の無知をさらけ出すことになるでしょう。
政治家に対して不平不満をいうだけではなく、有権者も自らの投票行動に責任を持つべきだと思います。
政権を変えるという大きな決断をしたのですから、国民は一致団結して国家の運営を民主党に託すべきではないでしょうか。
すべてを任せるというのではなく、「選んだ以上、不平不満、自分勝手な要望にこだわるのではなく、国民全体のために、民主党の足を引っ張るのは止めよう」と私は言いたいと思います。
民主党が全ての点で良いとは思いません。
歴史の転換を選んだ以上、国民全体で協力し、大きな目標に向って進むべきだと指摘したいと思います。


報道の責任
2009年08月27日(木)

「また、その話題かよ!?」と、テレビを見るたびに思います。
酒井法子の覚醒剤事件報道にはうんざりです。
いい加減にしてもらいたいものです。
さすがに、最近はコメンテーターの中にも「行き過ぎた報道はいかがなものか」といった自戒の発言が見られますが、それでも納まる気配がありません。
報道する側も、皆、わかってはいるけれど、視聴率だ、話題不足だ、等々の報道する側の事情があるので言い出せないのかもしれません。
「わかっているけれど言い出せない」という組織・体制が一番危険だと思います。
ある意味では、酒井法子の覚醒剤より、はるかに危険なのではないでしょうか。
それにしても、あと3日で、この話題は終わりになるでしょう。
衆院議院の結果が出る日曜日には、酒井法子の話題は片隅に追いやられる運命なのです。
「日曜からは選挙結果でいくぞ。それまで酒井法子で引っ張れ!」という報道姿勢が垣間見えるようです。
モラルの低下を含め、教育水準の低下は、報道姿勢の低下が大きな原因だと私は思います。
報道の自由という大義名分の下、国民のレベル低下に報道機関の責任は大きいと思うのです。
中途半端なコメンテーターが一方的なコメントを押し付けるテレビより、自由な意見が飛び交うインターネットの方がマシかもしれません。


予備調査では何を行うのか
2009年08月21日(金)

最近、「予備調査」についての質問が増えています。
「予備調査」とは、当社でコンサルティングを行う前に実施するもので、半日程度をかけて会社の概況を把握し、再生計画を策定するというものです。
多くの場合、午後1時から始めて夕方までかかります。
会社の経営状況や財政状態を把握するのに最低でも1時間はかかります。どういう経緯で借入を行ったのか、どういう返済をしてきたのか、担保や保証はどのように設定しているのか、これらを把握するだけで1時間を費やします。さらに、金融機関別の交渉経緯を整理することで、各金融機関の回収姿勢を探ります。それぞれの金融機関ごとに回収姿勢が異なるからです。
さらに、経営状況を把握します。
粉飾決算をしている会社も少なくありませんので、その対策も避けては通れません。
返済原資はどの程度確保できるのか、処分しても良い資産と、絶対に確保しなければならない資産を区別して、保全すべく対策を講じます。
不動産についてはインターネットを利用して現状確認を行い、簡単な評価額を調査します。
別会社への事業譲渡・資産譲渡を行う場合には資金手当ても講じなければなりません。会社分割の場合には株主構成に配慮します。時として、株主の中に思わぬ抵抗勢力が存在することもあるので要注意です。
概要を把握できた後、細かい再生計画を策定します。これにも数時間を要します。
時には夕方を超えて、夜になってしまいますが、予備調査を終えた段階では再生計画のあらましは策定できています。
事業再生にあたっては、じっくりと計画を練ることが必要です。このためには時間を十分にかける必要があります。ちょっとした面談で片付けることはできません。「無料相談をします」などという新参業者が見られるようになってきましたが、要注意です。
なぜならば、十分な時間を割いて、戦略的な事業再生計画を策定するという作業は、もはや無料相談といったレベルでは対応できないからです。
当社では予備調査の後、コンサルティングの計画を書面でお知らせしています。
本欄をご覧の皆様で事業再生を検討中の方は、是非、予備調査を実施することをお勧めします。とりあえずは、電子メールでご連絡いただければ、詳しい資料をお送りします。


新型インフルエンザによる死者
2009年08月17日(月)

新型インフルエンザで初の死者が出たとの報道がありました。
そういえば、5月頃には新型インフルエンザで散々騒いだのに、今回は死者が出たにもかかわらず、あまり騒ぐ様子はないようです。
騒いでいた頃であれば、亡くなった人は、どこの誰で、何をしていて、いつから発症して・・・等々、大騒ぎだったことでしょう。
本欄でも指摘しましたが、当時は感染者がたどったルートを現場中継までしていたのです。
熱が下がると報道も控えるとは、まさに報道により騒ぎが作られていると言えるでしょう。
今では酒井法子の覚せい剤事件一辺倒です。
それも面白おかしく報道されています。
いつから使用していたのか、どこへ逃げたのか・・・等々、インタビューや現場中継を交えて、面白おかしく報道されています。 違うだろ、と、私は指摘したいと思います。
覚せい剤事件は末端の容疑者を立件するのが真の目的ではないはずです。
覚せい剤入手経路を押さえ、そこから別のルートを探ることが重要なハズです。
逃亡中に電波が確認された山梨だとか、千葉の別荘だとか、わざわざ現場から中継する必要があるとは思えません。
視点がずれた報道は、視聴率を確保するためです。
そのような報道を好む国民にこそ自戒を求めたいと思います。
間もなく衆院選挙です。
おそらく、面白おかしく報道がなされ、「人気」のあるタレント候補が取りざたされるのでしょう。
報道を責めるのではなく、国民のレベルの低さを嘆きたくなります。
九州、関西、関東に生まれた「タレント知事」を見るたびに、情けなくなってしまいます。
議員の世襲制よりも、タレント議員を規制すべきだと私は確信しています。


裁判員制度の問題
2009年08月09日(日)

裁判員制度による判決が下されました。
以前にも述べましたが、裁判員制度には反対です。
既に報道でも指摘されていますが、たった4日で素人が正しい判断をできるわけがありません。こんな裁判で死刑にされたら、たまったものではありません。
そもそも、裁判員は守秘義務があったハズです。
最高裁判所のHPによれば次のようになっています。
「裁判員等でいる間,裁判員等に選ばれたことを公にしてはいけません(裁判員法101条1項)。裁判員候補者名簿に登録されたことや,さらにくじで選ばれて裁判員候補者として裁判所に呼ばれたことを公にすることは禁止されていますが,法律で禁止されている「公にする」とは,出版,放送といった手段による場合やインターネット上のホームページ等に掲載するような場合など,裁判員候補者になったことを不特定多数の人が知ることができるような状態にすることをいいます。」
さらに…、
「法廷で見聞きしたことであれば基本的に話しても大丈夫です。漏らしてはいけない秘密には,1.評議の秘密と2.評議以外の裁判員としての職務を行うに際して知った秘密とがあります。
1.評議の秘密には,例えば,どのような過程を経て結論に達したのかということ(評議の経過),裁判員や裁判官がどのような意見を述べたかということ,その意見を支持した意見の数や反対した意見の数,評決の際の多数決の人数が含まれていると考えられています。」
裁判員経験者が取材に応じ、中にはテレビ出演してる人もいます。
発言内容を見ると、上記の守秘義務に抵触するような部分もあります。
マスコミの報道姿勢にも問題があるようです。
第一回の裁判で、これだけの問題が出ています。
我が国の裁判制度に、裁判員制度はなじまないと思います。
廃止あるいは大幅な見直しが絶対に必要と思います。


