粉飾決算対策

2015年2月23日 月曜日

金融機関で不良債権の回収責任者の職にあった頃、回収先の粉飾決算を多く見てきました。正確にカウントしたわけではありませんが、不良債権となった回収対象先の8割以上は何らかの粉飾を行っていたように記憶しています。回収対象先に分類された債務者ですから、一般企業に比べて粉飾決算を行っている比率は高いといえるでしょう。
事業再生業務を行っていると多くの粉飾事例に遭遇しますが、過去の粉飾決算の証として貸借対照表上に実態のない資産が計上されているような例が多く見られます。さらには、利益を出すために損益計算書上の粉飾を行っている例も少なくありません。
これらを放置していたのでは債務者主導の事業再生を実現することはできません。


企業の粉飾決算

損益計算書の経常損益などを意図的に操作して企業の経営成績を隠蔽し実態より良く見せることが典型的な粉飾決算です。貸借対照表の資産を過大計上したり、負債を簿外計上するなどして、企業の財政状態を実態より良く見せる場合もあります。反対に、脱税等の目的で、会社の決算を実態より悪いかのように偽装して決算書を作成することは「逆粉飾決算」と呼ばれ、これも粉飾決算に含まれます。


1. 粉飾の目的
粉飾を行う目的は次のように大別されます。


(1)対銀行関係
利益の過大計上により信用を高く見せる。


(2)対従業員関係
利益の過少計上により分配(=給与)を抑える。


(3)対株主関係
利益の過少あるいは過大計上により高配当を回避する。


(4)対税務関係
利益の過少計上により納税を回避する。



2. 粉飾の方法
古典的かつ典型的な粉飾の方法の例は次の通りです。


(1)収益、資産の過大計上の例
・売上高を架空計上し売掛金を過大計上する。
・売上高を繰上計上し売掛金を計上する。
・資産の評価を引上げ評価益を計上する。
・棚卸資産、有価証券を水増し計上する。


(2)収益の過大計上、負債の過少計上の例
・借受金とすべきものを売上に計上する。
・前受金を繰り上げ売上に計上する。
・引当金を取り崩し収益を過大計上する。
・仮受金、預り金を売上に計上する。
・借入金を売上に計上し簿外債務とする。


(3)費用の過少計上、資産の過大計上の例
・固定資産の減価償却費を減らし固定資産を過大に表示する。
・期末棚卸資産を過大に評価計上し結果的に売上原価を減らす。
・修繕費として計上すべきものを建設仮勘定や固定資産に計上する。
・利息や支払保険料等を前払い費用として繰り延べる。
・貸倒が発生しているにもかかわらず貸倒損を計上せず売上債権が過大計上となる。
・不良在庫があるにもかかわらず廃棄損を計上せず棚卸資産が過大計上となる。
・仮払金、立替金を不正計上する。


(4)費用、負債の過少計上の例

・費用を見積もって計上せず修繕引当金や負債を過少計上する。
・確定未払費用を不計上とする。
・買掛金による仕入を過少計上する。
・費用計上基準を発生主義から現金主義に変更する。
・借入金を過少計上する。


粉飾の兆候とチェックポイントの例

粉飾を行う場合、それを示唆する兆候が表れます。
一例として、次表のような兆候と、そのチェック方法が考えられます。詳しくは省略しますが、金融機関は細かくチェックしているため、多くの場合、粉飾決算は見破られているのです。


微 候 チェック方法
損益状況 i)売上が減少している。売上高が3期以上横這いである ・P/L、B/S同業他社比較
ii)利益率が低下している
iii)金利負担比率が極めて高い ・売上高利子負担比率
iv)損益分岐点が著しく高い ・P/L、B/S同業他社比較
v)次のような粉飾決算の兆候がみられる
・販売実績の増減がはなはだしく総利益率の変動が激しい
・電力料、水道料などが殆ど変化していないのに生産が異常に高くなっている
・販売員が減少しているのに売上高が増加している。
・P/L、B/S同業他社比較
財務状況 i)売掛金の回収が悪化している。受手のサイトが長期化している ・売上債権回転率
・代金回収率
ii)棚卸資産が異常に増えている ・棚卸資産回転率
iii)高利の借入(闇金融)が増大している ・P/L、B/S
iv)経営収支比率が低下している ・P/L、B/S
v)次のような粉飾決算の兆候が見られる
・売上債権、棚卸資産、固定資産に異常な増減が見受けられる
・買掛債務、借入金に異常な増減がある
・事業の性格上、当然考えられない前受金、仮受金が多額にある
・P/L、B/S
vi)遊休資産、不稼働資産が多い ・設備効率、B/S
vii)投機的投資が多い ・B/S