個別にサッサと合意してしまうのが得(2)(全2回)
2009年08月03日(月)

【個別に合意するしか手はない】
すると債権者として最後の手段は100年待つか、あるいは一定の期間であきらめるかです。多くの場合、一定の期間であきらめます。仮に回収総額を1,000で満足する債権者なら10年待つというわけです。
債務者にしてみれば、10年間は100の返済をしますが、11年以降は自己の利得になります。このような「回収の有期化」を目指すことが債務者にとっては最も有利です。ここで、1,000の返済を肩代わりしてくれる新金融機関を見つければ、一挙に解決するというわけです。
このように、個々の債権者とは「回収の有期化」が絶対に必要となります。この「有期」とは債権者によって違います。長い期間を要求する債権者もいれば、短い期間で済む債権者もいます。様々な債権者を一括して扱い、「はい、この計画に合意してください」といっても、それは無理というものです。
やはり、債権者とは個別に合意するのが、債権者・債務者の双方にとって合理的な選択になります。
民事再生法はもちろん、ADRも、再生支援協議会も、すべて不十分である理由は、まさにここにあるといえるでしょう。すなわち、債権者をひとまとめにして扱うから合意できないのです。個々の債権者とこまめに交渉をし、個別に合意をとることが最善の策というわけです。長い期間を要求する債権者とは別に、短い期間で済む債権者とサッサと合意してしまうというわけです。
そのためには債権者との信頼が必要です。債権者を出し抜くような姿勢では話はまとまりません。信頼を勝ち取るためにはこまめに交渉を重ねるしかありません。不動産鑑定士・税理士として、私は常にクライアントと同行して債権者を訪ね、合意を得るための話し合いに臨んでいます。債権者を呼びつけたり、一同に集めるような姿勢ではまとまるものもまとまらないと確信しているからです。
最近、事業再生のコンサルティングを真似る業者さんが増えてきています。
なかには、「債権者があきらめるまで放っておけば良い」とか、「担保設定がないならサッサと移転してしまえば良い」、「とりあえず資産を移転して抵当権消滅請求をすれば良い」、「とりあえず特定調停を申し立てればよい」、「いざとなったら民事再生を申し立てれば良い」等々、滅茶苦茶なアドバイスをするところもあるようです。
このようなアドバイスを真に受けたら大変なことになってしまいます。十分に注意することを心よりお勧めします。
債権者と個別に合意するといっても、十分な根回しと対策が必要なのです。


個別にサッサと合意してしまうのが得(1)(全2回)
2009年07月29日(水)

【債権者を一律に扱ってはいけない】
前回も指摘しましたが、立場の違う債権者を相手に、民事再生であろうがADRであろうが(法的整理であろうが私的整理であろうがとも言えます)、同一の事業再生計画に合意することを求めることが無理というものなのです。
そこで考えられるのは、個々の債権者と個別の交渉を行うことです。
事業再生にあたりどうしても守るべき部分について、影響を受ける債権者と個別に交渉を行うわけです。たとえば、どうしても必要な資産に担保を有している債権者と個別に交渉し、その資産を一足先に別会社に移転することが考えられます。もちろん、他の債権者に損害を与えることのないように気をつけねばなりません。
民事再生にしてもADRにしても、個々の債権者との交渉を終えた後にすれば、仮に不調に終わっても守るべき資産、守るべき事業は既に移転済みということになります。
交渉にあたっては、個々の債権者を個別に訪問します。こまめに交渉を重ねることが必要です。情報の隠匿は厳禁です。
仮に毎年100を返済する能力があるのに、90しかないように見せかけるのは最悪の方法です。100の能力があるならば100の返済をしなければなりません。
借入残高が10,000とすると、毎年100の返済では100年かかります。債権者も100年は待てません。しかし、一方、毎年100の能力は変わりません。となると債権者が取るべき手段は事業を清算するか、事業を第三者に移転するかです。仮にその両方とも期待できないとします。(続く)


債権者との合意は個別的に行うべき
2009年07月25日(土)

先日の本欄でも紹介しましたが、最近は裁判外紛争解決手続き(ADR)という制度ができました。その適用範囲は未だ限られていますが、制度としては面白いと思います。しかし、事業再生にかかわるADRについては、2000万円以上にもなる、異常に高額な費用が零細企業の制度利用を事実上阻止しているのが残念です。
現在、あらたな出版物の原稿をまとめており、その中でも触れているのですが、民事再生にしてもADRにしても、様々な債権者を相手に一括して合意をまとめなければならないところに大きな問題があると思います。
早く解決したい債権者は多めの債務免除に応じるでしょう。解決を急がない債権者は多めの債務免除には難色を示します。
引当金の計上が済んでいる債権者は債務免除に応じやすいでしょう。引当金の計上が未済の債権者は債務免除には難色を示します。
このように、様々な立場の債権者を一律に扱い、再生計画に合意を求めるところに大きな問題があると思います。
債権者の一括合意を求めるのではなく、個々の債権者と個別に合意をまとめることが債務者主導の事業再生には不可欠だと思います。
やはり法的整理に頼らずに事業再生を進めることが有利だと思います。


事業再生に関する講演を行いました
2009年07月16日(木)

15日に日本ビズアップ社が主催する税理士向けのセミナーで講演を行いました。
予想を超える40名の参加があり、税理士の他にも経営者自身の参加もありました。関心の高さを改めて実感した次第です。反響が大きいことから、西日本でも開催することになり、8月7日に「ホテル コムズ 大阪」で開催することが決まりました。
今回の機会に参加できなかった方で興味のある方はご利用ください。顧問税理士の先生と同行するのも良いのではないかと考えています。
なお、今回のセミナーは少し難しかったかもしれないとの認識から、大阪のセミナーは分かりやすさを前面に出す予定です。


事業再生ADR
2009年07月09日(木)