粉飾決算を公表する方法

粉飾決算を行っていても何らかの事情で公表しなければならない場合があります。
公表しなければならない場合は二つに大別されます。
一つは経営が行き詰まった挙句、金融機関の協力を得るために粉飾決算の事実を公表する場合です。たとえばリスケや債権放棄を求める例があり、これは会社を継続する場合といえます。
もう一つは別会社での事業再生を成功させた後、残った会社を清算する場合です。たとえば多額の債務超過を抱えた旧会社を処理する例があり、これは会社を清算する場合といえます。

1. 会社を継続する場合

P/Lの粉飾とは現在の粉飾であり、直ちに中止する必要があります。粉飾を継続しているようでは金融機関の信頼は得られません。一方、B/Sの粉飾はできる限り中止するべきです。「できる限り」とは、後述するように「できない場合」も生じるからです。
緻密に計画された複雑な粉飾であればともかく、中小・零細企業の粉飾決算は金融機関に気づかれている場合が大半です。粉飾の事実を開示することで「よくぞ話してくれた」と信頼を取り戻す可能性すらあるのです 。

(1)P/Lの粉飾
融資を引き出すための粉飾は詐害行為になりかねない行為であるといえます。架空売り上げは架空の売掛金に直結し、実態のない資産が増えることになります。単にP/Lの粉飾に留まらずB/Sの粉飾へと発展することになります。このように、P/Lの粉飾は現在の粉飾であり悪質であるといえます。

(2)B/Sの粉飾
過去の粉飾の証としてB/Sに計上されている資産を一挙に修正すると債務超過になりかねません。たとえば建設業等、許認可にあたり一定の純資産が要件になっている場合には、債務超過になると事業継続が困難になってしまいます。一般に、売上を粉飾したのであれば剰余金が残っており、これを取り崩すことで債務超過にならないはずですが、それでも債務超過になるならば、いずれかの資産を残すことも検討しなければならないこともあり得ます。この場合、売掛金などの実在資産より擬制資産の方が残しやすいということができます。いずれはゼロになる擬制資産の償却時期をずらすだけともいえるからです。



2. 会社を清算する場合
会社を解散・清算したときの課税方法は財産法と損益法があります。
2010年の税制改正前は財産法が採用されていたため、残余財産がプラスにならなければ清算会社における課税はなされず、たとえば、事業再生が必要になるような会社の場合、多くは債務超過の状態であり剰余金がない以上、課税はされませんでした 。


しかし損益法のもとでは、会社を解散・清算したときに債権放棄を受けると、債務免除益が益金となり課税対象になります。このため、実質債務超過である場合には、青色欠損金の控除で足りない場合に、「残余財産がないことが見込まれる」ことを要件として、青色欠損金に加えて期限切れ欠損金(青色欠損金より前に生じた欠損金)を債務免除益と相殺することで課税所得を発生させないようにする必要があります 。過去の繰越欠損を計算に含めることができるという是正措置が取られているものの、多額の債務免除益を消すことができない場合も想定されます。たとえば不良債権化した会社が務超過を表面化させないための粉飾決算を行っている場合です 。
見せかけの利益があると欠損金が表面化しないため、粉飾決算に基づく過大申告について更生後の確定申告を行い、欠損金を表面化させた後で期限切れ欠損金の損金算入の規定を受けることになります。更生の可能性が保障されないために清算手続が放置される例も少なくありません 。


実在性のない資産が計上されている場合、損金算入ができなくなります。恣意的な処分を認めないためにも当事者から独立した第三者等による調査によって実在性がないことが確認されることが求められます。
第三者が関与する形で進められる手続は費用と時間がかかるため、解散手続を開始するとともに休眠の届け出を行い、活動を停止したまま放置するような方法も利用されています。この場合、最後の登記を行ったときから12年を経過した時点で職権による解散手続がなされることになります 。詳しくは拙著「事業再生に伴い、残った借入金と会社の処理の仕方」(ファーストプレス刊)で詳述しています。

  1. 粉飾決算を開示した結果、金融機関の信頼を確保した例については拙著「改訂版 新・債務免除読本」の253ページで紹介しています。
  2. 2010年9月30日以前の解散については改正前の財産法が適用され、2010年10月1日以後の解散から改正後の損益法となりました。
  3. 「平成23年度税制改正大綱」により欠損金の繰越控除制度について改正されています。欠損金の繰越期間を7年から9年に延長されました。更正の請求期間も1年から9年に延長されています。
  4. たとえば売掛金などの架空資産の計上により、架空利益を捻出することが考えられます。
  5. 更正の対象期間内に生じたものについては税務当局による更正手続を通じて遡って損金処理できますが、対象期間以前あるいは時期が不明の場合には税務上の剰余金(欠損金)の期首繰越金額を直接修正することになります。繰越額を直接修正できるのは損失処理の手続に客観性が担保されている場合に限られ、納税者側が立証しなければなりません。
  6. 最後の登記があった日から12年を経過した株式会社について休眠会社と定義し(会社法472条)、法務大臣が2か月内に法務省令で定めるところにより本店の所在地を管轄する登記所にまだ事業を廃止していない旨の届出(会社法施行規則139条)をするように官報に公告します。休眠会社が、その届出をしないときは、その2か月の期間の満了時に解散したものとみなされ、その場合、登記官の職権によって解散の登記がなされます(商登72条)。

お問い合わせありがとうございました。

2015年2月20日 金曜日

お問い合わせありがとうございました。


後ほど、代表者の高橋隆明より直接ご連絡を差し上げます。

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2015年2月20日 金曜日
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当社に電子メールとして送信されますので、後日、当社からご連絡させていただきます(代表者の高橋から直接に連絡いたします)。
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電話(03-5815-5941)、ファックス(03-5815-5942)でのお問合せも歓迎します。

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[例:山田 太郎]
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[例:123-0000(半角数字)]
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建物名
[例:○○ビル 7階]
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・『収益用建物を建てましょう』(税込2,640円)
・『中古一戸建てがお得です』(税込2,420円)
・『不動産と事業(会社)を守る相続術』(税込1,540円)
3冊セットで6,600円のところ、ホームページから申し込んでいただいた場合は30%引きの4,620円(税込・送料込・代引手数料込)で発送します。
書籍3冊セット(4,620円)
DVD購入 DVDの購入をご希望の方は□欄にチェックして下さい。
代金引換郵便で発送します。
各5,500円(税込・送料込・代引手数料込)です。
DVD(1) 「リスケ(返済猶予)に頼らない事業再生のすすめ」DVD(2) 「事業再生に伴い、残った借入金と会社の処理の仕方」

関連リンク

2015年2月20日 金曜日

事業再生に関連して有益な情報を得られる公的機関のサイト等を紹介します。
事業再生に関連する研究者の学会のサイトや、私自身に関わる大学のサイトも紹介しておきます。


公的機関関連サイト

link1 金融庁
中小企業に対する金融対策の他、債務整理のガイドラインも参考になります。銀行他の債権者に対する監督業務も把握できます。
link2 国税庁
税務行政に関する情報を収集できます。税務申告書等作成 – 申請・届出様式 – 路線価図・評価倍率表も見ることができます。
link3 国土交通省
土地行政や建設行政に関する情報を収集できます。地価公示、都道府県地価調査に関するデータも見ることができます。
link4 中小企業庁
中小企業を支援する見地から、様々な中小企業施策が展開されています。経営・金融・財務のサポートを見ることができます。

⇒ 認定支援機関に関する情報はこちら

link5 中小企業基盤整備機構
中小機構は経済産業省所管の独立行政法人で正式名称を中小企業基盤整備機構といい、中小企業施策の実施機関としての役割を果たしています。

⇒ セミナー情報はこちら

link6 日本政策金融公庫
国の政策の下、民間金融機関の補完を旨としつつ、社会のニーズに対応して、種々の手法により、政策金融を機動的に実施します。

⇒ 各種書式はこちら

link7 日本税理士会連合会
税理士が所属する団体です。単に税に関することだけではなく、中小企業会計指針など納税者向けの情報を見ることができます。
link8 日本不動産鑑定士協会連合会
不動産鑑定士が所属する団体です。不動産鑑定評価にかかわる相談など、一般向けの情報も見ることができます。
link9 資産評価システム研究センター
全国の固定資産税路線価、相続税路線価、地価公示価格、都道府県地価調査価格を見ることができます。


学会関連サイト

link10 日本不動産学会
不動産に関する総合的かつ学際的な研究者・教育者の学会です。刊行物や学会活動の案内をしています。
link11 資産評価政策学会
固定資産の評価や、事業運営に伴って発生する不良債権問題やデューデリジェンスなどの資産評価に関する研究者の学会です。
link12 日本交渉学会
交渉学という新しい学問分野の創設に尽力している学術団体で、日本学術会議の認定団体です。
link13 国際公共経済学会
市場経済における公共的・協同的要素に関心をよせる学者・実務家の学会です。セミナーの案内も見ることができます。