裁判外での事業再生を組織的に進める事業再生実務家協会のシンポジウムに参加してきました。制度としては面白いと考えているからです。
半日のセミナーで理解したこととして、審査料50万円の他、債権者が10数件で負債が50億くらいの案件なら、開始時に500万円、中間納付にまた500万円。さらに成功報酬が1000万円。合計で2000万もの費用が必要になるとのことでした。しかも、この金額は実務家協会に支払う金額であり、他に専門家に依頼する場合には別途費用が必要になるとのことでした。
あまりに高額なので、「規模が10分の1くらいの中小企業の場合はいくらくらいか」と尋ねると、半額程度の金額がかかるとのこと。さらに、「規模の小さい中小企業はこの実務家協会ではなく、日本各地の再生協議会に相談したら良いだろう」と言われてしまいました。
高額の報酬が支払えないような中小企業は扱わないといった姿勢が垣間見えました。
たしかに、組織の規模からいっても、中小零細の事業を相手にしているわけにはいかないのでしょう。やむを得ないのかもしれません。さらに、経営者は退陣が基本とのことでした。
現実の問題として、各地の再生協議会に相談したが相手にしてもらえなかったというような案件が当社に寄せられているのです。そのような状況であるのに、零細企業は再生協議会へどうぞと言われても解決にはつながりません。経営者の責任を厳しく問われたのでは経営者は生きていけません。
これでは当社が目指している「経営権を守る事業再生」は実現しないと感じました。
本欄をご覧になっている経営者の皆様は、どうか躊躇することなく、当社までご連絡ください。債務者主導の事業再生を目指すことをお勧めします。


オフィス2007の互換性
2009年07月08日(水)

中学・高校へとそれぞれ進学した息子と娘が、オフィス2007の練習をしたいということになり、ウィンドウズVISTA搭載のPCを購入しました。今までは私のお下がりのウィンドウズXPを練習用に与えていたのですが、学校ではオフィス2007なのでXP搭載のオフィス2003とは操作方法が違うため面食らっていたようです。
この際、オフィス2007を与えることで負担を軽減させることにしました。
それにしてもオフィス2007の不便さには参ります。
ワードで経済学系の論文などを作成する場合には計算式を挿入しますが、この計算式が時々文字化けをするのです。
2007と2003の間に上位互換は確保されていることになっていますが、微妙な文字化けに苦労します。経済学者の中には同じ悩みに煩わされている人が少なくありません。


講演の概要をお知らせします
2009年06月30日(火)

先日の本欄で予告いたしました講演会の概要が決まりましたのでお知らせします。
題名は「ミクロ経済学の視点からみた事業再生のポイント(法的整理に頼らない戦略的事業再生)」としました。
講演は日本ビズアップ株式会社が主に税理士向けに開催するセミナーですので、税理士の皆様が、その関与先の事業再生にあたって有益な情報を提供することにしました。
具体的には次の4点に整理しました。学問と実務の融合を目指したいと思います。
1.不良債権化のリスクから関与先を守る
ここでは、不良債権の特徴を整理し、正常債権が不良債権に変化することで債権者にどのような影響を及ぼすかを検証します。
2.事業再生計画のあるべき姿
ここでは、不良債権が債務者に及ぼす影響を、とくに債務者の努力水準を確保するための課題を整理します。さらに、債権者と債務者の対立と利得、両者の協力のあり方を検証します。以上、1と2はミクロ経済学の観点からのアプローチを試みます。
3.事業の継続or清算、判断ポイント
ここでは、事業の継続と清算の判断ポイントを整理した後、事業の価値と資産の価値の関係、さらには、不動産価格の種類と相互の関係を整理します。事業再生にかかわる鑑定の実情にも触れたいと思います。3は日本不動産学会での学会発表(平成20年度)を引用する形で整理しました。
4.事業再生実務のポイント解説
ここでは、債権者と債務者の最近の状況を概観した後、事業再生のために会計事務所が果たすべき役割を考えます。


新刊を発表しました
2009年06月23日(火)

好評をいただいている債務免除読本につき、一部に改訂を行いましたのでお知らせします。
大きな変更点としては、各章の冒頭にコメントを加えたこと、さらに巻末の事例に新たに5事例を加えたことです。追加した5事例の見出しは次の通りです。
・無担保不動産を資産譲渡して新債権者の要求に屈した例
・計画が自己満足の域を超えず融資を得られず挫折し例
・粉飾決算の事実を告白し再生を進めた例
・無駄な鑑定をした例
・空き室を埋めて防衛した例
全て実話ですので参考になるかと思います。
既刊本の読者の皆様は本屋で立ち読みできる程度の改訂ですが、未だお手元に本をお持ちでない皆様は是非この機会にお買い求めになることをお勧めします。


税理士向けのセミナーで講演します
2009年06月16日(火)

来月中旬に開催されるセミナーで講演を行うことになりましたのでお知らせします。
今回のセミナーの主催者は日本ビズアップ社で、税理士向けに行われるセミナーです。
講演ではミクロ経済学の視点から事業再生を論じてみたいと思います。セミナーの受講者が税理士という専門家ですので専門的な話を少し離れて学問的なアプローチを試みることにしました。受講者は専門的、実務的知識を有しているという前提で、実務と学問の融合を目的にした講演を行う次第です。講演時間は約2時間です。
具体的には不良債権の特徴を踏まえたうえで債権者の行動をミクロ経済学の視点から分析します。さらに、事業再生計画のあるべき姿を明かにした後、最近の事業再生の実情を報告する予定です。
詳しい内容は作成中のレジュメが完成次第あらためて本欄でお知らせします。
本来は税理士、会計士を対象としたセミナーですが、当社のクライアントの参加は特認するとのことですので、参加希望の方はご一報ください。
6月下旬には詳細を報告いたします。


大臣を辞職するなら議員も辞職すべし
2009年06月13日(土)

今朝のテレビ番組で、竹中平蔵氏が西川氏を擁護する発言をしていました。すなわち、「相次いだ不正は民営化前の案件であり現社長を責めるのはおかしな話である。西川氏の功績も評価すべきだ。喧嘩両成敗というが西川氏は喧嘩しておらず一方的な被害者である」
確かにその通りだと思います。
あまりに拙速な自由化や改革路線を進める竹中氏に私は賛同する立場にありませんが、こと西川社長の事件に関する限り竹中氏の考え方に同意します。
鳩山氏が「オリックスへの資産売却も問題ある」と言うならば具体的な問題をあげるべきですし、西川氏の動きを悪事呼ばわりする以上、確たる根拠を示すべきです。
このようなプロセスを経ずに一国の大臣がマスコミに登場し、所管する民間会社の社長をさらしものにして良いのでしょうか。鳩山氏のスタンドプレーとしてとらえられても仕方ないのではないでしょうか。
鳩山氏が軽い人間に見えて仕方がありません。可哀想なくらいです。
「もし願いがかなうなら、一度でいいから目が見えるようになりたい。一度でいいから両親の顔を見てみたい、すぐに見えなくなってもいいから…」
盲目のピアニスト、辻井さんの言葉です。
心を打つ言葉に比べ、政界の茶番劇は情けないと思います。
安倍内閣の赤城絆創膏大臣。
麻生内閣の中川酔っ払い大臣。
そして今回の鳩山スタンドプレー大臣。
皆、当時の総理の盟友とのことです。
総理に指導力がなく、お友達大臣に能力がない。
これでは話がうまくいくはずがありません。
民主党が良いとはいいませんが、今の窮状を打破するには、せめて一度は政権交代するしかないでしょう。そして自民党ではなく霞ヶ関の官僚組織と戦う姿勢を示すことで、民主党は存在意義を示すことができるのではないでしょうか。
大臣を辞任したセンセイ方には、大臣の辞任だけではなく議員辞職もお願いしたいと思います。