大学関連サイト

link14 敬愛大学
千葉市稲毛区の大学で、経済学部・国際学部が設置されています。同大学初の客員教授として、毎週月曜日に授業を受け持っています。
ehime-u 愛媛大学
法文学部・教育学部・社会共創学部・理学部・医学部・工学部・農学部の7学部と大学院6研究科からなる学生約1万人を擁する四国最大の総合大学です。
高崎経済大学
群馬県高崎市に所在する公立大学法人です。経済学部と地域政策学部があり、4000人を超える学生が学んでいます。
link15 東洋大学
創立125周年を迎える10学部11研究科をもつ総合大学です。同大学から博士(経済学)の学位を授与されました。
link16 作新学院大学
実践教育に力を入れ、社会貢献できる人材の育成を目指す総合大学です。同大学から博士(経営学)の学位を授与されました。

博士への道

2015年2月20日 金曜日

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研究テーマ

2015年2月20日 金曜日

経済学博士論文

2015年2月20日 金曜日

略歴

2015年2月20日 金曜日

学会・教育活動

2015年2月20日 金曜日
事業再生業務を実務的に実践するだけではなく、複数の学会に所属して学問的見地からの研究を継続しています。研究活動を通して常に最新の情報を把握し、事業再生に取り組んでいます。大学の経済学部では、次代を担う学生諸君を対象に、中小企業会計のあり方と、企業再生のあり方を実践的に指導しています。

 

単に実務家としての実践的な立場からではなく、ミクロ経済学の視点から学問的考察を加えることで実務と学問の融合を図っています。

 

1. 学会活動

次の各学会に所属しています。
ここでは概要を紹介しておきます。詳しくは各学会のホームページをご覧ください。

 

(1)日本交渉学会

本学会は弁護士を含む多くの法律関係者、ビジネス関係者、大学の研究者、大学院を含む学生諸君、一般の方々といったメンバーで構成されており、日常の交渉から、法律分野、経営分野、多文化間、異文化間の交渉はむろん、国際交渉といった広範囲にわたる紛争管理や紛争解決、平和学の研究に携わっております(学会HPより引用)。

2016年6月より同学会の理事に就任しています。

日本交渉学会のホームページはこちら

 

(2)日本税務会計学会

日本税務会計学会は東京税理士会の中に設置された税理士向けの学会です。

 

2. 教育活動

敬愛大学経済学部客員教授として、また愛媛大学社会共創学部非常勤講師、高崎経済大学地域政策学部非常勤講師として、学生の指導にあたっています。実務における実践的知識を加味しながら、分かりやすい授業、役に立つ授業を目指しています。
 

敬愛大学のホームページはこちら

愛媛大学のホームページはこちら

高崎経済大学のホームページはこちら

 

今年度のシラバス(授業計画)は次の通りです。

 

(1)地域企業会計論(敬愛大学)

地域の中堅企業の企業会計を念頭に置き、制度会計と会計理論の違いを明らかにしつつ財務諸表の表す意味・内容を理解する。特に資産と負債の時価評価に着目し、社会問題でもある不良債権について発生原因を探るとともに、解消方法も明らかにする。実務的な問題も具体的に取り上げることで、地域企業における会計を広く理解する。

授業計画はこちら、キャンパスナビケーター(KeiaiCampusNavigator)をご覧ください。

 

講義用レジュメ(1)はこちら

講義用レジュメ(2)はこちら

 

授 業 項 目 授 業 内 容
1 地域企業の概要 地域企業会計とは何か。経営成績とは何か
2 財務諸表の意味 財務諸表の種類と内容。P/L、B/Sの表す意味
3 損益計算書(総論) 地域企業における経営成績について会計学の立場から理解する
4 損益計算書(各論) 地域企業における収益・費用のとらえ方を会計学の立場から理解する
5 貸借対照表(総論) 地域企業における財政状態について、会計学の立場から理解する
6 貸借対照表(各論) 地域企業における資産・負債・資本のとらえ方を会計学の立場から理解する
7 キャッシュフロー会計 キャッシュの動きに着目して財務諸表を理解する
8 資産・負債の時価価値 簿価と時価の違いを理解し、資産と負債の時価価値を理解する
9 信用リスクとは 地域企業における信用リスクとは何かを明らかにする
10 不良債権の実態 不良債権の発生原因、解消方法を明らかにする
11 借入金過剰企業の問題 借入金が過剰となった地域企業の問題を実務的・会計学的に明らかにする
12 経営破綻と企業倒産 経営が破綻する地域企業の問題を実務的・会計学的に明らかにする
13 まとめ 講義全体のまとめと試験(レポート)対策
14 定  期  試  験