大臣の交代
2009年06月12日(金)

鳩山総務大臣が更迭されたとのニュースが流れました。
私は、西川氏が辞職することで収拾を図るかと思っていましたが、大臣の辞職は想像以上に軽いものだったとあらためて知らされました。
辞職なのか、更迭なのか、いずれにしても、またまた大臣の交代です。
国会議員の世襲制への制限が取りざたされています。
たしかに一理あります。
しかし、それ以上に、大臣の交代にスポットを当てるべきではないでしょうか?
精神的に参ってしまって突然辞任した安部総理。
「あなたとは違う」と捨て台詞で辞任した福田総理。
その他にもなんだかんだと大臣の交代がありました。
そして今度は、所管企業の社長の首を取ろうとして自分が首になった総務大臣。
お隣の国では核開発がなされているというのに、日本は一体どうなっているのでしょう。
大臣が辞任する場合、議員も辞職するくらいの覚悟が必要だと思うのです。
いまだに青春スターを気取っている千葉県知事と、ヘラヘラ笑った総理大臣様が二人そろってテレビに出ている姿を見ました。
国民受けを狙ってか、笑顔を振りまいている姿を見て、「おいおい、頼むよ…」と思ってしまったのです。正直な話、「二人とも、頭が悪そうだなあ…」と、不安を感じたのでした。


全盲のピアニスト
2009年06月09日(火)

2年以上前のことですが私自身が網膜剥離になりました。左眼です。手術を行い、幸いなことに2週間の入院で済みました。左眼のほんの一部に視野欠損が残ってしまいましたが、日常生活には何の問題もありません。
網膜剥離は失明の危険を伴う重大な眼病です。私なりに失明の怖さを体験したつもりです。
昨日のニュースで、全盲のピアニスト、辻井伸行さんが最難関といわれる「第13回ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクール」で日本人初の優勝を果たしたと報じられています。音楽の素養のない私が聞いても、心を打つピアノ演奏だと感動しました。
ピアノの演奏が素晴らしいだけではありません。
受賞した際の満面の笑顔、素直な姿勢、感謝の気持ち。見ていて感動するものがありました。涙さえ出てきそうな感動を感じたのは私だけでしょうか。
久しぶりに接することができた、本当に素晴らしいニュースだと思いました。
辻井さんの更なるご活躍を心から祈らずにはいられません。
辻井さんからいただいた感動に感謝したいと思います。


首相の指導力
2009年06月08日(月)

ETC割引で混雑した高速道路、わけのわからない新型インフルエンザ対策と、政府の愚策が一段落し、次は解散総選挙かなあと感じていました。政局にからむ話題も少しは静かになるのかなとさえ考えていました。ところが最近の日本郵政をめぐる鳩山総務大臣による一連の滑稽な言動が目立ってきました。
信念は曲げないとか、条件付き認可もないとまで断言した以上、鳩山氏側に後はないとみるべきでしょう。伝統的な交渉の理論でいうところのコミットメントを主張しているのであり、いわば退路を断って交渉に臨んでいるわけです。
内閣の総責任者である首相としては次の手は何でしょうか。
西川社長に勇退を求めるのが筋ではないでしょうか。
いわば、問題の本質を避け、西川社長の自発的な勇退を理由に争いをおさめるというのが無難ではないでしょうか。まさに茶番劇です。
いずれにしても、麻生総理の無能さには呆れかえるばかりです。リーダーシップの欠如も問題にされています。まさにその通りです。
タレント出身の国会議員や知事などとヘラヘラ笑っている姿は情けなく見えます。
これが我が国の総理かと思うと、悲しくなります。
逆に考えれば、指導力がなくて良かったのかもしれません。
無能な上にヘタに指導力を持ちあわせてしまっては、相次ぐ愚策が次々に実現してしまい混乱が増すことになるかもしれません。
指導力が欠如しているのは、不幸中の幸いとでもいうべきなのかもしれません。


再会と転居先不明
2009年05月29日(金)

最近、懐かしい人との再会が続いています。
20年以上ご無沙汰していた人との再会を果たしたり、10年近いブランクの後、連絡を寄せてくれた人もいました。
さらには、「以前に予備調査だけ実施したが、あらためて再度相談したい」、「資料だけ請求したが相談したい」といった方からの連絡が続いています。やはり経営環境の変化が原因なのでしょう。
金融危機による影響が、懐かしい人との再会を実現させてくれているようでもあります。
再会を果たす一方で気になるのは先日の本欄でも触れた「転居先不明」です。
せっかくの縁で連絡をいただいたのに、その後、転居先不明になってしまうというのは残念でなりません。あらたな転居先不明を増やさないためにも、是非とも連絡をしていただきたいと思います。
再会を果たす一方で、あらたな心配を感じた次第です。


過熱報道は感染拡大の逆効果を招く
2009年05月22日(金)

インフルエンザで騒がれています。
相変わらずの過熱報道に私は違和感を覚えます。
○に住む、○才の○性。職業は○。○のために○日から○に出かけ、現地では○をしていた。
これだけの報道でも、守られるべき個人情報が守られていません。
せめて○才代とすべきでしょう。職業まで公表すべきでしょうか?行動の詳細まで報道する必要があるのでしょうか?
さらに、行動の経路まで検証し、現場からの実況まで行う必要があるのでしょうか?
同じ場所にいた人、接点のある人に感染の危険性を伝えるというアナウンス効果はあるのかもしれませんが、過熱報道は逆効果を招くのではないかと危惧しています。というのも、感染した場合に、「どうせ弱毒性だから、騒がれるのがいやだから風邪薬飲んで家で寝てよう」と考える人がたくさん出てきてしまうと思います。家で寝ているならまだマシです。
「これくらいなら大丈夫」と街でウロウロされたらば、爆発的な拡大を招くのではないでしょうか。
過熱報道はむしろ感染の拡大を招くと思うのです。
マスクにしても異常です。
日本人全員にマスクして歩けとでもいうのでしょうか?
弱毒性とわかっても、まだマスクに群がる日本人は世界中の笑い物になってしまうのではないでしょうか?
マスクよりも手洗いでしょう。
マスクではなく消毒用のアルコールなどの普及を進めること、現状の過熱報道は中止すること、今求められる喫緊の課題だと思います。
抽象的に冷静な対応を呼びかける当局の無策にはあきれるばかりです。


転居先不明の郵便物
2009年05月11日(月)

当社は4月にホームページとアドレスを変更しました。
これにともない、最近、数年間に問い合わせあったお取引先宛に、ご案内のダイレクトメールを郵送しました。
郵送にあたり、郵便物の数パーセント程度の返送があると予想していました。というのも、これまでにも新刊を公表した際にダイレクトメールを送った経験があるのですが、その際にも若干の郵便物が「転居先不明」ということで返送され、それは全体の数パーセント程度だったからです。
しかし、今回は15%もの郵便物が転居先不明で返送されてきました。
過去、10%を越える返送はありませんでした。転居の多さに驚きました。
転居の理由はわかりません。
経営が破綻し、清算してしまったのでしょうか?
競売により明け渡しを余儀なくされたのでしょうか?
いずれにしても何らかの悪い事情が起きてしまったに違いありません。
最近の厳しい経営環境を反映しているのでしょう…。
返送されてきた中には実際に面談した人もいました。
予備調査をしただけでコンサルティングの実施を迷っていた人です。
どうしても不動産を守りたいと訴えていた人もいました。
さすがにコンサルティングをして再建した先は転居先不明という例はありませんでした。
コンサルティングを実施していれば転居先不明にならなかったかもしれない、そう思うと、もう少し強く勧めておけば良かったと自責の念にかられました。
本欄をご覧になっている皆様の中に、もし、コンサルティングを迷っている方がおられるならば、是非ともご連絡いただきたいと思います。
これ以上、転居先不明を増やしたくないと思っています。
「転居先不明」という返送物を見て厳しい状況を再認識したのでした。


時間の重要性
2009年05月07日(木)

長かった連休が終わりました。
それにしても高速道路の渋滞はすさまじかったようです。
前にも本欄で指摘しましたが、ETC割引は天下の愚策に思えてなりません。
流通業界に及ぼす悪影響。
なぜ土日祝日に限定するのかという不公平。
燃料消費による環境汚染。
・・・問題はたくさんあります。
家計に及ぼす影響も見過ごせません。
高速道路代が1000円になったからといって、ガソリン代が安くなるわけではありません。
長くなった渋滞に巻き込まれてノロノロ運転を強いられるのですから、むしろガソリン代は上がることになります。
さらに、渋滞脱出にかかる時間、肉体的・精神的疲労。
これらのデメリットを考えると、経済合理性は肯定されるのでしょうか?
(正規高速道路代―1000円)<(デメリット)となっていないでしょうか?
いささか疑問です。
「時は金なり」です。時間という重要なものを浪費していないでしょうか?
連休中、毎日のように○から○までの間、○キロ渋滞という渋滞情報が流れていました。
私はいつも思うのですが、単に○キロという渋滞情報ではなく、脱出に必要な見込み時間をあわせて示してもらいたいと思います。
車線の数や、車の密集度、ひいては自然渋滞のように車は流れているのか、あるいは、事故で車はストップしているのか。
これらの状況によって、脱出に要する時間は異なります。
渋滞の長さではなく、脱出に必要な時間の長短の方が、重要な情報だと思うのです。
連休の渋滞情報を見ながら、「時間の重要性」をあらためて考えてしまいました。


クライスラーの再建
2009年05月01日(金)

米国自動車会社クライスラーの経営危機に関し、経営破綻として騒がれています。
しかし、正しくは法的な経営再建であり、経営破綻とは明らかに異なります。
そもそも米国法における倒産手続きは、チャプター7で清算型の手続きが規定され、チャプター11では再建型の手続きが規定されています。今回はチャプター11ですので再建型の手続きとなります。
あくまで経営再建なのであり経営破綻ではありません。
私の本の中でも度々触れていますが、特に大型の案件の場合、債権者は安易な債務免除には応じられないという現実があります。債権者は自己の株主から合理的な説明を求められることになります。このときに、法的な経営再建であれば客観的な説明がしやすくなるのです。
債務者が法的経営再建を求め、その手続きの過程でフィアットが支援をするという形であれば、公平性が確保されます。客観性が増すというわけです。
さらに、一度、法的手続きに追い込み、後がない状況で交渉することで支援する側のフィアットは優位に立ちます。
支援するフィアット側としても法的な経営再建に協力するという戦術が最も有利なのです。
他社に支援してもらうということは、経営の再建とはいえ、事実上の経営譲渡に他なりません。譲渡ですから、新たな経営者は安く購入するのは当然です。企業は再建できても、従来の経営者は破綻するというわけです。
クライスラーは経営破綻ではなく法的な経営再建です。
但し、あくまで企業の経営再建であり、経営者を救済するものではありません。
同じ会社再建でも、当社が指向する「現在の経営者による経営継続」とは明らかに異なった方向ということになります。


報道のあり方とレベルの低さ
2009年04月25日(土)

SMAPのメンバーが酔っ払って公然猥褻罪に問われた事件が騒がれています。
またか、という感じです。
事件に対してではなく、マスコミの過熱報道に対する「またか」です。
原因において自由な行為という法的論理があります。すなわち、たとえ酔っ払って意識を失っている間の行為であっても、原因となる飲酒をした時点で完全な責任能力を有していたのであれば責任を問われるというものです。今回の事件はまさにあてはまります。立派な犯罪です。私は行為自体を擁護するものではありません。
しかし、報道によれば真夜中の公園です。公然猥褻といっても、誰がそこにいたのでしょう。これほどの大騒ぎに値するほどの迷惑を誰かに与えたのでしょうか?
繰り返しますが、私は当人を擁護するものではありません。犯罪は犯罪です。責任を負うべきです。私が指摘したいのは、騒ぎ過ぎではないかということです。
朝から晩まで、移送車を追っかけてまで報道するべきテーマでしょうか?記者会見にしても、寄ってたかって具問の嵐でした。見ていてかわいそうになるほどでした。
このような過剰報道を許す、あるいは、このような報道を好む視聴者、すなわち国民のレベルの低さに失望を感じたのは私だけでしょうか?
社会に与える影響というものを考えるならば、酔っぱらいが一人で真夜中の公園で裸で騒いでいたことよりも、過剰な報道で大騒ぎすることのほうが問題だと思うのです。
ヘラヘラ笑ってまともな政策を打ち出さない総理、鬼の首でもとったかのように日本郵政等の管轄組織の批判を繰り返す総務大臣、タレント出身の知事の粗製乱造の方がよっぽど問題です。
いずれもマスコミの影響が大きいのであり、最終的には国民のニーズであるわけです。
日本国民よ、目を覚ませ。私だけが思っているのでしょうか?