 

(2)地域企業再生論(愛媛大学)

地域企業の特性を整理した後、経営が行き詰まり不良債権となった地域企業の再生について理解する。単に企業再生の方法論に留まらず、会計学、経済学、経営学の視点から理論に裏付けられた企業再生を理解する。地域金融の実情を理解し、理論と実務の融合を目指す。

 

講義用レジュメ(前半)はこちら

講義用レジュメ(後半)はこちら

 

授 業 項 目 授 業 内 容
1 不良債権と事業再生 不良債権と正常債権、事業再生の必要性
2 法的問題点・会計的問題 関連諸法の整理、会社の種類、株式会社制度、会社法・税法との関連
3 私的整理と法的整理、再生と清算、任意売却と競売 私的再生と法的再生、事業再生と清算、任意売却と競売を整理する
4 損益計算書の基本的事項(再生にあたっての収益と費用) 損益計算書の基本、事業再生への応用
5 貸借対照表の基本的事項(再生にあたっての資産と負債) 貸借対対照表項目の基本、事業再生への応用
6 キャッシュフロー計算書 事業再生におけるキャッシュフローの重要性を理解する(外部講師招聘)
7 経営分析 経営分析の基本を理解する(外部講師招聘)
8 講義前半の総括 講義前半のまとめ
9 地域金融 地域金融について理解する(外部講師招聘)
10 会社分割、事業譲渡、M&A 事業再編の手法
11 再生計画の実例 実際の再生計画を体感する
12 事業再生のシミュレーション 簡単な事例を元にした事業再生のシミュレーション
13 不確実性と期待効用仮説 合理的な行動、情報の非対称性、破綻リスク
14 交渉学と事業再生 事業再生を例にとり、交渉学を学ぶ
15 総括・レポート作成 講義全体のまとめとレポート作成
   

 

(3)事業再生論(高崎経済大学)

さまざまな理由で経営が悪化し、事業継続が困難になることがあります。この場合、事業譲渡や会社分割、M&Aという形で事業を再編し、事業の再生を進めることも少なくありません。事業再生の基本的事項を理解し、法的な知識を得ることで、今後、具体的に必要とされた際に応用するための基礎力を身に着けることを目的とします

 

講義用レジュメ(前半)はこちら

講義用レジュメ(後半)はこちら

 

授 業 項 目 授 業 内 容
1 授業の概要把握 全体の把握
2 不良債権と事業再生 不良債権の発生と事業再生の必要性
3 事業再生に関わる法制度 民法、会社法、会社更生法、民事再生法、破産法、税法等々
4 法的整理と私的整理 裁判所に頼るのか否か、風評被害、詐害行為
5 再生と清算 事業継続の可能性、モラルハザード
6 金融検査と債務者区分 金融機関の立場、金融検査
7 債権放棄と債権譲渡 サービサー、債権者の貸倒損失、債務者の債務免除益
8 事業再生に関わる損益計算書 破綻企業の経営成績、収益・費用・利益
9 事業再生に関わる貸借対照表 破綻企業の財政状態、資産・負債
10 事業再生に関わる経営分析、キャッシュフロー 粉飾決算の実際、見破り方
11 事業譲渡、会社分割、M&A、第二会社方式 事業再生に関わる組織再編
12 事業再生の実例 実際の事業再生、事業再生計画、シミュレーション
13 事業再生に関わる法と経済学 情報の非対称性、債権者と債務者の行動
14 事業再生に関わる法と交渉学 配分型交渉と統合型交渉
15 講義全体のまとめ 知識の再確認
 

各種経営支援業務

2015年2月20日 金曜日
不動産鑑定士と税理士という二つの専門的知識と実務経験を活かし、高度な専門的業務を戦略的に実践します。


クライアントがスムーズに事業再生を成功させるためだけではなく、事業再生を成功させたクライアントに対しては、さらなる経営成績の向上を目指してコンサルティングを実施します。具体的には、次のような業務を中心に経営支援業務を実施しています。


(1)経営計画作成(改善と発展)
(2)融資獲得支援(資金調達)
(3)経営参画
(4)事業承継
(5)従来の会社の本社保守業務
(6)事業価値評価(事業譲渡の営業権評価)
(7)企業価値評価(会社分割・会社譲渡)
(8)評価書・意見書の作成
(9)千代田キャピタルニュースの配信