問題の本質を見誤っていないか
2009年04月22日(水)

毒入りカレー事件で死刑が確定したと報道されています。
被告の自白がなく、犯行も動機も未解明のまま、死刑が確定されたことに関し、世間では裁判員制度にからめ議論されているようです。
あなたが裁判員なら死刑を適用するかどうかといったレベルの話で騒がれています。
そんなレベルの話ではないと私は思います。
自白がなくとも死刑を選択するという、いわば、従来の自白偏重主義を見直すという意味があると思うのです。
裁判員になったら、あなたは死刑を言い渡せるかどうかというレベルの話ではないはずです。
そもそも裁判員制度は必要なのでしょうか。
私は理解に苦しむところです。
仮に裁判員制度を是認するとして、死刑が問題になるような犯罪ではなく、贈収賄、国家賠償訴訟といった公務員に関連する犯罪に導入すべきではないかと思います。
死刑が対象になるような犯罪には裁判員制度は不向きだと思うのです。
いわば素人の判断になるわけですから、素人の感情に量刑が左右されるべきではないと思うのです。素人感情で死刑にされたのでは被告はたまったものではないでしょうし、反対に、死刑を回避したのでは被害者としてはたまったものではないでしょう。 裁判員の感情ではなく、被害者の感情を重視すべきだと思うのです。
このように考えていくと、感情が問題になるような量刑判断にはなじまないと思います。
そもそも裁判員制度は必要なのか。
私は大いに疑問です。
最近は騒がれなくなりましたが、金融機関のペイオフ制度についても私は不要だと思います。
毒入りカレー事件の報道を見て、最近の報道は何か本質を見誤っているのではないかと感じた次第です。


本当に骨太の方針
2009年04月19日(日)

土日に高速道路を走る機会がありました。
青葉若葉の季節となり、気持ち良いドライブでした。
しかし、交通量が多かったのはETCの割引のせいでしょう。
経済政策の一貫として車の使用を啓蒙するというのは、環境保護という立場から見るといかがなものでしょうか。疑問です。
ガソリン価格が高騰したときに触れましたが、車にかかる諸費用は高い方が社会的な効用は高まると思います。
ETCを優遇することでETCが普及するでしょうし、サービスエリアの賑わいも増すでしょう。まさに道路公団はメリットだらけです。
一方、電車、バス、船といった公共交通機関の利用は減少するでしょうし、遠方に出かけるということは近場が減るという影響も考えられます。
一方がプラスになれば一方がマイナスになる。
これでは政策として優れているとは言えません。
省エネ製品購入の補助制度も、実施するまでは買い控えが生じてしまいます。それでは効果も期待できません。
どうも最近の施策は付焼き刃的で、人気取りのような薄っぺらな内容のものが続いています。
本当に骨太の政策、将来を見据えた政策を打ち出してほしいものです。


ホームページをリニュアルしました
2009年04月09日(木)

新年度に入りました。
一週間ばかり遅れてしまいましたが、新年度開始とともにホームページをリニュアルしました。
千代田キャピタルマネージメントのホームページに不動産鑑定士と税理士のページを統合しました。
これからも一層、戦略的なコンサルティングを進めたいと思っております。
地方の案件も積極的に取り組むつもりですので、事業再生を計画している経営者の皆様はお気軽にご連絡ください。お待ちしております。
株式会社千代田キャピタルマネージメント
代表取締役
不動産鑑定士・税理士
高 橋 隆 明


司法書士の広告への苦情
2009年04月06日(月)

下に掲げたニュースはインターネット(4月6日10時10分配信。毎日新聞)の情報です。
最近、弁護士や司法書士の広告が増えてきており、下の記事のような問題を危惧していることは、すでにこのホームページでも指摘したとおりです。(2007年11月19日のトピックスを参照)
事業再生は手間暇と費用がかかるのであり、簡単にいくものではないということを理解してもらいたいと思います。
ーーーーーーーーーーーー
「払い過ぎた金利を取り戻せます」など過払い金の返還をアピールする司法書士の広告が、東京や大阪など都市部を中心に急増している。それに伴い、各地の司法書士会には「事実と広告が違う」などの苦情が多く寄せられていることが判明。事態を重くみた日本司法書士会連合会(日司連、東京都)は全国統一の広告ガイドラインの検討を始め、一部の司法書士会は、実態調査に乗り出した。
大阪司法書士会によると、昨年ごろからテレビや新聞、電車内などで司法書士の広告が目立ち始めた。利息制限法の上限(年15~20%)を超える金利で借金した債務者に、過払い金の返還請求を呼びかけるものが大半。中には、相談件数を実績としたり、「ボーナスをもらえたようでうれしい」と依頼者の「喜びの声」で勧誘する事例もある。
一方、同会には「仕事を依頼したのに何カ月も連絡がない」「『相談件数が年間1万件』など過大な実績を示している」「実在しない司法書士の名前を掲載している」などの苦情が増加。同会が事実確認のため、会員の司法書士から聴取をしたのは08年3月までは0件に対し、今年3月までの1年間では、すでに8件に上っている。
同会は日司連の動きとは別に5月にも、名前や事務所所在地などの明示を定めたガイドラインを作成する予定だ。東京司法書士会は07年に「誇大または過度の期待を抱かせる広告」などを禁止する指針を策定している。
過払い金請求を巡っては、利息制限法の上限と出資法の上限(年29.2%)の間の「グレーゾーン金利」を無効とする最高裁判決(06年)を契機に、相談者が急増。司法書士が新規の仕事として注目し「手間のかからない『おいしい仕事』だが、引き受けすぎて手が回らないこともある」との声も出ている。
日司連の岩井英典・常任理事は「司法書士の信用が損なわれ兼ねない問題だ。厳正に指導していきたい」と話している。【牧野宏美】


付け替え融資の甘い罠(2)(全2回)
2009年04月01日(水)