1. 不動産鑑定業務を行うにあたっては、「不当鑑定」とならない範囲で、最大限にクライアントの希望(鑑定評価額、鑑定報酬、完成時期)を実現します。鑑定評価業務については「不動産鑑定評価の手引き」に詳述してありますのでご参照ください。
2. 税務・会計業務を行うにあたっては、「脱税」とならない範囲で、最大限に「節税」のメリットを追及します。当社は戦略的な税務コンサルティングを実施しており、単なる記帳代行、決算申告業務は行っていません。
3. 無資格の担当者が職務を分担するのではなく、有資格者である代表者自身が直接業務を実践します。データ入力等の事務作業はスタッフが行いますが、専門的なコンサルティング業務は、全ての事案について代表者自身が直接担当します。
4. 業務に関する報酬は月払いとし、費用の明確化を図っています。難易度の高低、効果の大小、負債総額の大小、担保不動産の件数、所在地の遠近等に応じて、個別に約定させていただきます。成功報酬等のご負担は一切不要です。
5. 着手金、成功報酬は不要です。月々の報酬は最低3万円からとし、予備調査の結果を受けて、個別に約定させていただきます。


(1)経営計画作成(改善と発展)

経営計画は、経営状況を改善するためのものと、さらに発展させるためのものに大別されます。たとえば、銀行から「経営改善計画書」の提出を求められた場合は、前者に該当します。あるいは、社業のさらなる発展を目指し、何らかの新規取り組みを行う場合は後者に該当します。


とりわけ、改善を目的とした経営改善計画書は、短期間の経営計画が重視されます。長期的視野での計画もさることながら、生きるか死ぬかの経営状態の場合には、月単位の短期計画が必要になる場合もあるのです。


経営計画を長期的視点で把握する場合には、一方において、会社を清算することを想定した、清算想定貸借対照表との比較も有効です。清算するのに比べ長期 的視野で経営を継続することの方が、経済合理性に勝ることを明らかにするのです。そのために、予想損益計算書、予想貸借対照表、予想キャッシュフロー計算 書等を用意することが必要になります。これらの計画書を外部に提出する場合には、必要に応じて不動産鑑定士・税理士としての署名押印を行います。


さらに、経営計画書の使途として、金融機関等の債権者に提出する場合の他、経営者自身が将来の経営計画を把握するために自作することもあります。 一般に、計画を作成する時点では経営体力が低下しており、そもそも経営破綻に追い込まれる会社は計画を策定・実行する力に欠ける場合も多く、会社が作成 した再生計画に必ずしも十分な信頼性をおくことができない場合があります。また、事業計画においてはリストラが行われることが通常であるところ、内部だけでリストラプランを策定すると、甘さゆえに必要な人員整理や経費削減策が十分に計画に織り込まれない可能性も否定できません。


したがって事業計画は外部のコンサルタントの協力を得て作成されることが望ましく、外部コンサルタントの支援により策定された事業計画は、合理性や実現可能性が相対的に高く、また説得力にも富むものとなっていることが多いのです。


不良債権をめぐり利益が相反する債権者と債務者の協調を実現するためには、事業評価は合理的なものでなければなりませんが、そのためには合理的な計画に基づいたDCF法によって評価されるべきです。

当社では、クライアントの事業計画、経営計画策定、決算分析等の経営支援業務を積極的に行っています。単に事業再生を成功させるだけではなく、長期的視野に立ち更なる発展を目指しています。


(2)融資獲得支援(資金調達)

事業再生を行う場合はもちろんのこと、事業再生に成功した後に、更なる発展を目指して経営を継続するときにも新たな資金調達が必要になります。
当社ではクライアントの現状を把握したうえで、事業再生にあたっては再生計画を策定し、更なる発展を目指すにあたっては新しい事業計画を策定し、その後、当社として責任を持って金融機関に話を持ち込むようにしています。
いわば、融資の一次審査を当社で行っているようなわけです。
きちんと内容を把握し、「これなら審査は通るであろう」という水準にまで、さまざまな工夫をし内容を高めてから最適な金融機関に持ち込みます。換言すれば、持ち込む時点では一定水準に達しているわけであり、当社が持ち込む案件はそのような水準をキープしているからこそ、金融機関の信頼が生まれるのであると自負しています。
金融機関の審査に対し、事業内容や、収益構造、借入金の返済方法等を明確に示すことで資金調達を円滑にすることが出来るのです。