【正常債権になる】
一般的には新しい金融機関が別会社に融資をします。そしてこの金額を従来の会社の金融機関に返済します。いわば、新しい金融機関が従来の金融機関に対し融資の肩代わりをするのです。
この方法は金額が限られるという宿命を持っています。
少ない金額であるからこそ新しい金融機関は融資を行うのです。新しい金融機関としては「貸す義務」はないからです。採算がとれるなら貸すというわけです。
当然、期間も限られることになります。あまり長期は期待できません。業種業態にもよりますが、7、8年から10年、長くても15年が相場でしょう。それ以上の期間の融資には慎重になるところが大半です。
一方、債務者の返済原資には限りがあります。
売上を上げろとか、経費を減らせとは言うものの、おのずと限度があるのです。
売上を倍にすることは事実上無理ですし、経費を半分にすることも無理でしょう。しからばどうするか。金額を増やすには期間を延ばすのです。返済期間を延ばすことで返済総額を上げる、すなわち融資金額を上げるというわけです。
このような融資を新しい金融機関に求めても難しい面があります。なぜならば新しい金融機関は「貸す義務」はないのであり、無理をする必要はないからです。
その点、従来の融資を行った金融機関の場合には無理をしてでも金額を上げる理由があるのです。それは不良債権を解消することができるというメリットがあるからです。旧会社は不良債権である場合、回収を行うことが大前提となります。金融機関としてはなんとしても不良債権の残高を減らしたいのです。
このような場合に、本来であれば別の金融機関が肩替わるのがベストなのですが、新たに登場する金融機関は融資金額が少なくなるという傾向があります。その場合、従来の金融機関が回収できる金額も頭打ちになってしまいます。 そこで、従来の金融機関が新しく設立した新会社に融資を行い、旧会社の不良債権を減らすというような付け替え融資が行われることがあります。
新しい別会社の経営者を変える、旧会社とは経営を隔離するなどの諸条件をつけることはあります。これにより別会社への融資は正常債権とするわけです。
金融機関としては不良債権が減るし、正常債権は増えるしと、一石二鳥というわけです。
ただし、これには注意する点があります。
総返済額が増加するという点です。
そもそも、債権者である金融機関が新しい金融機関からの融資額に満足できない場合に、苦肉の策として自らが融資することで返済額を増加させるのです。債務者の側からみれば、それだけ多くの返済を求められるわけです。
十分に経済合理性の判断を行うことが必要となるという点に注意しなければなりません。


付け替え融資の甘い罠(1)(全2回)
2009年03月26日(木)

【別会社への新規融資】
特にバブル期に顕著だったのですが、担保を重視した融資というもの行われていました。担保主義とも呼ばれるもので、融資を行った後の返済が仮に返済に行き詰ってたとしても担保を処分すれば良いではないかという考え方です。
この考え方では返済計画もあまり重視されないのです。万一の場合は担保処分すれば良いのであり、返済が行き詰ることは大きな問題にはならなかったのです。
現に土地が上がっている間は良かったのです。
極端な話、融資実行時には大幅な担保割れであっても、土地が値上がりするので自然と担保が十分な金額になったわけです。
しかし、反対に担保価値が減少するとたちまち不良債権になってしまいました。バブル崩壊がこの事態を引き起こしたのです。
今では担保は補完的な位置づけになっています。あくまでキャッシュフローが回るかどうか、すなわち、きちんとした経営計画に基づいた返済計画が出来上がっているかどうかが判断されます。
金融機関としては「貸す義務」はないのです。当たり前の話です。あくまで、採算が取れるならば貸すのです。
本書でたびたび推奨している別会社で融資を受けて買い支える方法では、登場する別会社は新設会社である場合が大半です。新たに会社を起こすのです。中には休眠会社を復活する場合もありますが、いずれにしても経営実績はありません。
実績の無い会社に融資がされるのかという不安を抱く向きもありますが、全く心配無用です。
なぜならば、このような別会社は純新設ではないからです。旧会社での経営実績があるので、これを引き継ぐ形の別会社は新設会社でも信用はあるというわけです。
融資は担保主義ではなく経営計画が成り立つかどうかを見極めます。そしてキャッシュフローが回るかどうかを把握します。この観点から見て十分なものであれば新設会社であっても何の問題もないのです。(つづく)


資産評価と現実の不況
2009年03月16日(月)

私の愛車、ジャガーXJ8には丸4年乗っています。このジャガーは拙著「プロが教える合法的借金整理テクニック(営業譲渡のカラクリ編)」イーストプレス社の105頁にも登場しています。
車が好きな私はカーレーサーとしての登竜門である国内A級ライセンスも取得したくらいです。大学を卒業してすぐに日産自動車に入社したのは車好きだからです。
この度、縁あってクライスラーに乗り換えようかと思い、ジャガーの売却価格を調べました。
なんと新車で1000万円もしたのに300万円にしかならないとのことでした。確かにジャガーはマニアックな面がありますのでベンツに比べれば値崩れすることは止むを得ないとしても、300万円とは驚きました。
ディーラーいわく、「最近は不況で高額な車は取引が少ない」とのこと。
不動産の取引と同じ状況です。
取引状況に着目するという点では、まさに不動産鑑定評価でいう「取引事例比較法」と同じです。
いくらで購入したかに着目する不動産鑑定評価でいう「原価法」にこだわるつもりはないのですが、将来の収益に着目する「収益還元法」の見地からは、300万円という価格には疑問です。
金銭的な収益ではなく、満足という経済的な効用を考えると、たった300万円では、将来に期待できる「精神的」効用を現在価値に還元した額と比較して経済合理性が否定されると感じるのです。
将来において期待し得る経済価値の現在価値とは、まさに資産評価の本質です。
車の買い替えにあたって、資産評価とは何かを考えるとともに、現実の「不況」の直撃を実感したのでした。
「このままジャガーに乗りつづけようか・・・」迷うところです。


再建のための取組姿勢(2)(全2回)
2009年03月04日(水)

事業再生の重要性が広まるにつれて、債務者自身も理論武装が深まってきました。
別会社を利用して事業再生を進めるという本書で紹介している再生方法についても、詳しく研究している債務者も多くなりました。中には、少しでも早く再生をしようと焦る債務者もいます。気持ちは分かります。
しかし、ちょっと考えてみてください。
急いては事を仕損じるのです。
先月まで、苦しいながらも正常に返済していた債務者が、ある日突然、別会社を作って事業の実態を移し、「残った借金は旧会社に残すので債務免除してくれ」と金融機関に要求を突きつけたところで、そんな話が通るわけがありません。そんなことが認められるようでは正常な融資制度が崩壊してしまいます。
ものには順序があるのです。


債権者にも立場や事情があります。債務者の一方的な要求に応じられるはずがありません。
債務者が「債務を免除してください」と訴え、債権者が「はいわかりました」となるわけがありません。私は平成13年から事業再生ビジネスを専門に手掛けていますが、債権者がこんなに簡単に債務免除に応じた例は一件もありません。
債権者の実情を把握し、債権者に準備期間を与え、ソフトに問題解決を図ることが必要です。債権者が事実上の債務免除に応じることができるような体制を作るまで、債権者に時間的な余裕を与えなければなりません。
債権者の体制ができていないうちに債務者が一方的な要求を突きつけてはならないのです。
債権者が事実上の債務免除に応じることができるような体制とはどういう状況をいうのか、債権者がそのような体制を作り上げるために債務者はどのように行動するべきなのか、さらには、債務者にとって有利な交渉を進めるためにはどうしたら良いのか等々、債権者と債務者の微妙な関係まで踏み込んだ対策が必要なのです。