(3)経営参画

経営体制を強化するとともに、金融機関との交渉をスムーズに進めるため、単なる顧問税理士あるいは応援税理士としてではなく、必要に応じて経営陣に参画す ることで事業再生を支援しています。経営に参画することで、金融機関等との交渉をスムーズに進めることができる場合もあります。
但し、事業再生に取り組みながら信頼関係が形成できたことを前提に、会社の状況を判断したうえで就任を引き受けさせていただきます。必ずしも全ての場合にお引き受けするものではありませんのでご了承ください。
経営陣への参画にあたっては、次のような形態があります。


1、取締役、監査役
株主総会で選任され、登記事項ですので対外的に公表されます。経営の一翼を担うものとして評価されます。監査役と異なり、取締役は経営を実践する立場になりますので、金融機関との交渉を行う場合には監査役よりも取締役が望ましいと言えます。


2、執行役員
取締役と異なり登記されません。通常の役員(取締役)は取締役会の意思決定に参加しますが、執行役員は意思決定に直接は参加せず、担当する会社業務の執行を担うこととなります。責任の度合いが軽くなりますので、対外的な評価は低くなりますが、業務を執行するものとして一目を置かれる立場になります。


3、会計参与
税理士(法人)・会計士(法人)でないと就任できません。会社に対する法定責任を負います。融資の実行にあたり、会計参与の存在が有利に参酌される場合があります。


4、顧問、相談役
広く使われている呼称ですが、今ひとつ曖昧な位置づけです。会社側の人物という程度の評価に留まることも少なくありません。


5、別会社の代表取締役
適任者がいない場合に第三者たる別会社の代表者に就任します。


(4)事業承継

一口に事業承継といっても、親族への事業承継、従業員への事業承継、他人への事業承継と大別されます。当社で扱う事業承継は、現在の経営者(親)から、 次代の経営者(親族)への譲渡が圧倒的に多くなっています。その理由は、当社の専門が不良債権化した事業の再生であり、再生した事業を次代の経営者(親族)に承継したいという経営者が多いからです。

親族への事業承継に関しては、事業承継税制を検討する必要があります。具体的には「非上場株式等についての贈与税の納税猶予制度」と「非上場株式等についての相続税の納税猶予制度」です。


非上場株式等についての贈与税の納税猶予制度とは、後継者が先代経営者から一括で自社株式の贈与を受けた場合に、贈与前から後継者が既に保有している議決権株式等を含め、発行済議決権株式総数の3分の2に達するまでの部分についての贈与税を全額納税猶予するものです。

非上場株式等についての相続税の納税猶予制度とは、後継者が先代経営者から自社株式を相続した場合に、相続前から後継者が既に保有している議決権株式等を 含め、発行済議決権株式総数の3分の2に達するまでの部分に係る課税価格の80%に対応する相続税を納税猶予するものです。
これらの税制度を利用して、有利な事業承継を実現させます。


(5)従来の会社の本社保守業務

地方で事業再生を成功させた場合、新しく設立した「第二会社」ではなく、残った「従来の会社」の処理が問題になります。
正しい処理としては清算を行うことになりますが、「架空資産がある」「債務免除が完了しない」等々の理由で、存続を余儀なくされる場合もあります。(拙著、「事業再生に伴い残った借入金と会社の処理の仕方」参照)さらには「地元で会社の清算をすると風評被害が問題になる」場合もあります。いずれの場合にも「本社をどこか別の場所に移転したい」ということになります。


このような「従来の会社」の本社所在地を確保したいというニーズを満たすため、従来は貸事務所(バーチャルオフィスも含む)の利用をお勧めしていました。しかし、「知らない業者は不安だ」「どこかを紹介して欲しい」との相談が相次いだため、当社で「第二会社」の本社を移転する先を用意することにいたしました。所在地は千葉県内とし、本社所在地として登記するために「賃貸借契約を締結」するとともに、登記した本社の保守業務として「配達された書類の受け取り・転送サービス」を行います。あくまでクライアント向けの付加サービスとして行うものであって、一般向けにサービスを提供するものではありません。


たとえば電話やFAXの設置、来客応対、役員就任、開業届、税務申告等の諸届出等は行いません。あくまで、本社登記のための場所を提供するために賃貸借契約を締結するとともに、付随するサービスとして「配達された書類の受け取り・転送サービス」のみを行うものです。


保守業務の開始にあたっては契約事務手数料として24,000円(ゴム印・プレート作成費等)を申し受けます。賃料は12,000円(月額)とし、敷金、礼金は不要です。配達された書類の転送にあたっては、受領の都度、送料着払いの宅配サービスでお送りいたします。詳しくは個別にご相談ください。


(6)事業価値評価(事業譲渡の営業権評価)