再建のための取組姿勢(1)(全2回)
2009年02月23日(月)

【債権者に配慮することが必要】
私が事業再生コンサルティングを始めた当初は債権者たる金融機関も暗中模索の状態にありました。無理もありません。債権譲渡が大々的に始まって間もない頃だったため、債権者も十分なノウハウを蓄積していなかったからです。
事業再生を専門とするコンサルタントとして独立する前、私が金融機関の回収責任者として不良債権の回収を行っていた頃には、新しく出現した民事再生法の研究、特定目的会社の研究、債権譲渡の研究等々を行っていたことを思い出します。不良債権を減少させるべしという、社会的な要請の中、各金融機関が試行錯誤を繰り返していた時代でした。
その後、不良債権処理も順調に進みました。
順調といっても、大手都市銀行の大型案件が片付いた後、少しずつ地方銀行に波及しているといった状況です。まだまだ、地方の小型案件の整理はこれからの課題です。
最近は、事業再生のコンサルティングを行う業者も現れ始めました。しかし、私の目からは不十分な対応をしているように見えます。
債務者の権利を振りかざしたり、債権者の権利行使に備えたり、まるで戦争でも始めるかのようなけんか腰の姿勢で債権者に挑んでいたのではまとまる話もまとまりません。
債務者の立場から一方的に権利を主張したり、要求を突きつけるようでは有利な交渉はできないのです。
横柄な態度の弁護士に時として見られる例ですが、一方的に、銀行に対して要求を突きつけたり、自分の事務所に銀行の担当者を呼びつけたり、要求に応じないなら民事再生だと最後通告を突きつけたり…。これではお話になりません。
お互いの立場に配慮した交渉が必要なのであり、債権者に配慮した交渉は、債権者の事情を理解しないことには成功しないのです。債務者のためにならない行動をとる助言者が少なくないので注意しなければなりません。


求められている情報とは
2009年02月08日(日)

気象予報士という制度が出来たのはいつ頃でしたでしょうか。気象予報士の制度ができた頃から天気予報のスタイルが変わってきたような気がします。
以前の天気予報は単に天気を予報するだけでした。しかし、最近の天気予報は気象予報士が各地のちょっとした情報をレポートしながら天気予報をするという例もみられます。
私としては天気予報のコーナーで気象予報士がレポーター気取りでレポートするのはいかがなものかと感じています。若干の違和感を覚えます。
ゴチャゴチャいわずに天気を当てろ!街角情報はいらないからサッサと天気予報をしろ!と思っているのは私だけなのでしょうか?
天気予報コーナーで知りたい情報は街角のレポートではなく天気です。街角情報は別のコーナーでゆっくりやって欲しいものです。ただでも少ない天気予報のコーナーで街角レポートに時間を割くのではなく、ピンポイント予報などの工夫をこらし、もっと詳しい天気予報を期待したいものです。
求められている情報とは何なのかをしっかり認識してほしいものです。せっかく資格者の制度を導入しても、有資格者が街角レポートをしているようでは何にもならないのではないでしょうか?
コンサルティングを行う場合にも求められている情報は何なのかを常に意識しながら進めていきたいと思っています。


オバマ大統領への期待と不安
2009年01月22日(木)

オバマ大統領で世界中が沸いています。
世界的な大不況の中、新大統領による変革への期待が大きいのは分かります。
しかし、私はちょっと不安を感じています。
期待が先行しているのが不安なのです。期待の反動で、失望が増幅されないでしょうか。
漠然とした不安が払拭できないのです。
まさか「黒人の大統領だから」という理由だけではないと思いますが、「演説のうまさ」とあいまって、根拠のない期待は反動を生むのではないかと危惧しています。
黒人だから、女性だから、高齢者だから、障害者だからという、それだけの理由で、限度を超えた特別扱いはいかがなものでしょうか。
株価も不安定な動きをみせています。
期待の反動の失望が経済の不安定に結び付かないことを祈るばかりです。
所詮、株で儲けるのは邪道です。
「運」か「インサイダー取引」でなければ株取引の利益は見込めないものなのです。
以前、本欄で株の予想は競馬の予想と同じと表現しましたが、朝青竜の引退を予想した評論家も加えておきたいと思います。
予想は外れるものですし、期待も外れる可能性があるのです。
やはり、着実に進めるのが一番だと思います。
就任式の大騒ぎを見て、逆に不安を感じてしまったのは私だけでしょうか?
変な予想が外れるのを、我ながら期待しているところです。



定額給付金の話
2009年01月09日(金)

鎌倉時代、誤って小銭を川に落した武将が、部下に命じて多額の費用をかけて小銭を探し出しました。武将曰く、「多額の費用は無駄ではない。その金は世の中を回り、国の富を増す。もし、川の中の金をそのままにしていたら、国の富がそれだけ減ってしまう」と。
定額給付金をめぐる、国会でのやり取りをテレビで見ていて思い出した話です。
経済学の視点でいえば、1万2千円の金は、一部が貯蓄に回り、残りが使われます。たとえば貯蓄に回る部分の割合(これを限界貯蓄性向といいます)を30%と仮定すれば、1万2千円の70%、すなわち、8400円が使われることになります。その8400円を受け取った者は、8400円の70%の5880円を使い、これを受け取った者は70%の4116円を使います。このように、70%ずつが使われることで当初の1万2千円が大きな景気刺激効果を生むのです。
この効果は、次々に使われることで生まれるのです。言い換えれば、最初の1万2千円を早く使うことが大切なのです。
「受け取るかどうか」が問題なのではなく、「使うかどうか」が問題なのです。
このような景気刺激効果を説明することが大切なのですが、一向に聞こえてきません。麻生総理は、のらくらと逃げるだけで論理的な説明はありません。追及する菅直人氏は「言った、言わない」のレベルの低い追及しかありませんでした。
どっちもどっち。見ていてバカバカしいというか、「どっちも交渉が下手だなあ…」と感じたのは私だけでしょうか?
「生活給付から景気刺激に変わった」というなら、「当初から考えていなかったのか」「考えもしないで高額所得者を排除しようとしたのか」という応酬もあるでしょう。「あの時とは経済環境が変わった」というなら、「いつ、何をもって変わったというのか」「世論も変わってきていることを反映しないのか」という応酬もあるはずです。
応酬話法が全くできていないなあ…と感じた次第です。
相手を責めるだけではなく、論理的に話を展開することが大切なのです。一度、事業再生の現場で債権者と債務者の交渉をまとめるという苦労を経験すれば、もう少しまともな応酬ができるかもしれません。

▲ページの先頭へ戻る