将来における事業価値を評価する方法として様々な方法がありますが、代表的な方法としてDCF法、収益還元法、類似事業比較法等をあげることができます。DCF法と収益還元法は、ともに、Cash-flow method(収益方式)の一つとして期待される収益に着目した方法として分類することができます。


とりわけ、不良債権と分類された事業の再生を行うにあたって、債権者の立場からみれば継続事業価値は期待値の上限となり、下限値は事業を中止して清算する 場合の価値となります。ともに分配可能利益として把握されるため、事業価値については、キャッシュの動きに着目した収益方式で把握することになります。
DCF法は、将来生み出すと予測されるキャッシュフローの現在価値の合計を基に事業の評価額を算出する方法で、端的には将来の収益見通しを現時点での価値に置き直して事業の評価額とする方法です。


収益還元法は利益をベースにおいた評価方法であるのに対して、DCF法はキャッシュフローを基礎としている点が大きく異なっています。また、一般に、収益還元価値法では過去の一定時点での利益額あるいは将来において維持可能と考えられる利益額を算定したものを使用するのに対して、DCF法においては将来の事業計画などに基づいて評価される点も異なっています。


DCF法における事業評価においてはキャッシュフローが計画通りに計上できるかが極めて重要となります。事業計画の作成過程と前提条件について正しく認識することが求められるのであり、キャッシュフローの合理的な見積りを行うには、SWOT分析、過去の趨勢分析、シナリオ分析等の検討方法が採用されます。


(1)SWOT分析
評価対象企業の強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)について分析することを、それぞれの頭文字をとってSWOT分析と呼びます。
将来のキャッシュフローが合理的に見積られているかどうかを分析するためには、事業を取り巻く経営環境について正しく理解することが求められます。強みと弱みはその企業の内部環境を表し、機会と脅威は外部環境を表しており、SWOT分析は事業別に実施することが望ましく、事業ごとに優劣や特性を把握するこ とで、事業ごとに見積られるキャッシュフローの合理性を検証ことが可能になります。


(2)過去の趨勢分析
将来のキャッシュフローは、常に過去との連続性のなかでとらえられるべきです。将来のキャッシュフローの前提となる売上高や利益率の趨勢が、その企業の過去における実績値と比べて整合するかどうかは、将来のキャッシュフローの見積りを合理的に行ううえで重要となります。
過去の趨勢を分析する際に使用される資料には、事業別比較損益計算書と比較貸借対照表、営業損益にかかる詳細資料(売上単価、販売数量のデータ、販売先別の売上高、原価データ、販管費の詳細データ等)が必要になります。


(3)シナリオ分析
SWOT分析、過去の趨勢分析を通じて事業計画の実行可能性を検討しても完全な将来予測は困難です。そこで事業計画の達成可能性を考慮して、いくつかのシナリオを検討することが求められます。
このシナリオ分析では、事業計画の前提条件とされている事象が計画どおりに実現した場合と実現しない場合に分け、それぞれの場合における将来キャッシュフローへの影響を見積ったうえで事業計画を修正し事業価値を算出するのが一般的です。


(7)企業価値評価(会社分割・会社譲渡)

財務理論的には、事業部分の価値が事業価値であり、これに投融資部分の価値を加算したものが企業価値として両者は区別されます。
現実問題としては、後継者がいない企業の会社譲渡や、次世代への経営承継、さらには、これらに付随する税務相談などを行う場合が少なくありません。経営者の高齢化にともない相続とも関連するため、必要に応じて後継者の育成も視野に入れた支援を行います。
会社の譲渡・買収に際して問題になる譲渡価額は、譲渡人と譲受人の交渉により決まるものですが、その基準となる金額を算出するのが企業価値評価に他なりません。
企業価値の評価手法には、時価純資産法、類似会社比準法、DCF法等があり、これらの手法を併用します。


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(8)評価書・意見書の作成

不動産鑑定士として「不動産の鑑定評価書」の他、税理士として「営業権評価書」を作成します。さらに、外部の不動産鑑定士による不動産鑑定書の妥当性を保証するため「意見書」を作成します。不動産鑑定書は内容が特殊あるいは難解ですので、内容を補足するとともに妥当性を明らかにするために「意見書」を作成 しています。


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(9)千代田キャピタルニュースの配信

事業再生に関連する情報の他、金融、税制、不動産等の情報を整理し、「千代田キャピタルニュース」として毎月配信(郵送)しています。新聞記事などの切り抜き情報も添付してお送りします。新刊の案内の他、学会で発表した研究論文等の案内もお送りします。

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